妹転生!~妹への愛が止まらないのに、何故か僕には妹がいない~

百円玉

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一章

第3話 転生といえば、魔法だよね!

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「すてーたす!」

 ――おかしい……。僕の読んでいたライトノベルではステータスと叫ぶことによって、自身の成長度が確認できるはずなのに……。

 母親の妊娠が発覚してから数か月、不安定だった体調も落ち着いてきた頃、この世界の言葉もだいぶ覚えてきたので、満を持してあのワードを叫んでみたのだが、当てが外れてしまった。

 困ったな……。

 というのも魔法は、僕の目的を果たすための強力な手段になると考えているので、魔力の成長度合いを確認するためにステータスを確認しようと思ったのだ。
 しかし、そう上手くはいかないようだった。

 うーむ、こういうときは人に頼るのが一番だな!

「まみー!まみー!」

「あら、どうしたの、私のかわいいぼうや?」

「まみー!僕、魔法の勉強がしたい!」

「まあ!お勉強がしたいだなんて、なんてお利口さんなの?……うーん、でもね?魔法は使い方によってはとても危険なものなの」

「魔法を使えるようになって、冒険者になりたいんだ!」

「あらあら、やっぱり男の子ね。でも魔法は本当に危ないのよ?」

 うーん、やっぱりそう上手くはいかないみたいだ。

 まあ、僕のバイブルであるライトノベルによると、強大な力を制御できずに暴走!
みたいなパターンもあるらしいからな。うむうむ。
 事象改変や、重力操作、空間魔法などなど、使ってみたい魔法は山ほどあるけれど、考えただけで力に飲み込まれてしまいそうだ。危ない、危ない。

 でもよく考えたら僕の高い自制心があれば、そう簡単に力に飲み込まれたりはしないはずだ。
 今も少し飲まれそうになってはいるが、ギリギリのところで理性を保っているのだから、きっと上手くいくに決まっている。

 さて、どうやって魔法を教えてもらおうか……
 一度断られたぐらいでは屈したりしない。僕はちょっとだけ諦めが悪いのだ!

「まみーに魔法を教えてもらいたかったけど、お父ちゃんの剣でがまんしよ……」

 よし!上手くできたぞ!

 産まれてから3年間、四六時中、赤ん坊を演じていたことが活きている。
 今のは、悲しそうな顔をして相手の同情を誘うという高等テクニックである。
 それにより、僕の期待に応えられなかったという後ろめたさから母親の胸がチクリと痛んだはずだ。
 おまけに、父親に僕のことを取られてしまうという焦りを感じさせられたことだろう。きっと僕は溺愛されているはずなので、そうに違いないのだ。

「そうね!ぼうやに頼まれたら、お父ちゃんも張り切って教えてくれるんじゃないかしら!」

 効いていない、だと……?

 いや、大丈夫だ。僕の演技は完璧だったはずだ。
 恐らく母親は、僕の揺さぶりにより、混乱の渦中におり、今にも溺れかけている状態なのではなかろうか。
 だからこそ、思ってもいない戯言を吐くことができるのだろう。
 自分が何を喋っているのか理解が出来ていないのだ。
 大丈夫だ、まだ焦る時間ではない。何故なら彼女の心は崩壊寸前なのだから。
 ここは畳みかけるチャンスだ!

「まみー……魔法を教えるなら今しかないよ……?無料だよ?明日になったらちょっとお金かかっちゃうかも……」

「……なにを言ってるの?まったくこの子はどこでそんなことを覚えてきたのかしら!お父ちゃんね?お父ちゃんしかいないわよね?」

「う、うん……」

 母親の勢いに、ついつい頷いてしまったが、そんな事実はない。
 僕は押しに弱いのである。

「ぼうや、まみーはちょっとお父ちゃんとお話しないといけないから、魔法はまた今度ね?」

「う、うん……程々にね……」

 どうしよう、僕が変なこと言ったせいで、父親が説教されてしまうかもしれない。
 だが、無垢な3歳児の僕にできることはないのだ。
 父親には甘んじて説教を受けてもらうしかないのである。

 魔法については、なんだか想定と違ったが、「また今度」と言っていたということは、今度教えてくれるのだろう。
 3日後ぐらいにまた声を掛けてみようかな。

 それでも教えてくれないようなら、泣き喚いて駄々をこねることにしよう。
 教えてくれるって言ったじゃーん!!!!嘘つきー!!!という感じだ。
 教えるとは一言も言っていなかったが、こういうのは勢いなのだ。
 大抵の場合、こちらが聞く耳を持っていなければ、余程のことでない限り相手が折れてくれるものだ。
 交渉とは、どうあれ自分の要求を通すことが何より重要だ。
 僕の交渉術における切り札である。切り札は勿体ぶらずに使う派なのだ。
 前世がある僕としては少しプライドが邪魔をするが、今の見た目は無垢な3歳児なのだ。問題はないと思うことにしよう。
 それにこのぐらいわがままを言った方が両親としても嬉しいだろうしね。
 いや、よく考えたら親の喜ぶことを率先してやっているわけだし、褒められてもいいはずだ。

 後日、駄々をこねにこねまくって、呆れた母親がしぶしぶ魔法を教えてくれたのだった。
 しかし、ステータスに関しては、母親は知らないと言っていた。うーん残念だ。

 ちなみに、剣は習わないと父親に言ったところ、とても悲しそうな顔をしていた。
 そして、一晩色々と策を考えたのだろう。
 僕が魔法を練習している傍らで、これ見よがしに剣を振り、時折「いや~剣は楽しいなぁ、ついつい握りたくなるんだよ~。いや~、ほんとロマンだよ、ロマン」などと、無駄に大きな声で言ってくるようになった。
 視界の端にチラチラと映り込む父親の姿はとても鬱陶しかったが、それを毎日のようにやられると、ちょっと習ってみようかな?という気にさせられ、結局魔法の練習後に剣も練習することになったのだった。

 しかし、毎日のように剣の稽古を付けてくるのだが、父親は一体いつ仕事をしているのだろうか。少し心配である。

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