イケメン大好きドルオタは異世界でも推し活する

kozzy

文字の大きさ
224 / 247
番外編 第二世代の恋模様

思春期アベニア大騒動②

しおりを挟む
「父様、カマーフィールドに行くので転移陣に魔力供給してください」
「何故お前はそう言うところばかりアデルに似るのだ。報告は決定事項でなくその前にせぬか」
「はーい」
「返事がいいのもアデルと同じだな」

そう言いながらも母様のお願いが却下されることはほとんどない。同じように僕の願いもこの程度であれば聞いてくれるのが父様だ。ささっと転移陣に魔力を注ぐと「行き先はアデルに伝えておくように」と、それだけ言って執務に戻っていった。
転移陣の供給魔力は僕や母様では足りないほどには多いのに、ものともしないで注いでしまえる父様はなんてすごいんだろう。さすが王国一の魔力量を誇る父様だ。尊敬の気持ちを新たにしながら僕はカマーフィールドへと転移した。


「まあアベニアいらっしゃい。おばあさまの所においでなさい。とっておきのお菓子をあげましょうね。」
「おばあ様、僕はもうお菓子を喜ぶ子供では」
「要りませんか?」
「いえ、いただきます。…それよりミランはどこですか?この間約束したボニーのトレカ、おみやげに持って来たんですよ。」
「それはミランが喜ぶわ。あの子は今ローランと共に農具の劣化具合を確認しに村長の所に行っているわ。じきに戻るからお待ちなさい。トールキンにはもう会ったかしら」
「転移してすぐにお会いしました。おじいさまはどちらですか?ご挨拶しなければ」
「そうね、こちらに呼びましょうか。モーリス、旦那様をお呼びしてちょうだい。」

モーリスは数年前にバーガンディからカマーフィールドへ赴任したイケメン執事だ。前の執事ハモンさんは王都から戻ったおじいさまのチェスやお話の相手として今でもこのお屋敷の中で労われながら暮らしている。
こんな温かいカマーフィールドが僕は昔から好きだった。

「おじい様~」ボスンッ
「おおアベニアよく来たね。またすこし背が伸びたんじゃないか?将来が楽しみだ」

こうしておじい様おばあ様とお茶をしながらローラン兄さんの帰りを待ったのだ。




「ローラン兄さんお帰りなさい!ミラン、ほらこれ、ポニーのトレカ、お土産だよ」
「わぁ、ポニー!それよりグレンは?今日は一緒じゃないの?」
「今日は僕、ローラン兄さんに相談があってきたんだ、だから…」
「相談?アベニア様、俺で力になれる事?それじゃぁ昼食の後で話を聞こうか」


相談しようと勇んで来たものの…いざとなったら恥ずかしくてなかなか話をきりだせない…

「どうしたのアベニア様、そんなに深刻な話なの?ああ!アデル様か閣下に何かあったんじゃないだろうねっ!」
「そうじゃないよっ大丈夫。そうじゃなくて、その…僕最近おかしくて…」
「おかしい?具合でも悪いの?アデル様には相談したの?」
「ううん。母様には言いたくなくて…」
「大丈夫。誰にも言わないから安心して話してみて?」

ようやく僕はおずおずと話し始めたんだ…

「そのね…朝変な事になってて…」「朝…」
「それだけじゃなくて、時々やっぱり同じようにおかしくなっちゃって」
「それはどんな時に?」
「ラフと二人っっきりでいる時とか…」「あー…」

どうしよう…ローラン兄さんが困った顔してる。やっぱり話しちゃいけなかったのかな?でもいまさら取り消せない…

「あっ、アベニア様、そんな顔しなくて大丈夫!これは健康な証拠だからっ!」
「健康…?」
「そ、そうっ!男の子が健康に育ってたらみんな必ずそうなるんだよ」
「兄さんも?」
「そっ、そうだね、うんまぁ、今は毎朝とは言わないけど…」
「でも、ラフの顔みててもなっちゃうんだ…」
「うっ!そ、それは、えーと、アベニア様はラフが昔から大好きだったよね…そうなるか…う~ん、そうなるよね…」
「どういうこと?良いの?悪いの?どっちなの?」
「……アベニア様って顔は閣下寄りだけど中身はアデル様にそっくりだよね。そのせっかちなとこも押しの強いところも…話し方とかほんとにそっくりだ」
「そうかなぁ?」

そう、おばあ様にもトールキン伯父様にも話し方が似て来たって言われてる。そして落ち着きがないともいわれるのだ。

「そうだよ。だから愛情の深さや一途なところもアデル様に似たのかな?アデル様は閣下の事、おじいちゃんになっても大好きだっていつもそうおっしゃってるよ。アベニアさまも好きになったら決して気持ちは変わらないんだね」
「僕もきっとラフの事ならおじいちゃんになっても好きだと思う!」
「あのね、アベニア様。アベニア様のその身体の変化は…好きで好きでたまらないくらい大好きな人と一緒に居たら、当然なる普通のことだよ。あたりまえの事。だから心配しなくて大丈夫。いつかその時がきたらちゃんとその、…やり方というか…教えてあげるから…というか、お父様に教えてもらって…いや駄目だ!閣下はダメ!トールキン様におしえてもら…ばれる!ど、どうしたら…ジョッシュ先輩!そう、ジョッシュ先輩に聞いたらいいよ。」

どんどん顔を赤くしながら最後はジョッシュに丸投げしてに兄さんは強引に話を終わらせる。
とりあえず、普通の事だってわかっただけでも心が軽くなったから良しとしよう。




しおりを挟む
感想 103

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される

水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。 絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。 長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。 「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」 有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。 追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

処理中です...