涙袋 ~現代居酒屋千夜一夜物語~

与四季団地

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第2章・この世界の片隅で

   第152夜・『「幸福な王子」である私の料理へのイチャモン』

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 私は、料理をしてきた経験が少なく、テクニックや知識の蓄積はない。

 だけども、いざ、仕込みや調理をするときは、レシピ通りで手抜きはしない。

 だから、たまに、仕込むのが面倒なときは、アランチーニやフリッタティーナなど、品切れが続いたりする。

 ものは取りようだが、いい加減でない点があるから、品切れの時が多々ある^^;

 さて、私の作るトリッパ(牛の第2胃袋ハチノスのトマト煮込み)に、さりげなく文句を言ってきた人がいた。

 曰く、「トリッパと言うものは臭みがあってこそトリッパで、臭みが残ってないものはトリッパとは言えない。そう、俺の師匠が言っていた」

 私の作るトリッパは、香味野菜やスパイスを使って、極力、臭みを消すための下拵えに時間をかけている。

 私は、相手に笑顔を向けつつ、「こいつ、ウゼー! 死ねばいいのに^^」と思った。

 二重の意味でうざかった。

 先ず、妄想か本当かわからんが、先ず、「師匠」と言う存在をカサに着ているのもうざいし、「師匠」を出すことによって、その下で修行した「弟子」の自分をアピールするのもうざい。

 また、「師匠」の話が嘘ならばいいのだが、修行の云々ではなく、内臓の調理と言うものについて純粋に思考すれば、内臓の料理は「臭みを消すのにまい進されてきた歴史」と言うもの以外の何ものでもないことがわかるはずだ。

 もし、その「師匠」とやらが存在し、「臭みが残ってないものはトリッパとは言えない」などと、理論として語っていたとしたら、何十年 料理界にいても、料理の何たるかをなーんにも分かっていないと言うことだ。

「臭みが残ってないものはトリッパとは言えない」などと言う言葉を吐くに至る経験は、ずーっと「臭みの残った手抜きトリッパ」を食べさせられ続けて、それが「そういうもの」だと思ってしまったに過ぎない。

 例えば、そういった、臭みが残っているものが「好き」と言う「好み」の問題だったら、公言し続けるのもいいけど、それを「理屈」として語ることは、常識がないのを周囲に知らしめているということに他ならない。

 そもそも、その人は、私に、なんかイチャモンをつけたいから、そんなことを言い始めたのだろう。

 まあ、その人にとっては、ちゃんと料理原則・飲食業原則・商業原則・経済原則に則って店舗経営できている私の存在はムカつくのだろうな、うひゃひゃひゃひゃ^^;

 ちなみに、その男の店は赤字が常態である^^;

 「師匠」とかほざくヤツの店はうまくいった試しがねぇ!

                      (2015/11/10)
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