コスプレ令息 王子を養う

kozzy

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カステーラ王国からの報告

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マッティオ殿のカステーラとサルディーニャを結ぶ船は、イヴァーノ・モードへのシルク、人材を確保するため現在二隻に増やされている。


内乱が激化するより以前、養蚕はアスタリアの山間部で盛んにおこなわれる産業の一つであった。

だが王が逝去なされた際、アレクサ様は早々とこのような事態を想定され、その貴重な養蚕農場が荒らされ潰える事を危惧し、南部の養蚕農家をカステーラで保護していたのだ。その大規模な移動にアレクサ様はかなりの私財を投じたと聞いている。

そしてこの不毛な争いが母国を壊し始めてから早や一年半が過ぎようとしている今、マッティオ氏の話によれば養蚕農場の数はすでにカステーラが上回っているようだ。ああ…こうしてまた一つ、アスタリアは衰退するのか…



その蚕によりあの美しいシルクは生み出される。

イヴは「サラサラでツヤツヤの布地が足りない!」とマッティオ殿にかなりの無理を言ったようで、甚だ恐縮ではあるのだが、それが幸いしこうして十日ごとに報告を手に出来るのだから結果としては実にありがたい。


「いやいや、船の入手にはカステーラ王家の力添えがありましてな、船の融通のみならず資金の援助もしていただいたのです」
「そうでしたか」

「いやはや…何も聞かず何も言わず、外に漏れないよう手紙をカステーラの宮殿へ届けて欲しいと言われた時には何を馬鹿な事をと思いましたが…これほど懇意であられたとは。どういったご縁かお伺いしても?」

「それはまたいずれまたお話しましょう」

全てを公に出来る日が来る事こそを…私たちは願っているのだから。

そういった事情で当初の状況よりも迅速に届けられるアレクサ様からの手紙。
それによれば、私の要請を待たずしてアレクサ様は『黄金の剣』へ援軍を送っておいでのようだった。流石は先見の明に優れたアレクサ様だ。

加勢に入ったのはあの国をよく知るアレクサ様付きの近衛隊。そしてアレクサ様が母国へ撤退される際、王女方の御身を護り同行された亡き王弟殿下付きの近衛隊。
数はともかく、社交界の内情を詳しく知る彼らの加勢は相当な力になるだろう。

またそれらの報告によって私を喜ばせたのは、第四宮から逃げ出さんとするあの騒乱の中、私たちを逃がして宮に残った私の近衛兵たちをパンクラツィオ殿がお助けくださったという事実だ。
彼らは傷を負わされながらも私とルイージの居場所を吐かせるため生きて捕縛されたという。そして王都内にある強固な監獄に幽閉されていたのだとか。

ああ…マヌエル…ミケーレ…生きていたのだな…

脱獄兵となった彼らが表に出ることは出来ぬだろう。だが裏から手引きすることは出来よう。長兄次兄を快く思わぬ彼らの仲間は必ず居る。

何という朗報!

彼らは静かにじりじりと数を減らしていく己が陣営の戦力を鑑み、それがサルディーニャの騎士によるものとは考えもせず、互いの政敵によるものとさらに憤怒を募らせているという。
サルディーニャの騎士が表に出ぬよう、それを策略として進言したのはカステーラから派兵されたアレクサ様の近衛。

獅子のようなあの公爵子息に聞く耳があったとは…私が思うよりも冷静な将なのであろう。どうも私はイヴの件があり、タランティーノ公爵子息に関しては少しばかり穿った見方をしてしまうようだ。

私の未熟者め…




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