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しおりを挟む固く握りすぎて、感覚がない。
白くなってゆく自分の指だけを見ていた。
なぜそんなことを言うのだろう。
思ってもいないことを、言えるのだろう。
切実さを帯びているようにすら聞こえてしまうから、恐ろしくてたまらない。
「……申し訳ないが私たちは娘の気持ちを尊重したい。解消が納得いかないのなら破棄でも構わない。もちろん慰謝料も用意する。
援助は継続するが、…申し訳ないが白紙が条件だ」
「デビッドそれは、」
「すまないディート。だが娘はこれ以上ないほど傷ついている。この場にも連れてきたくはなかったが最後だと思い同席させているんだ。どうか配慮してほしい。……シエル、きみにも大変申し訳なく思うがわかってくれ」
「納得できません。時間が必要というなら待ちます。でも白紙など絶対に嫌です」
「なぜだ?正直言って二人の関係は良好とはいえなかっただろう。……きみは娘を厭うていた。
今の状況は引くて数多のきみにとっては都合が良いはずだ」
「…あなた」
「……たしかに褒められる行動はしていません。申し訳ありません。……でも俺は心を入れ替えた。今回のことでやり直したいと思ったんです」
「今更信じるとでも思っているのか?」
「これから証明します」
部屋の空気がずしりと重くなってゆく。
言葉を発することもできず、顔すら上げることもできず。
「……きみの決意がどうあれこちらの気持ちは変わらない。ディート、書類にサインを。」
「……、わかった……」
「ーー父上っ」
「…シエル。お前が、婚約者として寄り添っていたなら困難の支えになれたかもしれないが、それを放棄したのはお前だ。
…レイラが何と言おうと、こちらから解消を頼むべきだった。責任は私にもある。
私たちができることはレイラが平穏を取り戻すことのできるよう願うだけだ。
……レイラ、すまなかった」
「…っ」
おじ様、違うの。
ぜんぶわたしの我儘で、こんなことになるまで知ろうとしなかったわたしのせいなの。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
そう思いながらも言葉にはならず、首を振るしかできなかった。
重い空気のまま、ペンを動かす音と紙の重なる音が止んだとき。
「…………最後に二人だけで、話をさせてください」
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