涙袋 PART2 ~現代居酒屋千夜一夜物語~

与四季団地

文字の大きさ
15 / 70
「哀・戦士」編

   第315夜・『ラフカディオ・ハーンへの共感』

しおりを挟む
☆・・・(2004/09/27)

 以下、『産経抄(9/27)』からの引用。

 最近、『産経抄』を全文引用することが多いが、それは、短いコラム故に、重要箇所が詰まっており、そこから更に問題点を抽出するのが難儀だからである^^;

 《・・・「きのうの産経俳壇に「星合や伝説そろふ町に住み」(枚方・森本敏子)という句が載った。日本の人情と伝説と怪談を愛したラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が没したのは一九〇四(明治三十七)年のきのう九月二十六日だった。▽つまり今年はハーン没後百年になる。彼は一八九〇(明治二十三)年春に米国から来日したが、青年時代のことは不明だった。しかし新しくE・L・ティンカー著『ラフカディオ・ハーンのアメリカ時代』(木村勝造訳・ミネルヴァ書房)が出版され、若き日に照明があてられた。▽十九歳でニューヨークに着いたとき、視力が悪く虚弱で小心の青年は無一文だった。シンシナティで新聞記者になったが、あまり腕ききのニュースマンではなく、“文学的作物”をでっち上げるような記者だったという。▽しかしやがて弱者や抑圧された人びとに心を寄せるようになり、警察の無能や麻薬犯罪やギャング支配の社会を摘発しはじめる。動物虐待の闘鶏や闘犬やハト撃ちなどに反対するキャンペーンを張った。また怪異や珍奇や神秘なものに注目し、文献を集めるようになった。▽日本の“ハーン神話”を崩すような調査も記されている。「女の芳香」にこだわり、性愛に傾く情熱的な人間性にも触れられている。こうして二十年間の在米時代は終わり、雑誌社の特派員として日本行きを決意するようになった。▽その日本リポートは、千字で二十ドルという貧しい契約だったそうだ。ギリシャ生まれの英国人はこうして一八九〇年春に横浜に着き、桜咲く山々を見て「私はここで死にたい!」といったという。日本の風光を愛し、『雪女』『耳なし芳一』などを残したハーンの若き記者時代が明らかになったのが興味深い。・・・」・・・》

 なかなか興味深いラフカディオ・ハーンの、これまで明らかにされなかった人物像である。

『“文学的作物”をでっち上げるような記者』、『怪異や珍奇や神秘なものに注目』、『女の芳香」にこだわり、性愛に傾く情熱的な人間性』・・・。

 なんともはや、私などからみると、他人とは思えぬ人物像だ^^

 (余談)

 友達が熱く語ってくれたのだが、最近、楊貴妃についてのテレビ番組があり、それによると、楊貴妃は、アラブ系の女性であり、太っていたそうである(肉感的)。

 で、何よりも、その体臭が香しく玄宗(唐の第6代皇帝)を魅了したと言う。

 番組では、その、体臭が「ワキガ」だとも説明していたそうだが、その匂いは、民族の違いからだろうか、こちらの常識である「汗臭さの強烈なやつ」とは異なり、ちょっと「いい匂い」でもあったそうである。

 ムスク臭と言うか、フェロモン臭なのだろうか?

 (余談・2)

 曹操が主人公の三国志マンガ『蒼天航路(原作・李學仁 漫画・王欣太)』では、その主人公の若かりし頃、「水晶」と言う褐色の異民族の娘との悲恋が描かれていた。

 私は、それを読みながら、物語は抜群に面白いが、このエピソードは、マンガの作者の創作だろう、と思っていた。

 おそらく、李學仁氏の脳裏には、上記の楊貴妃のエピソードがよぎっていたのでは・・・。(李學仁氏は、近年亡くなっていたそうである。合掌・・・)

 (本題に戻る)

『ギリシャ生まれの英国人は・・・横浜に着き、桜咲く山々を見て「私はここで死にたい!」といったという。』

 実は、私も、とある異国で死にたいなどと言う願望がある。当然、カンボジアである・・・^^;

「異国で死にたい」などとのたまうのは、ある意味、いちお<保守派>の端っこに属する者として言語道断ではあるのだが、でも、こんな言い方も出来る。

 現代の日本には存在していない、私が思うところの<日本の原風景>と言うものが、カンボジアには存在している、と。

 私が真っ先に求める<日本>とは、武士道でもなく、歴史や伝統・文化でもない。

 ちょっとした自然の中、田んぼのあぜ道をチョコチョコと走り回り、キャーキャーと奇声をあげて遊ぶ子どもらのいる風景なのだ。

 私は、それを微笑ましく横目にして、仕事後の帰宅をするのだ^^

 そんな<日本の原風景>が、カンボジアにはある。

 かつて、私は、旅の果てに、アンコール・ワットに至り、その中央尖塔の脇に腰を下ろした。

 ワットの中心部からは、東西南北に参道が伸びている。西参道は正門があるので石畳の整備がされているが、他の三方は、緑に覆われている。

 その北側に腰を下ろし、前方を眺める。

 緑色の参道が、彼方に伸びている。そこに、両側から、多くの緑を湛えた木々の枝が張り出してきている。

 <ヴォールト状>と言う表現は、こういう時使うのかな・・・。

 緑のトンネルがずっと続いていて、彼方が見通せなくて、白色に溶け込んでいる。

 飲み込まれそうだった・・・。

 フワーッ・・・、と吸い込まれそうになりつつ、「ああ、この国で生きて、死ぬもまた良し・・・」と思ったのである。

 まあ、それは、旅先での感傷的なひとコマでもあるのだが、それでも、私は、私の死後、私の遺骨の一部をアンコール・ワット周辺に撒いてくれ、とは思っている。

 カンボジアの大地となり、子ども達が野山を走り回る姿を見守るも良い^^

 そして、歩く女性のスカートの中を、大地から鑑賞するも良い^^;;;

 ただ、問題がある。

 この大地には、大虐殺の血も流されているのである。

 怨念も多く残留していよう・・・。

 私は、そんな霊と、カンボジアの大地で、肌をすり寄せて来世を生きるのは嫌だ。

 怖い・・・^^;

 冗談めかして書いているが、私は、こと、自分の遺骨の分骨・散骨問題に関しては、これだけが嫌で、ずっと悩んでいる・・・。

 現世での現実問題とは別に、そう言った別の次元の問題をも考えてしまうところが、『雪女』や『耳なし芳一』で<異界>を著したラフカディオ・ハーンと似ているのだなあ。 

                                      (2004/09/27)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...