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13.
しおりを挟む「ーーーー…、ッ…」
頭が、割れそうに痛かった。
…………どこ、……?……
瞼が重く、逆らって開いても満足に映さない視界はぼやけて、霞んでいる。
橙の明かりが眩しくて、痛みに潤むからすぐ閉じてしまう。
身体が、重くて。
思考もままならない。
ーー…馬車を、見送って、別れた。
院長を、待って、それからーー…。
ままならないまま、それを手放した。
ひんやりとした手のひらが、額にふれる。
やさしい。
懐かしい感触。
ずっと昔に、おなじことをされた。
…………誰に?
「ーーあべ、る、……?」
無意識は、声になっているかもわからない。
「……ごめ、ね……」
「…………なにが?」
「ーーそついて、…ごめん、ね…」
答えなんて待たないで、しあわせになって。
シエル…、
「……きずつけて、ごめんね……」
あなたの前から消えるから、しあわせになって。
金属音のような掠れた音が自分の声。
こんな不快な音ではきっと届かない。
夢の中ならせめて、届いてほしいのに。
「………もう喋んな」
とろりとあまいなにかが、喉を伝う。
「ッ…、けほ…っ」
溢れて、拭われて、絡まって、注がれる。
幾度かくり返されればひりついていた喉の痛みが和らいだ気がして、呼吸が楽になる。
手のひらが視界まで覆うように瞼を塞ぐ。
「……効きすぎたな……」
夢か現か。
やさしい手のひらと声が、またわたしを泥濘に沈める。
深く沈んだ意識が、記憶の底を浚う。
シエルとアベルはそっくりな双子だった。
魔力がわずかに高いシエルの髪色が成長とともに変化していったけれど、
それが現れるまではほんとうに見分けがつかないくらいで。
唯一違う瞳の色も、誤魔化してしまえば親だって気づかない、と。
よく二人は、入れ替わって遊んでいた。
ーー入れ替わって。
そうだ。
忘れていた。
二人はそういういたずらを、よくしていた。
なら、あのときは
あの、言葉はーー
違う。
思いたくない。
間違えたなんてそんなこと、思いたくない。
あり得ない。間違えていない。わたしは、
わたしはーー
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