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決断の時編
不純物
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むむむ…どうしても、どーしても聖魔力を取り出す方法が分からない…。
お母様が持たせてくれた魔法書は穴が開くほど何度も読み返した。
お邸の書庫も読み漁っては見たけれど…よく考えたらあのドノヴァン王だって、グラナダ様の魔力を奪い取ろうとして国中の優秀な術師を集めてまでがんばったけど不可能だったじゃないか…
相談しよう、そうしよう。
「グラナダ様~、何とかしてぇ~!」
「ふふ、よく言えたな。これを何とかして欲しいのだな」
「ちょ、エロい言い方しないで下さい。」
僕は考えていることを話してみた。水見の鏡に過去を映してもらうんじゃなく自分で水見の鏡もどきを作れないかって。この珠に込められた聖魔力を使って。
「だって、一回だけでいいんだよ。使い切りで。それなら鏡さんの住む聖杯が無くっても、この珠で、この聖魔力で足りないかな?」
「足りるかどうかは分からぬが…その時空を覗く魔法式は既に分かっておるのか?」
「分かる…だけど普通なら聖人様からの膨大な聖魔力を注いでもらわないと発動しない…」
「それほどの魔力を必要とするか」
「奇跡の領分だからね。でもそれなら生誕珠だって。人一人を誕生させるのにちょっとやそっとの魔力でこの珠作ってるわけないって思うんだよ。」
「確かに…ふむ、聖魔力だけをか…」
だって不純物は要らない。魔法陣の四方を囲むのは自然界の4つの属性。光と水と土と風。その中心に据えるのが聖魔力なんだけど…
珠に込められた氷結の魔力…ドノヴァン王の氷結、つまりこの中の風と水は要らない。祟られておかしなところに連れていかれそうだ。魔力にはその人の性格が現れるんだよ。
同じ光でも陛下の光は万能で、お母様の光は射るようで、僕の光は治癒に特化して攻撃ができない。
それならドノヴァン王の魔力は相当ねじ曲がっているに違いない。
「光は、クリフトの光は良いのかこのままで」
う~ん。なんの根拠もないんだけどなぜだか陛下の光はこのままでいい気がするのだ。
だって、光の灯を感じない…
「多分ね、心を殺してたあの時の陛下の魔力は…あって無いようなもの…なのかも…」
陛下の光を灯したのは…ワイアットお兄様なんだ。
「ならばアデルよ。取り出すのではなく消滅させてはどうだ。ドノヴァンの魔力だけを」
「そんなこと出来るんですか⁉えっ?どうやって?」
「私の火の魔力をぶつけて爆発させるのだ。水系の魔獣を相手にするとき使う手だ。水に火をぶつけて爆発させる。」
「爆発…?消火じゃなくて?」
「消すのでは魔力の残滓が残るであろう。水に最高温の炎をぶつけると爆発が起こる。それで跡形もなく消滅させるのだ」
「あっ!」
それっ!それ知ってる。昔科学で教えてもらった。
水蒸気爆発って言うんだよね。火山のマグマで起こるやつー!
お母様が持たせてくれた魔法書は穴が開くほど何度も読み返した。
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「確かに…ふむ、聖魔力だけをか…」
だって不純物は要らない。魔法陣の四方を囲むのは自然界の4つの属性。光と水と土と風。その中心に据えるのが聖魔力なんだけど…
珠に込められた氷結の魔力…ドノヴァン王の氷結、つまりこの中の風と水は要らない。祟られておかしなところに連れていかれそうだ。魔力にはその人の性格が現れるんだよ。
同じ光でも陛下の光は万能で、お母様の光は射るようで、僕の光は治癒に特化して攻撃ができない。
それならドノヴァン王の魔力は相当ねじ曲がっているに違いない。
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う~ん。なんの根拠もないんだけどなぜだか陛下の光はこのままでいい気がするのだ。
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