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帰還会議
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「伊吹、方法は分かったんだ。これでもし上手くいけば…きっとまた会えるさ」
「うん」
「伊吹、同僚の息子さんはアメリカに行ってもう五年も帰ってないんだって。地球に居たってそんなもんよ」
「うん」
「イブちゃん。俺毎日『ドキナイ』観るね」
「うん」
「伊吹、次来るときはイケメン旦那も連れて来なさいよ」
「うん」
別れを惜しむ僕たちを遠目に、心配そうな表情をするイヴァーノの彼氏。
「リンリンさん、イブはその…大丈夫?号泣してるけど…」
「あーえー、ゆ、夢が叶って感動してるの。うれし涙だよ」
「ならいいけど…」
「それよりほら!撮ったげて。記念の家族写真!」
「じゃあ人込みを避けてそこの花壇前にどうぞ」
どうやら彼はコス現場のカメコじゃなく本物のカメラマンのようだ。良かった…カメコと出来てる…とかあり得無いから!
しかし…イヴァーノはこういうタイプが好きだったのかぁ…意外…。なんと言うか…肩の力が抜けた自然体の人。けどどこか満たされてる感じの人。
あっちの誰とも違う…あー、セルジオに雰囲気が似てるような?へー…
「行きますよー」
ゴクリ…「みんな元気で!」
パシャ
スン…「…」
「あ、あれおかしいな…僕の分析に狂いがあるだ…と…?この数々のシステム構築に関わってきた天才SEであるこの僕の分析が間違いだと?」
「お父さん!」
「まあ待ちなさい伊吹。角度かな?若菜、少しずらしてごらん?」
「こう?」
「そうだ。大木君、もう一枚」
パシャ
ドシャァァァァ…
「も、もうダメだ…」
「伊吹!オタクが一度や二度で諦めるな!」
「伊吹!私の息子がこれぐらいでダメだとか言うんじゃないわよ!」
「立て!立つんだ伊吹ぃー!」
「イブちゃん、俺お茶持ってきてあげよーか?」
落胆する僕たちを遠目に、ドン引きっぽい表情をするイヴァーノの彼氏。
「リンリンさん、イブたちはその…大丈夫?スポ根みたいになってるけど…」
「あーえー、あの家族いつもあんなだから」
「まあそうか…」
発動しない奇跡。ああ…やっぱり無理なのか…いいや!奇跡は来る!きっと来る!異世界の扉はきっと開くはず!僕たちは諦めない!
手を変え品を変え何枚も撮影を頼むが、大木と呼ばれたイヴァーノの彼氏は文句ひとつ言わない器のデカさだ。イヴァーノの彼氏が出来るんだから、考えてみりゃそりゃそうか。
「お姉、あの人いい人だね…」
「まあね。仕事の合間縫ってイヴァーノのインスタライブに付き合うくらいだもん」
「インスタ…コスサミのゲストに呼ばれるとか…あれどうなってんの?」
「大人気。この間登録者数一万二千人超えたわよ」
「う…っそ!」
僕の驚きはともかく、ウロウロしながら頭を抱えるお父さん。
ブツブツ「何か…何かが足りないんだ…」ブツブツ
僕は信じてる!今までだって僕の急場を救ったのはいつでもお父さんだったんだから!
そんな我が家の狼狽をよそに、呑気にダベるリンリンさんとイヴァーノの彼氏。
「これだけのイベント会場を撮るのは二度目だな」
「それって事故のあったあのコミケのこと?」
「そうそう。あれに匹敵する異様な熱気だよ」
「すごいでしょ?」
「まさに。人知を超えたパワーを感じるね」
「!」
「!」
今なんて⁉
「人知を超えた?」
「パワー? 」
顔と顔を見合せる僕とお父さん。
最後のファクター!それはきっと〝人知を超える力”だ!
「大木君!これで最後だ。集まったレイヤーの皆が移るように…会場全体を背景にして…いいかい?」
「ええもちろん」
「伊吹、ほら前向いて」
「うん」
「笑って伊吹」
「うん」
「イブちゃんファイッ!」
「うん!」
「今度こそ!」
「うん!!!」
右からお姉が、左から青葉がイヴァーノの絵を掲げる。左右から挟み込まれた合わせ鏡ならぬ〝合わせイヴァーノ”、その真ん中に居るのは僕だ。
僕の右手に握りしめられたのは、リンリンさんが気を利かしてさっきスマホからプリントしてきた集合写真。
オープニングアクトへの招待が決まった記念にって、イヴァーノコスをしたイヴァーノを囲んでリンリンさん、そして僕の家族みんなでお祝いした時の写真だって。
ロケットペンダントが持って来れたんだから、きっとこれも持って帰れるって信じてるよ神様!
コスサミとコスサミがリンクしたオタクの奇跡。これは神様からのボーナスなんでしょう?
あっちに行って二年、ゼロスタートどころかマイナススタート、扶養家族を抱えてよくここまで頑張りましたね…っていう…
オルトゥスの神様…ありがとう!ありがとう!
