一人じゃないぼく達

あおい夜

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二章 ぼくと家族

ぼくの家族

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 この家で暮らして3ヶ月たった。
この家に暮らしてから初めてぼくは一人でお留守番する事になった。
今日は朝から忙しいみたいで朝ごはんを食べた後直ぐに海と陸と陽は出て行った。
空が出て行く準備をしてる間に陰がぼくに用意してくれた服をぼくに着せて直ぐに出て行った。
みんななるべく早く帰るからと言って駆ける様に出かけて行った。
ちなみに今日の陰が選んでくれた服は足首まである青いスカートにクリーム色のワイシャツの上に青いマントみたいな毛布みたいな上着を肩に乗せているお嬢様っぽい服だ。

「、、、あ、そうだ」

ぼくは空の部屋に行きそこに大事そうに置いてある綺麗な櫛(くし)に手を合わせてから話した。

「今日はみんな忙しいみたいでぼく一人でお留守番なんだ。でも君が居るから寂しくないよ」

この櫛は昔(六十年くらい前)空に海達がプレゼントした物らしい。
この櫛は付喪神になるにはもう少し時間がかかるはずなんだけど海達と暮らしてたせいか空が大切にしていたせいか少し自我があるみたいだ。
空が家族と離れた時にこの櫛も置いて行ったけど海達が大切に保管していた。
そしてぼくが烏天狗達に拐われた日の前日に一度だけ海達と話すくらいの力を発してあの烏天狗達が海達が居なかった時に空に言った事を教えてくれたらしい。

「遅くなったけどお礼を言わせてもらうね。凄い力を使うだろうに頑張って空の事を海達に話してくれてありがとう。ちゃんと付喪神になったらぼくと遊んでくれると嬉しいな」

ぼくがそう言うと櫛がうっすらと優しく光った気がした。
(気がしたんじゃなくて多分本当に光ったんだ。良いよって事だよね?)

「ありがとう、、、お姉ちゃん」

ぼくよりも年上で空達を見守ってきた櫛はぼくの家族の一人だし海達の話から櫛の性別は女の人みたいだからぼくのお姉ちゃんだ。
櫛は喜んでくれたみたいでさっきよりもはっきりした光を放った。

“コンコン”
「誰か来たみたい?誰だろう?」

今までこの家に来たモノは誰も居なかったので少し怖かったけど玄関に向かった。

“コンコン”
「すみません、誰か居ませんか?西の天狐さまから手紙を届けに来たのですが?」

どうやら届け物みたいだ。
(、、、声も子供の女の子みたいだしこのネックレスもあるから大丈夫だよね)

“ガラガラ”
「お届け、、、女の子?」
「、、、、あの?」

ドアを開けるとぼくより少し背の高いオカッパの可愛らしい女の子がぼくを見て驚いた顔をして立っていた。

「あ!噂の空様のお子様ですね!」
「う、うん。あの貴女は?」
「私?私は花子です。トイレの花子さんって言った方が分かりやすいですかね?」
「、、、トイレの花子さん、、あの、ぼくに敬語はいらないですから普通に話してください」
「本当?なら貴女も普通に話して?」
「う、うん」

なんと家に来たのは有名なトイレの花子さんらしい。
花子さんは不気味な感じは全然しなくてどちらかというと何処かのご令嬢という感じの可愛らしい女の子だ。

「空様の子供がこんなに可愛い女の子だなんて」
「ありがとう。あ、ぼくの名前は青天だよ、よろしくね?」
「青天ちゃんね?こちらこそ、よろしくね?」

花子さんと少し話した後に手紙を受け取った。

「青天ちゃんともう少しお話したかったけどお仕事の時間みたい。もう!こんな朝早くから誰かしら!それじゃまたね青天ちゃん」
「うん、またね花子さん」

そう言うと花子さんはその場から消えてしまった。
後から空に聞いた話だと花子さんは誰か(多分、人)に呼ばれてその場に行ったのでこの場所から移動したから消えたのだろうとの事だ。

その後、お昼過ぎになったけど誰も帰って来ない。
バレたら怒られるだろうけどお腹が空かなかったのでお昼ご飯は食べて無い。
スマホにも連絡が来て無いのでまだ帰って来ないのだろう。
ちなみにスマホは海の神社の神主さんに家族全員分を買ってもらったらしい。
神様をやってるモノの大体は人の世界の物などの契約が居る物は神主さんに買ってもらうらしい。

