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寂しい夜 ※
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目立たぬよう人の動き出す前にと翌日の早朝、路地から一本出た表通りで、私たちは迎えに来た公爵家の馬車に乗り込むルイージとリコを見送った。
それぞれが今日は小さなエルモの側を離れない。
イヴは端切れ布を使いエルモと共に小さな人形を作り過ごしていたし、ロデオは何処にいくにもエルモをつれていった。
四人で囲む夕食の席がどこかもの悲しい。
「ロデじい、今日からはあっちの部屋でエルモと寝てあげて」
「そうしましょう…」
「さっフラヴィオ、今日からは気兼ねなく夜更かしできますね!」
「ほどほどにお願いしますぞイヴ様!」
「はいはい」
一見いつもと変わらぬイヴだが本当にそうだろうか…
「イヴ、君は大丈夫なのかい?」
「実は大丈夫じゃない…」
思った通り…今夜のイヴはいつになく甘えたがりだ。私の胸に顔を埋めしがみついて離れようとしない。
「でも家族と離れて暮らす寂しさなら少し分かるから…良かったねって言ってあげないと…」
…事情が違うとはいえ、思えばイヴも家族と離れ一年近く暮らしたのだ。
気丈な彼は寂しい素振りなど見せなかったが、彼はあの時学院を卒業したばかり。どれほど心細かったろう。こんな私でも少しは慰めになっただろうか…
「イヴ、私が居るよ。私は何処にもいかない。約束する」
「夫夫なんだから当たり前…」
その通りだ。私たちは夫夫。病めるときも健やかなる時も共に支え合うのだ。
「アマーディオに言ってもっと早い船作ってもらおう…」
「ふふ、私からもそう進言しよう」
「妹だって居るんだし…」
「そうだ。姫のためなら陛下も頷かれるに違いない」
グス…「…来年も来ようね?」
「……」
サルディーニャに戻るのか、それともアスタリアに戻るのか。そろそろ心を決めねばなるまい。だが今は…
「おいでイヴ、紛らわせてあげよう」
-------------------
不幸な、けれどベタな展開により異世界へと飛ばされた僕。
オタクと親和性の高い〝異世界転生”にテンション上がったのは事実だ。けど…それでもあの愉快な家族にもう会えない、その事実は少しだけ僕を打ちのめした。
生きるのに必死で他事を考える暇がなかったのは不幸中の幸い。そう思うとフラヴィオにはむしろ感謝したいとこr…いや、それはないな。
けど多分家族もそう。イキリイヴァーノに振り回されてシンミリする暇なんてちっともないだろう。だからむしろ「イヴァーノじゃんじゃんやっちゃって!」とすら思っている。
会えるものなら会いたいってのは人情だろう…
けどそれは不可能だから、お互いどこかで生きてるのが確定してるだけでもラッキー!と思って開き直るしかない。
だからちょっとね…この世界で初めての別れにちょっとね…
いつも柔らかく肌を撫でていくフラヴィオの大きな手のひら。でも今日はいつも以上に優しい。
寂しくないようにって、僕を思いやるフラヴィオの暖かい気持ちが伝わってくる。
「あ…はぁん…」
「気持ちいいかい?」
「う…ん…、ねぇフラヴィオ…」
「なんだいイヴ?つっ!」
「えへへ」
見様見真似のキスマーク。…フラヴィオの首に灯ったのはいつものリベンジ、赤い印。
「また随分きわどい場所に…」
「フラヴィオだっていつもつけるくせに」
「いきなりどうしたのだい」
「首輪の代わり。これは僕のものっていうマーキング」
フラヴィオだけは、ゼッタイハナサナイ…
「…嬉しいことを言ってくれる」
「あっ、ああっ!」
いきなりの猛攻!さっきまでの穏やかな時間がウソのようにベッドは大きく軋みはじめた。
「受け取るがいい。全て君のものだ、イヴ…」
「はっ、あっ、ん、フラヴィオもっとゆっくり!」
「紛らわせてあげると言ったろう?これでいい」
「よくな、あぁんっ!」
「イヴ、私は心の狭い男だ。何時までもルイージを恋しんでいては妬けてしまうよ」
「ばっ、バカ!んうー!」
はぁ、はぁ、はぁ
短い呼吸を繰り返しながらなんとかフラヴィオを受け止め続ける。
「朝までこうしてあげようか、イヴ」
「だ、ダメー!それはダメぇ!ね、もう…」
「もう?君にしては堪え性が無い」
「いいからぁ!早くフラヴィオ!いっしょに…」
「一緒に?」
「いっしょにイキタイ!」
叫んだと同時に一際強く打ちつけられる。火花の向こうにはフラヴィオの顔。
その顔はどんどん近づいてきて…ただでさえ酸欠な僕の呼吸を根こそぎ奪っていく。ずっしりと体重をかけながら。
「ん…む…」チュ…ッ「お、重い…」
「イヴ、私も同じ気持ちだ。これからも一緒に生きていこう」
