涙袋 ~現代居酒屋千夜一夜物語~

与四季団地

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第2章・この世界の片隅で

   第102夜・『原爆ドリル(後編)』

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   (前回からの続き)

 後から聞いた話によると、「原爆みたいなもの」は、建築会社が岩盤掘削に使うボーリングの先っちょだった。

 つまり、ドリルの先だ。

 それさえあれば、チリの鉱山落盤事故にも対応できるだろう代物だ。

 値段は数億円。

 習志野の現場では、数千人のドカチンが、ドリチンの届くのを今か今かと待っていたという。

 このボーリングのアタッチメントが届かないと、数千人の労務者の日当がムダに消えていくのだ。

 後から、同僚の中谷K君が、私を励まそうと「習志野まで土下座しに行こうよ!」と言ったが、それがギャグにならない状況だった^^;

 結果として、岩盤掘削に使うものなので、強度があり、どこも破損しておらず、最終的には、若干の時間の遅れで習志野にドリルは搬送されるに至った。

 しかし、この数時間の経験は、私にとって、地獄のような圧迫感のひと時だった。

「ウギャーッ!」と誰かれ構わず殴りたかった。

 私には、この時の経験があるから、秋葉原連続殺傷事件やマツダ本社工場連続殺傷事件の犯人の気持ちが、認めることなどは出来ないが少しは想像出来る。

 事情聴取では、私は、こう言って逆ギレした。

「本来、木箱の中に固定されていたドリルを、検査のために外すはいいが、それをちゃんと固定しないで、木箱の蓋は閉めていた税関職員の方こそ問題にされるべきだ!」

 でも、結局は、貨物を派手にぶちまけたのは私なので、「ゴメンなさい」した^^; ・・・≫

   ◇   ◇

 ・・・なかなか面白いでしょ?

 これまで何度か書いたかもしんないけど、この事故を起こした日の夜、私は、文中のつきあっていた娘と、つきあって初めてキスしたんだよね。

 世の中、悪いことと良いことは、同時に押し寄せてくるんだよなあ。

 また、>>「その検査室(正式なネーミングは忘れた)」と書いていますが、今、思い出しました。

 内部点検場・・・、略して「内点場」と言いました^^

                  ・・・(2014/03/26)
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