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無関心のはずが
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「どうして逃げるんだ」
腕を捕まれ逃げることが出来なかった。
「無礼ですわね。手を離して頂けません?痛いですわ。それに、逃げている訳ではありません。お話は伺いますとお伝えしたはずです。今この場でお話ただけますの?」
この一週間、休み時間の度押しかけられる身にもなって欲しい。特に何を話すわけでもなく、談話室に来て欲しい、2人で話をしたいなどと、婚約者がいない私が公衆の面前で承諾できるはずがない。
毎度注目されることに、押し問答に飽きただけである。
大体、私には無関心だったではないか。
今更何の話があるというのだ。
「……放課後に迎えに来る」
手は離してもらえたが道を塞がれ、イラッとしながら問い詰めると声が小さく返ってくる。
「お話になりませんわね。二人きりになり、在らぬ疑いをかけられたくないと申し上げましたわ。」
嘆息しながら腕の痛みに耐える。
「在らぬ疑いなどかかるはずもない」
「元婚約者と二人きりになるというのは非常識です」
「私は認めていない」
「貴方様が認める認めないの問題では無いのです。既にない契約をどうすることも出来ませんわ。わたくしの……」
「契約ではない!婚約だ!!」
突然の大声にビックリする。
「……どちらでも同じですわ。どちらにしろ白紙になっています。ずっと……ずっと避けていたではありませんか。お話も儘ならないほど。今更何を話すというのです。」
「そ!それは……」
ディード様が口ごもる。
「結構です。私は聞きたくありません。付きまとわれるのも迷惑です。ここでお話できないのであれば、諦めてくださいな。父を通してくださいまし。これ以上は父を通して抗議させて頂きます」
教室の入口付近で捕まっての押し問答で、すっかり周りの関心を集めてしまった。
どうやら今の私の評価は、嫌われているのも気づかないイタイ婚約者から、血も涙もない元婚約者に早変わりしたようだ。
……真っ当な事しか言っていないのだけれど。
コソコソと話すクラスメイトを横目にため息をついていると、諦めたのか元婚約者様はポツポツと話し始めた。
「……何故破棄した。私は」
「ディード!こんな所にいたのか!……て、え?」
何か言いかけてるのはわかったが、連れが来たようなので無言で一礼をして踵を返す。
押し問答をしたところで状況は変わらないのだ。時間の無駄である。
ところが教室に入ったところで更に声をかけられた。
「あ、あの!ご令嬢!」
……私ですの?
振り向くと、先程ディード様に声をかけ走り寄ってきた方のようだ。
「やめろ!ナシス!!」
「どけよ、今はお前じゃなくてご令嬢に話があるんだ」
行く手を邪魔しようとするディード様を振り切り、教室にまで入ってきた方は一礼をし、突然自己紹介を始めた
「突然失礼します。私はナルシアド・カルナ・ソルズベリー、ソルズベリー侯爵家の次男です。ご令嬢。ご令嬢のお名前を頂く名誉を私めに」
胸に手を当て腰を折り、見上げてくる顔は物語に出てくるイケメンそのもので、爽やかにかつ甘やかに、しかしその瞳に真剣さがあり、驚きつつも平静を保ち自己紹介をする。
「ラディア・クルス・ヴァルスタインです」
制服なので、略式でカーテシーをする。
すると目を見開き驚くソルズベリー侯爵子息と私の間に、黒い影が立ちはだかった。
……ディード様の匂い。だわ。
背中しか見えないのに、誰か分かってしまう。こんなに近くにいた事など、数える程しかないのに……
ツキンと胸がいたんだ。
呆けていたのだろうか、突然ディード様が立ちはだかった事に驚き、よろめいたソルズベリー侯爵子息が机に手をついたようだった。
「……ディード」
地を這うような声にびっくりする
「下級生の教室に入るなんて非常識と思わないのか。それもあんな勢いで自己紹介だなんて。私に用があったのだろう、行くぞ」
2人がどんな顔をしているのか、ディード様の背中しか見えない私には分からないが、周りの空気がピリピリするような、緊張感が伝わってきた。
「…………あぁ。そうだな、焦ってびっくりさせてしまったか。ヴァルスタイン子爵令嬢には申し訳なった。……だがお前には関係ないだろう。大体、休み時間の度に消えるお前を探していた訳でもない」
私を知っている?