「はい取りますよー!」
「伊吹、ここでまた会おう」
「!」
パシャ!
「うん」
「伊吹、同僚の息子さんはアメリカに行ってもう五年も帰ってないんだって。地球に居たってそんなもんよ」
「うん」
「イブちゃん。俺毎日『ドキナイ』観るね」
「うん」
「伊吹、次来るときはイケメン旦那も連れて来なさいよ」
「うん」
別れを惜しむ僕たちを遠目に、心配そうな表情をするイヴァーノの彼氏。
「リンリンさん、イブはその…大丈夫?号泣してるけど…」
「あーえー、ゆ、夢が叶って感動してるの。うれし涙だよ」
「ならいいけど…」
「それよりほら!撮ったげて。記念の家族写真!」
「じゃあ人込みを避けてそこの花壇前にどうぞ」
どうやら彼はコス現場のカメコじゃなく本物のカメラマンのようだ。良かった…カメコと出来てる…とかあり得無いから!
しかし…イヴァーノはこういうタイプが好きだったのかぁ…意外…。なんと言うか…肩の力が抜けた自然体の人。けどどこか満たされてる感じの人。
あっちの誰とも違う…あー、セルジオに雰囲気が似てるような?へー…
「行きますよー」
ゴクリ…「みんな元気で!」
パシャ
スン…「…」
「あ、あれおかしいな…僕の分析に狂いがあるだ…と…?この数々のシステム構築に関わってきた天才SEであるこの僕の分析が間違いだと?」
「お父さん!」
「まあ待ちなさい伊吹。角度かな?若菜、少しずらしてごらん?」
「こう?」
「そうだ。大木君、もう一枚」
パシャ
ドシャァァァァ…
「も、もうダメだ…」
「伊吹!オタクが一度や二度で諦めるな!」
「伊吹!私の息子がこれぐらいでダメだとか言うんじゃないわよ!」
「立て!立つんだ伊吹ぃー!」
「イブちゃん、俺お茶持ってきてあげよーか?」
落胆する僕たちを遠目に、ドン引きっぽい表情をするイヴァーノの彼氏。
「リンリンさん、イブたちはその…大丈夫?スポ根みたいになってるけど…」
「あーえー、あの家族いつもあんなだから」
「まあそうか…」
発動しない奇跡。ああ…やっぱり無理なのか…いいや!奇跡は来る!きっと来る!異世界の扉はきっと開くはず!僕たちは諦めない!
手を変え品を変え何枚も撮影を頼むが、大木と呼ばれたイヴァーノの彼氏は文句ひとつ言わない器のデカさだ。イヴァーノの彼氏が出来るんだから、考えてみりゃそりゃそうか。
「お姉、あの人いい人だね…」
「まあね。仕事の合間縫ってイヴァーノのインスタライブに付き合うくらいだもん」
「インスタ…コスサミのゲストに呼ばれるとか…あれどうなってんの?」
「大人気。この間登録者数一万二千人超えたわよ」
「う…っそ!」
僕の驚きはともかく、ウロウロしながら頭を抱えるお父さん。
ブツブツ「何か…何かが足りないんだ…」ブツブツ
僕は信じてる!今までだって僕の急場を救ったのはいつでもお父さんだったんだから!
そんな我が家の狼狽をよそに、呑気にダベるリンリンさんとイヴァーノの彼氏。
「これだけのイベント会場を撮るのは二度目だな」
「それって事故のあったあのコミケのこと?」
「そうそう。あれに匹敵する異様な熱気だよ」
「すごいでしょ?」
「まさに。人知を超えたパワーを感じるね」
「!」
「!」
今なんて⁉
「人知を超えた?」
「パワー? 」
顔と顔を見合せる僕とお父さん。
最後のファクター!それはきっと〝人知を超える力”だ!
「大木君!これで最後だ。集まったレイヤーの皆が移るように…会場全体を背景にして…いいかい?」
「ええもちろん」
「伊吹、ほら前向いて」
「うん」
「笑って伊吹」
「うん」
「イブちゃんファイッ!」
「うん!」
「今度こそ!」
「うん!!!」
右からお姉が、左から青葉がイヴァーノの絵を掲げる。左右から挟み込まれた合わせ鏡ならぬ〝合わせイヴァーノ”、その真ん中に居るのは僕だ。
僕の右手に握りしめられたのは、リンリンさんが気を利かしてさっきスマホからプリントしてきた集合写真。
オープニングアクトへの招待が決まった記念にって、イヴァーノコスをしたイヴァーノを囲んでリンリンさん、そして僕の家族みんなでお祝いした時の写真だって。
ロケットペンダントが持って来れたんだから、きっとこれも持って帰れるって信じてるよ神様!
コスサミとコスサミがリンクしたオタクの奇跡。これは神様からのボーナスなんでしょう?
あっちに行って二年、ゼロスタートどころかマイナススタート、扶養家族を抱えてよくここまで頑張りましたね…っていう…
オルトゥスの神様…ありがとう!ありがとう!
「はい取りますよー!」
「伊吹、ここでまた会おう」
「!」
パシャ!
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