涙袋 ~現代居酒屋千夜一夜物語~

与四季団地

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   第62夜・『逝った者たち』

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 本職の残業やバイトを頑張っているので、危機的状況にあった我が家の家計も、どうにかこうにか持ち直してきた。
 本日は給料日だったのだが、給料日には、各種支払いが引き落とされる。
 これまでは、銀行口座がまちまちだったので、時間がなくて、お金を各口座に振り込む余裕がないと、すぐに「引き落とし不可」で、後日、支払い用紙などが送られてきて、まことに落ち着かない日々だったのだが、
 最近は、あらかじめ、各口座に必要な金額を振り込んでおくぐらいの、いわゆる「回せるお金」の余裕が出来てきて、嬉しい^^
 全ての支払いが順調に引き落とされたときの気持ちは、「テトリス」の、一度に四列消しを成功させたとき以上のスッキリ感だ。
 ・・・しかし、電気料金が一万五千円も掛かる母親との二人暮しの生活ってのは、いかがなものか?
 私が必死で働いているときに、家の中では、母親がどんな電力浪費ライフを送っているのか?
 この節電のご時世に・・・。
 かなり多い遺族年金を我が家計に遺した我が親父も、草葉の陰で苦笑いしているだろう。
   ◇
 先日、ポスティングのバイトで相模原を回っていたら、とある家の庭に面した窓が開かれ、女の子が、鳥のエサ箱を吹いていた。
 エサの、種(たね)の、残った籾殻みたいのが庭に飛ばされていた。
 そのしぐさは、インコを飼っていた我が家の、生前の父親の姿と重なった。
 鬼のような顔でもあった親父だが、小鳥のエサを「ふぅ~、ふぅ~」するしぐさはユーモラスであった。
 ・・・死んだ者たちのことが思い出された・・・。
 広島のフドーさんは、廿日市の角田議員宅でのオフ会を前に、魚屋さんで、注文していた刺身の盛り合わせを受け取りに行った。
 それを、私は車の中から眺めていた。
 大きな盛り皿を持って店を出、車に戻ってきたフドーさんは、・・・スキップしていた。
 ハンドルネームの通り、お不動さんや弁慶みたいなイメージのフドーさんが、ヒョコヒョコとスキップしていたのだ。
 微笑ましかった^^
 そんな思い出が残っている。
 中谷圭君のことも思い出した。
 彼とは、成田空港貨物地区での同僚だったのだが、彼は、空輸されてきた(台湾産か中国産か忘れたが)ウナギのダンボールを、フォークリフトの爪で貫いた。
 ダンボール箱の中でビニール詰めにされていた大振りのウナギが、倉庫の床に、大量にウネウネとこぼれだしてきた。
 中谷君は、フォークから飛び降り、泣き笑いの顔で、そのウナギを捕まえようとした。
 しかし、手から滑る滑る、滑りまくっていた!
 そのときのイケメンの中谷君の表情は、泣き笑いの度合いを限界まで高めていた・・・^^;
 その表情は、未だに鮮明に覚えている。
 ・・・いつか、天寿を全うしたとき、私は、彼らに会えるのだろうか?
                    ・・・(2011/10/26)
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