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14.
しおりを挟むわたしが恋をしたのは彼じゃなかった。
ーーきっと彼は気づいていた。
でも彼に恋をしていた。
ーー彼は、気づいていた。
ただ、信じてもらえなかった。
きっと、ずっと。
瞬きをくり返して、ぼやけた輪郭がはっきりと映るまで。
窓にもたれかかる横顔を映しながら、けれどどこまでも狡いわたしは、
彼が口火を切ってくれるのを待っていた。
「……寝てるあいだに犯してやろーかと思ったんだけど、」
こちらを見てはいないのに、彼はそれに気づく。
「…」
「あほヅラ見てたら萎えた」
「ーーシエル、さ、「ソレ。」
ふっと笑った。自然に。どうしようもないというように。
「さま、なんて呼ぶよーになるし。あいつと仲良いまんまだし。あいつの気持ちには気づかないし。
…俺には教えてくんなかったのに、あいつには話すし。…それが、俺じゃなかったとか、」
ああ、わたしは。
「俺を好きなんだろうなって思ってたけど。んなガキんころの話なんて関係ないって思ってたけど。
なんでかずっとイライラして、…一度気づいたら消えてくんないんだよな。……たぶん、嫉妬」
ほんとうに、最低な人間だ。
「笑顔を見たいと思ってたのにあいつに見せる笑顔にイラついて、泣かせることしか考えなくなってた。…お前の泣き顔見て、安心してた」
あの日もそうだ、と。
言葉を溢れさせる彼は一度も、こちらを見ない。
あんなに怖いと思っていたのに。
わたしはその瞳に、わたしを映してほしかった。
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