何度も頭を撫でながらフラヴィオは言う。
ヘンなフラヴィオ。そんなの夫夫なんだから当たり前なのに。
それぞれが今日は小さなエルモの側を離れない。
イヴは端切れ布を使いエルモと共に小さな人形を作り過ごしていたし、ロデオは何処にいくにもエルモをつれていった。
四人で囲む夕食の席がどこかもの悲しい。
「ロデじい、今日からはあっちの部屋でエルモと寝てあげて」
「そうしましょう…」
「さっフラヴィオ、今日からは気兼ねなく夜更かしできますね!」
「ほどほどにお願いしますぞイヴ様!」
「はいはい」
一見いつもと変わらぬイヴだが本当にそうだろうか…
「イヴ、君は大丈夫なのかい?」
「実は大丈夫じゃない…」
思った通り…今夜のイヴはいつになく甘えたがりだ。私の胸に顔を埋めしがみついて離れようとしない。
「でも家族と離れて暮らす寂しさなら少し分かるから…良かったねって言ってあげないと…」
…事情が違うとはいえ、思えばイヴも家族と離れ一年近く暮らしたのだ。
気丈な彼は寂しい素振りなど見せなかったが、彼はあの時学院を卒業したばかり。どれほど心細かったろう。こんな私でも少しは慰めになっただろうか…
「イヴ、私が居るよ。私は何処にもいかない。約束する」
「夫夫なんだから当たり前…」
その通りだ。私たちは夫夫。病めるときも健やかなる時も共に支え合うのだ。
「アマーディオに言ってもっと早い船作ってもらおう…」
「ふふ、私からもそう進言しよう」
「妹だって居るんだし…」
「そうだ。姫のためなら陛下も頷かれるに違いない」
グス…「…来年も来ようね?」
「……」
サルディーニャに戻るのか、それともアスタリアに戻るのか。そろそろ心を決めねばなるまい。だが今は…
「おいでイヴ、紛らわせてあげよう」
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不幸な、けれどベタな展開により異世界へと飛ばされた僕。
オタクと親和性の高い〝異世界転生”にテンション上がったのは事実だ。けど…それでもあの愉快な家族にもう会えない、その事実は少しだけ僕を打ちのめした。
生きるのに必死で他事を考える暇がなかったのは不幸中の幸い。そう思うとフラヴィオにはむしろ感謝したいとこr…いや、それはないな。
けど多分家族もそう。イキリイヴァーノに振り回されてシンミリする暇なんてちっともないだろう。だからむしろ「イヴァーノじゃんじゃんやっちゃって!」とすら思っている。
会えるものなら会いたいってのは人情だろう…
けどそれは不可能だから、お互いどこかで生きてるのが確定してるだけでもラッキー!と思って開き直るしかない。
だからちょっとね…この世界で初めての別れにちょっとね…
いつも柔らかく肌を撫でていくフラヴィオの大きな手のひら。でも今日はいつも以上に優しい。
寂しくないようにって、僕を思いやるフラヴィオの暖かい気持ちが伝わってくる。
「あ…はぁん…」
「気持ちいいかい?」
「う…ん…、ねぇフラヴィオ…」
「なんだいイヴ?つっ!」
「えへへ」
見様見真似のキスマーク。…フラヴィオの首に灯ったのはいつものリベンジ、赤い印。
「また随分きわどい場所に…」
「フラヴィオだっていつもつけるくせに」
「いきなりどうしたのだい」
「首輪の代わり。これは僕のものっていうマーキング」
フラヴィオだけは、ゼッタイハナサナイ…
「…嬉しいことを言ってくれる」
「あっ、ああっ!」
いきなりの猛攻!さっきまでの穏やかな時間がウソのようにベッドは大きく軋みはじめた。
「受け取るがいい。全て君のものだ、イヴ…」
「はっ、あっ、ん、フラヴィオもっとゆっくり!」
「紛らわせてあげると言ったろう?これでいい」
「よくな、あぁんっ!」
「イヴ、私は心の狭い男だ。何時までもルイージを恋しんでいては妬けてしまうよ」
「ばっ、バカ!んうー!」
はぁ、はぁ、はぁ
短い呼吸を繰り返しながらなんとかフラヴィオを受け止め続ける。
「朝までこうしてあげようか、イヴ」
「だ、ダメー!それはダメぇ!ね、もう…」
「もう?君にしては堪え性が無い」
「いいからぁ!早くフラヴィオ!いっしょに…」
「一緒に?」
「いっしょにイキタイ!」
叫んだと同時に一際強く打ちつけられる。火花の向こうにはフラヴィオの顔。
その顔はどんどん近づいてきて…ただでさえ酸欠な僕の呼吸を根こそぎ奪っていく。ずっしりと体重をかけながら。
「ん…む…」チュ…ッ「お、重い…」
「イヴ、私も同じ気持ちだ。これからも一緒に生きていこう」
何度も頭を撫でながらフラヴィオは言う。
ヘンなフラヴィオ。そんなの夫夫なんだから当たり前なのに。
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