申し訳なさそうにディード様の肩越しに顔をのぞき込まれ、謝られた。
返事をする前にまた邪魔をされてしまい、ソルズベリー侯爵子息はイラついたように目の前の男を睨みつける。
確かに知らないはずはない。
私はこの目の前の男、ディード様の元婚約者だもの。
顔は知らなくても、名前を聞けばわかるはず。
「関係がないはずはないだろう」
「婚約は白紙になったのでは?」
「っ!!」
友人のはずなのに、婚約が白紙になった話はしてなかったようで、取り繕おうとするディード様に、ソルズベリー侯爵子息は不思議そうに尋ねる。
「……まだ、完全に決まった訳では無い」
ディード様の絞り出すような声に、まだそんなことを言っているのかと呆れてしまう。
「大体何故お前がそれを知っている!」
「休み時間の度にすぐに消えるお前は知らないかもしれないが、ここ数日お前を訪ねて何人も教室に来るんだ。気づかない奴はいないし、最近はその話題で持ち切りだよ」
さすが人気者ですわね。
フリーになった優良物件の子爵子息を狙うご令嬢達のアピールラッシュというわけか。
知らないのは、そこに居ない本人だけ。
ディード様のクラスから話は広がり、時の話題というわけだ。
さすが、どこから情報が広がったのか分からないが、お嬢様方のネットワークを舐めてはいけない。
だからこそ、もう放っておいて欲しいのですけれど。
はぁ、とため息をついてしまう。
周りを見ると教室の外まで人だかりが出来、俄然注目の的だ。
こんな事になるなら、さっさと父を通し話し合いの場を持った方がよかったが、後の祭りである。
終わった話に労力を割きたくないのと、自分には話すことも無いのに、私が段取りするのは違うと放っておいたのが悔やまれる。
「……お二人共、教室から出てくださいませ。ここでは皆様のご迷惑になりますわ。それとクウェータ子爵子息様、お話の場は父を通しこちらで用意致します。今日はお引き取り下さいまし。」
ディード様の背から、2人に声をかける。
目の前の背が、ピクっと震えた。
「そうだな。すまない迷惑をかけた。一旦ここから出るとしよう」
ソルズベリー侯爵子息はそう言うと、ディード様を廊下まで連れ出してくれた。
廊下に溜まっていた野次馬は、バタバタと散っていき、そろそろ次の授業が始まるため、皆気になりつつも次の授業の準備に取り掛かり始める。
「ヴァルスタイン子爵令嬢」
一安心、ではないが最悪の状況から脱したと思ったところに、ソルズベリー侯爵子息から声をかけられた。
「まだ何か……っきゃ?!」
きゃーっ!わー!と教室内が黄色い悲鳴で一気に活気づく。
気づいた時には横抱きにされ、驚くディード様の横を足早に過ぎたところだった。
「下ろし……!」
「ナシス!何をしている!!」
力いっぱいディード様がソルズベリー侯爵子息の腕を引いたので、前に進む勢いが削がれ、一瞬足を止めたソルズベリー侯爵子息がディード様を睨む。
「腕を怪我されている、医務室へ行く」
気づかれた?!
ディード様に腕を取られたくらいではビクともしない、ガッシリとした腕の中で固まった。
「!!」
ディード様の息を飲む気配がした。
「だが何故お前が運ぶんだ!俺が行く!!」
言い募るディード様にソルズベリー侯爵子息が冷たく言い放つ。
「お前が怪我をさせたんじゃないのか?怪我をさせた相手に委ねるほど、私は不誠実ではない」
心当たりがあるのか、手を離したのだろう、ソルズベリー侯爵子息はもう止まろうとはしなかった。
足早に廊下を進むソルズベリー侯爵子息に慌てて声をかける。
「あ、あの!私は大丈夫です!それに腕なので歩けます!下ろしてくださいまし!!」
「……ゎ…しの太陽、貴女が怪我をしたと言うだけで息が止まりそうでした。どうかこのまま医務室まで大人しくしていて下さい」
とろけるような甘い顔で優しく囁かれ、近距離のイケメンにこちらの息が止まりそうです!!
……何の太陽??聞き取れなかったんですけど?!
