涙袋 ~現代居酒屋千夜一夜物語~

与四季団地

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   第83夜・『フェロモンT子…ストーカーやらハラスメント(1)』

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 まあ、いま仲良くしている女性の話を書こう。

 これまでもチラホラ書いてきたが、なるべく人物を特定させないように、各種、エピソードの構成因子(地名や年齢、人物など)を、わざとに変えてきたが、今回もそうする。

 これまでと、話に矛盾が生じるかも知れないが、ニュアンスで読み流してくれ。

   ◇

 T子さんは、結婚前から…、小学生の頃から、異性関係には困らされてきていた。

 多くの男に、勝手に惚れられるのだ。

 勝手に惚れられて、告白されて断ると、その日から二年半、中学に来なくなってしまった生徒もいる。

 その子は、学年でも一番人気の男の子で、もうみんな、その子とT子が交際するものだと大盛り上がりで(でも、T子はサラリとその気なく)、その子も、自信満々で告白してきて、状況が分からない中で、何事もなかったかのように振られ、後からジワジワと振られたことへの対みんなへの羞恥が起こり、学校に来れなくなったらしい。

 T子も心配したが、為すすべなく、後から、高校には普通に通っていると風の噂で聞いて、ホッと一安心したそうだ。

 ・・・このエピソードを、こんなに長く語るつもりはなかったのだが、もうちょい書く。

 それから、十数年が経ち、友人の結婚式場の廊下で、T子は、その男の子と数十年ぶりの再会を果たした。

 その子は、凄まじく怖い顔で駆け寄ってきて、T子の手をむんずと掴んで、式場の隅っこに引き寄せたそうだ。

「こ、殺される!!」とT子は思った。

 その子は言った。

「いいか!? 俺は、お前のせいで学校に通えなくなったんだからな! 分かったか!?」

 T子は、「は、はいいぃぃ・・・」と言うしかなかったようだ。

 と、「わかったら良し!」と、その子は去って行ったそうだ。

 ちょっと意味が分からなかったのだが、私がその心理を考えるに、男は、それでも、自分の人生とT子を絡めたかったのではなかろうかと思うのだ。

                      ・・・(すぐに続く 2014/05/09)
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