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嵐の夜に②
しおりを挟むぼろぼろ溢れて、とまらない。
それをくちびるで掬われる。
ふり払うように首をふりながら、
「っ、だれか…っ」
「あーだめだめ、暴れないで。離れたらだめ。」
「や…っ、ん、ぅっ、…!」
さけんだ声は塞がれて、ぎゅっと抱きしめられながらあたたかい光に包まれたと思ったら、
ばちん!という音と一緒に、次の瞬間わたしは見慣れた離れの部屋にいた。
ランプもついてない暗闇で、雨じゃない水の音がする。
「…っ、」
閉じ込めるみたいに抱きすくめられて、身動きひとつ、できない。
くるしくて縋ったら、もっとくるしくなるからどうしていいかわからなくなった。
わたしが逃げてもエルファリ様の舌は追いかけてくるから、
シーツに埋もれてしまいそうでこわいのに力が入らなくなって、ゆるんでゆく。
それに合わせるようにゆっくりと口のなかをなぞられて、全身が震える。
「っ、んんっ、…っ!」
かし、と。
夜着のうえから、引っかくように触れられて身体がびくんと跳ねた。
「…クリス、」
「…ふっ、ぁ、…ゃぁ…っ」
「かわいいなぁ…顔とろとろ」
ちゅ、ちゅ、といろんなところに口づけながら、指をくにくにと動かされておかしなことを言われるからわたしはおかしくなってゆく。
わたしのせいじゃない。
抵抗してるはずなのにうれしそうなエルファリ様がおかしいのだ。
「やだっ、や、め、っ」
「かわいいね、クリス。」
「やだぁ…っ」
「…ココもかわいい…、んー…」
「っ、!」
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