少し寂しくなったのでお姉ちゃん(櫛)の所に来て少しお昼寝をした。
スマホが鳴ったので目を覚ましたら結構な時間がたっていた。
スマホにきたメールを見ると空と海からもう少しで帰ると書いてあった。

「もう夕飯の時間だし、何か簡単な物でもぼくが何か作っておこうかな?」

賛成してくれてるのかお姉ちゃんが少し光ったのを見てから台所に向かった。

台所に着いたぼくはまずご飯を炊飯器で炊く。
それから味噌汁を作る為に何があるか見てまると大根とニンジンと卵と生姜があったのでまず大根とニンジンを扇型に切ってから鍋に入れた水がお湯になる頃にニンジンと大根を入れた。
卵をボウルに入れて混ぜてからそのボウルに生姜を少しだけ擦って入れる。
卵は味噌と同じタイミングで入れた方がふんわりして美味しいのだ。
ちなみに味噌は食べる直前に作ると美味しく出来る。
作って二回目に火をかけると少し卵が固くなって味噌汁が少し塩っぽくなるのでオススメはしない。
次に卵焼きを作るけどぼくの家族はみんな甘い卵焼きが好きなので卵に砂糖とほんの少しの胡椒を入れて焼く。
そうしていると早炊きにしたご飯が炊き上がったのでおにぎりを作る事にした。
おにぎりの具は梅干しと昆布の他にワカメと白ごまとお米を混ぜた物と梅干しとたくあんをみじん切りにしてご飯に混ぜた物と最後にチャーハンを作ってそれをおにぎりにした。
おにぎりは熱くても素手でやった方が美味しく作れるので熱くても頑張って素手でおにぎりを握った。

おにぎりを作った後にスマホを見るとメールが来ていたので見てみると後十分くらいで帰れると書いてあったので味噌汁を作る為に味噌と卵を入れる。
味噌汁が温まって出来た時にみんなが帰って来た。

「たっだいまー!あー、疲れた」
「海兄さんうるさい。疲れてるのはみんな同じだから」
「今日はスッゲー忙しかった!」
「空兄さんの所も何故か沢山の人間達が祈りに来て大変だったよ」
「青天?居るのか?」
「うん、お帰りなさい」
「ああ、ただいま。寂しかっただろう?ごめんな青天」
「ううん、大丈夫。今日はお姉ちゃんと一緒に居たから」
「お姉ちゃん?」

ぼくのお姉ちゃんという言葉に少し疑問を持って考えている空達に言った。

「空の部屋に居るまだ眠ってるぼく達の家族でぼくのお姉ちゃんだよ」
「、、、あ!あの櫛か!」
「うん」
「確かに俺達が空にプレゼントしてからずっと俺達と一緒に居てくれたんだから家族だよな」
「うん!空兄さんの事を頑張って伝えてくれた優しい子だもんね!」
「けど無理したから後数十年はあのままだろうに、、、それを分かっていても僕達に伝えてくれた勇気ある子だね」
「オレに妹がもう一人増えるんだよね?」
「オレはあの時置いて行ってしまったのにそれでもオレを慕ってくれるあの子は確かにオレ達の家族の一人だな」
「うん。あ、それとご飯は作ったからみんなで食べよう?」

ぼくがそう言うとみんな頷いて手を洗いに行った。

色々な種類のおにぎりと味噌汁と卵焼きだけだけどみんな美味しそうに食べてくれた。
ちなみに、冷蔵庫の減りからぼくがお昼ご飯を食べて無い事が空にバレて泣きそうな顔で心配されたのでお腹が空いてなくても今度からはちゃんと食べようと思った。

ご飯を食べ終わった後に花子さんから受け取った手紙を海に渡すと海は送り主(西の天狐)を見て少し嫌そうにしてから手紙の中身を読んだ。

「あいつ、、、」
「兄さん?どうかしたか?」
「もう少し落ち着いたら自分達に空の子供を見せろってよ」
「ぼく?けど、天狐さん達は大人の姿をしてるよね?ぼく大人の人は、、」
「ああ、分かってる。俺からも色々あいつらに説明するから大丈夫だ」
「うん、ごめんね?海の友達なんだよね?」
「いや、友達じゃないから大丈夫」
「そうなの?」
「神様仲間みたいなそんな感じの奴らだから」

よく分からないけど友達ではないみたいなので少し安心した。
(海の友達に嫌な思いをして欲しくないからね)


それからぼくのお姉ちゃんは朝はみんなが良く集まるリビングに夜はぼく達が一緒に寝ている部屋に置いて(連れていって)いる。
(家族みんなと一緒だから寂しくないな)


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