一人じゃないぼく達

あおい夜

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二章 ぼくと家族

ぼくと陸と夕方

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 今日は珍しい事に陸とお留守番している。
陸は基本的に海の仕事の補佐をしていて海が仕事の時は陸が居ない事が多いのに今日は陽と陰の二人で海の補佐をしていて陸はお休みだ。
空は前に住んでいたぼく達の家に行って掃除と必要な物を持って来ると言って夕方近くに出て行った。
(空はもう少し時間がかかりそうだから夕飯はちょっと遅くなるかな?)

「陸、海達はもうすぐ帰って来る?」
「海兄さん達ならもう少しかかるかな?それがどうかした?」
「今日は空も出掛けたから夕飯が少し遅くなるかなって思った」
「あー、、確かに夕飯は遅くなるだろうね」

ぼくは少し考えてから服の袖を見た。
ちなみに、今日の服は陸が選んだ。
女の子用の着物で全体的に白い色をしていて柄は足元の方に睡蓮が描かれていて袖の方には睡蓮の花びらが綺麗に描かれていた。

「陸、家事する時に着物の袖とか紐で縛るよね?アレをぼくにやってくれる?」
「良いけど、どうして?」
「空が帰って来てから夕飯を作るのは空に少し負担かなって思ったからぼくが作ろうかなって、、、陸も手伝ってくれる?」
「良いの?僕、料理は、、、」
「うん、知ってる。だけど混ぜるとか入れるだけとかなら大丈夫でしょ?」
「それなら大丈夫だと思うけど」
「なら、ぼくと一緒に作ろう?、、、陸が嫌じゃないなら」
「嫌なわけ無いから!、、、誘ってくれて嬉しいよ。一緒に作ろう?青天」
「うん」

今日は陸と一緒に仲良く料理を作ってそれを空達に見せて驚かせよう。
(陸とはあんまり一緒に居ない(主に陸の仕事のせい)から今日は一緒に居れて少し嬉しいな)



陸視点


僕と青天でみんなの夕飯を作る事になった。
青天の着物を汚れない様に紐で縛ってから自分の着物も同じ様に縛る。
(綺麗な子だから少し大人っぽい柄がやっぱり似合うな)

「うーんっと、、、これなら、、、陸、グラタン用の容器ってある?」
「グラタン用の容器?、、、それなら確かここに、、、合った!これで良い?」
「うん、ありがとう」
「グラタンを作るの?」
「うん」

12人分のグラタンの容器と材料を取り出す。
6人分じゃないのは僕達が男だからだ、、、青天はあまり食べないが僕達は良く食べるので最低でも二人分は用意しないとお腹が持たないんだ。
(空だけなら一人分で大丈夫なんだろうけど他がかなり食べるからな)

「まずは、材料の確認。マカロニ、鶏肉、玉ねぎ、塩、胡椒、パセリ、薄力粉、牛乳、バター、パルメザンチーズ、、、全部あるね」
「ああ、それで?」
「まずは、マカロニを茹でるから鍋に水を入れてお湯にしてくれる?」
「ああ、分かった」
「マカロニをやっている間に鶏肉と玉ねぎを切る。まずは鶏肉を一口サイズに切って、玉ねぎは薄切りにするけど玉ねぎは鶏肉の後で切る」

青天が鶏肉を切っている間にお湯が沸いたので、どうするか青天に聞くと袋に入っているマカロニを全部お湯に入れて、また夢お湯が沸騰したら火を弱めてくっつかない様に混ぜて欲しいと言われたのでそうする。

「~♪切った鶏肉に~♪塩、胡椒をふる~♪次は玉ねぎを薄く切る~♪」
「っ!、、、。」

いきなり歌い出したのを見て驚いたけど、空の真似をしているのかも知れない。
(可愛い声だな。空も楽しそうに歌いながら料理をするから、見ていてこっちも楽しくなるんだよね)