てか、太陽って何?
そもそも腕を少し痛めたくらいで、息なんて止まらないから!!
なんなの、この状況ー!!
腕を捕まれ逃げることが出来なかった。
「無礼ですわね。手を離して頂けません?痛いですわ。それに、逃げている訳ではありません。お話は伺いますとお伝えしたはずです。今この場でお話ただけますの?」
この一週間、休み時間の度押しかけられる身にもなって欲しい。特に何を話すわけでもなく、談話室に来て欲しい、2人で話をしたいなどと、婚約者がいない私が公衆の面前で承諾できるはずがない。
毎度注目されることに、押し問答に飽きただけである。
大体、私には無関心だったではないか。
今更何の話があるというのだ。
「……放課後に迎えに来る」
手は離してもらえたが道を塞がれ、イラッとしながら問い詰めると声が小さく返ってくる。
「お話になりませんわね。二人きりになり、在らぬ疑いをかけられたくないと申し上げましたわ。」
嘆息しながら腕の痛みに耐える。
「在らぬ疑いなどかかるはずもない」
「元婚約者と二人きりになるというのは非常識です」
「私は認めていない」
「貴方様が認める認めないの問題では無いのです。既にない契約をどうすることも出来ませんわ。わたくしの……」
「契約ではない!婚約だ!!」
突然の大声にビックリする。
「……どちらでも同じですわ。どちらにしろ白紙になっています。ずっと……ずっと避けていたではありませんか。お話も儘ならないほど。今更何を話すというのです。」
「そ!それは……」
ディード様が口ごもる。
「結構です。私は聞きたくありません。付きまとわれるのも迷惑です。ここでお話できないのであれば、諦めてくださいな。父を通してくださいまし。これ以上は父を通して抗議させて頂きます」
教室の入口付近で捕まっての押し問答で、すっかり周りの関心を集めてしまった。
どうやら今の私の評価は、嫌われているのも気づかないイタイ婚約者から、血も涙もない元婚約者に早変わりしたようだ。
……真っ当な事しか言っていないのだけれど。
コソコソと話すクラスメイトを横目にため息をついていると、諦めたのか元婚約者様はポツポツと話し始めた。
「……何故破棄した。私は」
「ディード!こんな所にいたのか!……て、え?」
何か言いかけてるのはわかったが、連れが来たようなので無言で一礼をして踵を返す。
押し問答をしたところで状況は変わらないのだ。時間の無駄である。
ところが教室に入ったところで更に声をかけられた。
「あ、あの!ご令嬢!」
……私ですの?
振り向くと、先程ディード様に声をかけ走り寄ってきた方のようだ。
「やめろ!ナシス!!」
「どけよ、今はお前じゃなくてご令嬢に話があるんだ」
行く手を邪魔しようとするディード様を振り切り、教室にまで入ってきた方は一礼をし、突然自己紹介を始めた
「突然失礼します。私はナルシアド・カルナ・ソルズベリー、ソルズベリー侯爵家の次男です。ご令嬢。ご令嬢のお名前を頂く名誉を私めに」
胸に手を当て腰を折り、見上げてくる顔は物語に出てくるイケメンそのもので、爽やかにかつ甘やかに、しかしその瞳に真剣さがあり、驚きつつも平静を保ち自己紹介をする。
「ラディア・クルス・ヴァルスタインです」
制服なので、略式でカーテシーをする。
すると目を見開き驚くソルズベリー侯爵子息と私の間に、黒い影が立ちはだかった。
……ディード様の匂い。だわ。
背中しか見えないのに、誰か分かってしまう。こんなに近くにいた事など、数える程しかないのに……
ツキンと胸がいたんだ。
呆けていたのだろうか、突然ディード様が立ちはだかった事に驚き、よろめいたソルズベリー侯爵子息が机に手をついたようだった。
「……ディード」
地を這うような声にびっくりする
「下級生の教室に入るなんて非常識と思わないのか。それもあんな勢いで自己紹介だなんて。私に用があったのだろう、行くぞ」
2人がどんな顔をしているのか、ディード様の背中しか見えない私には分からないが、周りの空気がピリピリするような、緊張感が伝わってきた。
「…………あぁ。そうだな、焦ってびっくりさせてしまったか。ヴァルスタイン子爵令嬢には申し訳なった。……だがお前には関係ないだろう。大体、休み時間の度に消えるお前を探していた訳でもない」
私を知っている?
