イケメン大好きドルオタは異世界でも推し活する

kozzy

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番外編 バーガンディの日常Ⅱ

アデルとグラナダ 第三子との道 マカフィー視点

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「アデル様、そこでなにやってるんですか。中に入って聴けばいいでしょうに」

「いやだって、グラナダ様が恥ずかしがるかも知れないし…、いや、それはそれで美味しい、ゴホン、とにかくどうにかして振り入れ出来ないかと思って…」
「振り入れ?」

「こんな機会二度は無いかも知れないし…ブツブツ…あぁ、そういえば1度ライブで椅子に座ったまま上半身だけ振りつけてたことあったな…ブツブツ…あれならなんとか…ブツブツ…」

だめだ、何も聞こえていない

部屋に戻ると凄い勢いで何かを書きなぐっていくアデル様。ペンの動きが止まったかと思えばまた何かを思いついたようだ。

「えーと、あそこは…、ちょっとマカフィーさんそこ座って」

「なんですか、もう…」

「ちょっと真似してみて。こう」
「こうですか?」
「そうそう、もうちょっとシュタっと止める感じで」
「アデル様の真似したんですけどね」
「う、うるさいな…。それからこう」
「どうです?って、どうしました、大丈夫ですか?」

鼻と口を押えてプルプルと震える。だがその目は何かを物語っている。きっといつもの悪い病気だ。

「…いい…ちょ、ジョッシュさんは!」
「ああ、団長に呼ばれてちょっと鍛錬場まで。すぐに戻って来ますよ。」

そこに気の毒な餌食がもう一人…腹をすかせた獰猛な草食動物の前にやってきた…

「え、ちょ、なんですかいきなり。ここ?ああはい、んで?」
「今から僕のする振付覚えてもらって、それを今からグラナダ様にも教えるからお手本見せてあげて。OK?」

「おーけーじゃないですよ。なんだって俺たちが!これミルドレッド様にお見せする歌の手振りですよね?俺たち関係ないじゃないですか。というか、俺たち嚙まさないでアデル様がやって見せたらどうです?」
「それは…モゴ…ウニョウニョ……三人並ばないと意味ないじゃん…モゴ…」
「ああっ、なんだこれっ!わかんねーっ!」
「いーから!!とにかく覚えて!覚えてくださいお願いします。ねぇお願い~!」

「閣下じゃあるまいしその手は効きませんよ。」
「まぁいーじゃねぇか、マカフィー。ちょっと腕振り回すぐらい大した労力でもないだろ?」
「ジョッシュさん…さすが話が分かる…。ボーナス弾んどくから」
「褒賞出すの閣下ですけどね…」

まったくジョッシュはいつも調子のいい…。だがまぁどうせ閣下が一喝して終わりだろう。
ここでごねるよりそのほうが早いと、俺たちはその手振りをさっさと覚え「え…早い…」とアデル様を唸らせて留飲を下げたのだ。





執務室に三人でお邪魔すると、アデル様のその顔を見て閣下は盛大なため息をついた。ははは、お見通しか。

「何を企んでおるのだ…」
「企むだなんて人聞きの悪い。ちょっと覚えてもらいたいことがあって。ミルドレッドへの歌に、より子供が喜ぶように手遊びをつけようと思いつきまして」

そうして並べた椅子3脚。…配置がおかしいな。
俺たちの振りを見せて閣下に手本を見せるなら向かい合わせにするもんじゃないのか。何故左右なのか…。

「アデル様、これおかし」「はい、じゃぁグラナダ様、僕の振り見て真似してくださいね。大丈夫です。両隣で二人も一緒にやりますから。」
「いやアデ」「大丈夫です」
「ア」「大丈夫です」

ダメだ。目が血走っている。これは一回やって見せない限り収まりがつかないやつだろう。

「仕方ありませんね。閣下、アデル様は今正気を失っています。どうか言うとおりに」
「何だと!それは大変ではないか!」
「閣下が餌をあげたらすぐ治りますよ。いいですね。」


アデル様が歌いあげながらリズムに合わせ手を振り回す。しぶしぶと言った感じで俺たち三人は後に倣う。
一曲歌い終わったところでアデル様が膝をついた。

「か、感動…。完成度は低いけどまさかユニットでこれが観れるなんて…。それこそ無理だと思ってたのに…」
「喜んでもらえて良かったですけどね、もうやりませんよ。」
「え…そんな…、衣装を着てもう一度だけ…ビデオ回すから…」
「アデルよ、私もやらぬぞ。そもそも歌すらまだ覚えてはおらぬのだ。余計な付属をつけるでない。ミルドレッドへの披露が遅れるであろうが」

「ううぅ…それを言われちゃ仕方ない…。一応、一応ここに振付描いた紙置いておきますからね…。気が向いたらでいいんです…気が向いたら…。」

まだ何か言いたげなアデル様を無理やり引っ張って部屋を出る。廊下では何人もの隊員が会議の始まりを待っていた。

まだブツブツと泣き言を言うアデル様をジョッシュとともに私室まで引きずって行く。全く困った人だ。



「はぁ…ジョッシュと二人でならもう一度だけやって差し上げますよ。それでいいですか?」

満開の笑顔が花咲いた。



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