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第2章・この世界の片隅で

   第166夜・『ナカヤくんの飲酒事故:前編』

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 ・・・中谷君が亡くなって、もうすぐ一年になる(当時)。

 彼の話を書くとしましょう^^

   ◇

 私と中谷君は、成田空港の貨物部で働いていたときに知り合った。

 歳が10歳も違うのに、親友になった。

 私は、その、貨物部で正社員として働いていただけでは給料が安かったので、成田のターミナルのレストランでバイトもしていた。

 中谷君も、追って、そこで、ともにバイトをした。

 そこには、女子高生がいっぱいバイトに来ていた。

 私は、もう三十路に達していたのだが、「お父さんがバイトをしても良いって言ったの^^」と初バイトに来ていたような無垢な女子高生とつきあうことになったりして、我が世の春を謳歌していた。

「ああ、俺、あの子とつきあいはじめたから」

 と、私が言ったときの、中谷君の表情は最高だった。

 中谷君は、イケメンである。

 その端正な顔に驚愕の表情が浮かぶのは面白い。

 ただ、中谷君は、感情表現が、その表情であっても下手なので、チック症のように引き攣っていたものだ・・・。

   ◇

 さて、そのバイト先では、若者たちで集まって、花見やら、心霊スポット巡り、深夜の成田山大かくれんぼ大会などを催して楽しんだものだ。

 ある日、とある、老人の介護職につきたいけど、いい就職口が見つからず、昼はバイト、夜は水商売をしていた不感症の<お姉さん(名前は忘れてしまった)>のアパートで鍋パーティーをした。

 みんな(8~9人くらい)で飲んだくれた。

 私は、ビールかなんかを適度に飲んでいた。

 中谷君は、焼酎を「何か」で割って飲んでいた。

   ◇

 さて、午後10時近くなり、私は、女子高生の彼女の門限があったので、車で、成田から八街まで送った。

 飲酒運転であるが、この頃は、今ほどには、社会的に問題視されてなかった^^;

「あ~あ、大人はいいなぁ…、みんなはまだ楽しく過ごすんでしょ。私も早く大人になりたいよぉ」などと可愛くぼやく彼女を八街に送り、私は成田にある<お姉さん>のアパートに戻った。

 皆、いい気分で酔っている。

 私も楽しく飲んだ。

 さて、しかし、時間が午前1時を回ったとき、私は、翌日の仕事が超早番(午前六時から)だったので、帰ることにし、中谷君には、巨乳のシオミンをちゃんと家まで送るように頼んでおいた。

 で、富里の寮に戻ると、すぐにベッドに入った。

 酔っていたし、凄まじく眠たくもあった。

 これで、三時間は眠れるだろう。

 ・・・が、携帯が鳴った。

              ・・・(すぐに続く2010/06/01)
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