申し訳なさそうにディード様の肩越しに顔をのぞき込まれ、謝られた。
返事をする前にまた邪魔をされてしまい、ソルズベリー侯爵子息はイラついたように目の前の男を睨みつける。
確かに知らないはずはない。
私はこの目の前の男、ディード様の元婚約者だもの。
顔は知らなくても、名前を聞けばわかるはず。
「関係がないはずはないだろう」
「婚約は白紙になったのでは?」
「っ!!」
友人のはずなのに、婚約が白紙になった話はしてなかったようで、取り繕おうとするディード様に、ソルズベリー侯爵子息は不思議そうに尋ねる。
「……まだ、完全に決まった訳では無い」
ディード様の絞り出すような声に、まだそんなことを言っているのかと呆れてしまう。
「大体何故お前がそれを知っている!」
「休み時間の度にすぐに消えるお前は知らないかもしれないが、ここ数日お前を訪ねて何人も教室に来るんだ。気づかない奴はいないし、最近はその話題で持ち切りだよ」
さすが人気者ですわね。
フリーになった優良物件の子爵子息を狙うご令嬢達のアピールラッシュというわけか。
知らないのは、そこに居ない本人だけ。
ディード様のクラスから話は広がり、時の話題というわけだ。
さすが、どこから情報が広がったのか分からないが、お嬢様方のネットワークを舐めてはいけない。
だからこそ、もう放っておいて欲しいのですけれど。
はぁ、とため息をついてしまう。
周りを見ると教室の外まで人だかりが出来、俄然注目の的だ。
こんな事になるなら、さっさと父を通し話し合いの場を持った方がよかったが、後の祭りである。
終わった話に労力を割きたくないのと、自分には話すことも無いのに、私が段取りするのは違うと放っておいたのが悔やまれる。
「……お二人共、教室から出てくださいませ。ここでは皆様のご迷惑になりますわ。それとクウェータ子爵子息様、お話の場は父を通しこちらで用意致します。今日はお引き取り下さいまし。」
ディード様の背から、2人に声をかける。
目の前の背が、ピクっと震えた。
「そうだな。すまない迷惑をかけた。一旦ここから出るとしよう」
ソルズベリー侯爵子息はそう言うと、ディード様を廊下まで連れ出してくれた。
廊下に溜まっていた野次馬は、バタバタと散っていき、そろそろ次の授業が始まるため、皆気になりつつも次の授業の準備に取り掛かり始める。
「ヴァルスタイン子爵令嬢」
一安心、ではないが最悪の状況から脱したと思ったところに、ソルズベリー侯爵子息から声をかけられた。
「まだ何か……っきゃ?!」
きゃーっ!わー!と教室内が黄色い悲鳴で一気に活気づく。
気づいた時には横抱きにされ、驚くディード様の横を足早に過ぎたところだった。
「下ろし……!」
「ナシス!何をしている!!」
力いっぱいディード様がソルズベリー侯爵子息の腕を引いたので、前に進む勢いが削がれ、一瞬足を止めたソルズベリー侯爵子息がディード様を睨む。
「腕を怪我されている、医務室へ行く」
気づかれた?!
ディード様に腕を取られたくらいではビクともしない、ガッシリとした腕の中で固まった。
「!!」
ディード様の息を飲む気配がした。
「だが何故お前が運ぶんだ!俺が行く!!」
言い募るディード様にソルズベリー侯爵子息が冷たく言い放つ。
「お前が怪我をさせたんじゃないのか?怪我をさせた相手に委ねるほど、私は不誠実ではない」
心当たりがあるのか、手を離したのだろう、ソルズベリー侯爵子息はもう止まろうとはしなかった。
足早に廊下を進むソルズベリー侯爵子息に慌てて声をかける。
「あ、あの!私は大丈夫です!それに腕なので歩けます!下ろしてくださいまし!!」
「……ゎ…しの太陽、貴女が怪我をしたと言うだけで息が止まりそうでした。どうかこのまま医務室まで大人しくしていて下さい」
とろけるような甘い顔で優しく囁かれ、近距離のイケメンにこちらの息が止まりそうです!!
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