「多分、マカロニはもう良いと思うから火を止めてザルにうつして?」
「うん、分かったよ」
「よし、玉ねぎも終わったから次は焼こう」

青天は大きなフライパンにバターと切った半分くらいの玉ねぎを入れてから火をかけた。
半分だけなのは作る量が多いから半分ずつ作ろうと思ったらしい。

「陸、ぼくじゃあ重いからフライパンは陸が持って?材料はぼくが入れるから陸はゆっくり混ぜてくれる?」
「確かにこれは青天には重いし危ないね。分かったよ、混ぜるだけなら大丈夫だと思うからやるよ」

そう言ってぼくはバターと玉ねぎをゆっくり混ぜる。

「~♪混ぜ混ぜ~♪玉ねぎがしんなり~♪そしたら鶏肉を半分入れる~♪」
「クス、、、(可愛いな~)」
「鶏肉の色が変わってきたから火を止めて?」
「うん」

火を止めると青天は薄力粉をフライパンに入れた。
全体がなじむまで混ぜて欲しいと言われてのでゆっくり混ぜる。 

「ん。これで良いよ。次はまた火をつけて炒めて?」
「うん、分かったよ」
「牛乳を入れるけど、三回に分けて入れるからね?」

青天が一回目の牛乳を入れてから少しして牛乳が煮立ってくると二回目の牛乳を入れ、三回目も牛乳が煮立ってから入れた。

「三回目の牛乳を入れてからマカロニも入れる」
「量が凄い事になってきたね」
「うん。あ、煮立ったら塩、胡椒を入れる。火を消して?」
「うん」
「次にグラタンの耐熱容器にバターを塗るから陸も手伝って?」

可愛いお願いに二つ返事で頷いてバターを塗る。

「そしたら、まだ熱々の具を容器に入れて表面を平らにしてから、、、陸、パルメザンチーズを上にかけて?」
「うん」
「終わったらオーブントースターでチーズにキツネ色、、海じゃないよ?キツネ色になるまで焼く。焼き終わってパセリをかければ完成するよ」
「何か、あっという間だね?けど、変なモノが出来なくて良かったよ」
「陸が作ると変なモノが出来るの?」
「うん、何故かね。だから一応、自分でも料理はしない様にしてるんだ」
「なら、今日は楽しかった?」

無表情だけど少し不安そうに聞いてきた青天に頷いて言った。

「もちろん、可愛い妹と一緒に作ろうって誘われて、一緒に作ったんだよ?嬉しくないわけ楽しくないわけが無いじゃないか?」
「ぼくも、、、普段あんまり一緒に居られない陸と一緒に料理を作れて楽しかったよ、、、今日はありがとう陸」
「こちらこそ今日、誘ってくれてありがとう青天」

青天はまだ僕達に少し遠慮をしている。
けど、一緒に暮らし始めた時よりも僕達に少し甘えてくれる様になってきた。
(可愛い、可愛い、僕達の妹。本当はもっと甘えて欲しいんだけどね?)

青天は僕達と空の中を再び繋いでくれた大切で愛しい僕達の妹だ。
僕達兄弟は全員が青天に感謝している。
青天が願えばそれを何としてもどんな事をしても叶えてあげたいと思うくらいには僕達兄弟は青天を愛しく思っているんだ。
(早く気づいてくれたら良いな)

「あ、グラタンが出来たよ陸」
「、、、美味しそうに出来てるね?」
「うん。空達は喜んでくれるかな?」
「喜んでくれるに決まってるよ」
“ガラガラガラ”
『ただいま~、直ぐそこで空に会ったから一緒に帰って来たよ~』

ちょうど良いタイミングでみんなが帰って来たみたいだ。

『青天?陸?居ないのか~!』
「早く行かないとあのバカな兄さんが拗ねるな」
「なら、早く行こう?」

出迎えてから夕飯を出すと空が感動して少し涙ぐんで青天と僕の頭を優しく撫でてくれた。

青天が僕達家族に我が儘を言ってくれるのが何時になるか分からないけど、その時はどんな事をしても叶えてあげたいと思う。


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