俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~

風見 源一郎

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最深部の脅威

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 シルヴィと俺は、最深部への扉を開いた。重厚な扉が軋む音を立てて開くと、中から冷たい風が吹き抜けた。俺たちは息を呑んだ。目の前には、広大な空間が広がっていた。天井からは青白い光を放つ結晶が垂れ下がり、幻想的な雰囲気を醸し出している。床には複雑な魔法陣が刻まれ、かすかに光を放っていた。部屋の中央には、巨大な石柱が立っており、その周りを小さな魔力の渦が回っていた。

「来るぞ」

 突然、地面が揺れ始めた。小石が跳ね、壁から砂埃が落ちてくる。金属の軋む音とともに、巨大な魔導機ゴーレムが姿を現した。その体は魔力を帯びた金属で覆われ、両腕には複雑な魔法陣が刻まれていた。頭部には赤く光る一つ目があり、俺たちを捉えた。

「こいつがこのダンジョンのボスか」

 俺は『ミミックブレード』を構えた。これまでの道中で見てきたモンスターと同じ、硬質系。クラフターの俺には少々骨の折れる相手だ。こういうのは腕力自慢の戦闘職が最も相性がいい。

「気をつけて、ロアン」

 ゴーレムは一瞬の間を置いた後、突如両腕の魔法陣を発動させた。青白い魔力の弾が、まるで雨のように俺たちに向かって降り注いだ。
 俺は素早く身をかわし、魔力の弾をミミックブレードで斬り飛ばすことで、魔力を充填しながら身を守る。シルヴィは防御魔法を展開し、飛んでくる魔力の弾を防いでいた。
 隙を見て俺は反撃に出た。剣を振るい、ゴーレムの脚を狙う。しかし、刃がゴーレムの装甲に当たると、火花が散るだけで、ほとんど傷をつけることができなかった。

「これは……っ」

 俺は眉をひそめた。ゴーレムの装甲は予想以上に硬く、通常の攻撃では歯が立たない。ミミックブレードの特性を使えば倒せるだろうが、それを使うことに躊躇いがあった。その能力は一度使うと、再充填に同じ魔物を倒す必要があるからだ。
 そして、俺はこのとき、シルヴィの言った「気をつけて」の意味をまだ理解していなかった。シルヴィのバフを受けて特攻した俺は、特性の引き出しではなく魔力の大量展開によって攻撃力を上げる。こいつにシルヴィの魔力をそのまま流し込めたら早いのだが、かつて彼女とタッグを組んで戦っていたときにその膨大な魔力が爆発して死にかけた事がある。そこそこ高純度の魔石に値する魔力を自前で使わなければならない。こいつから得られる素材と魔石の合計価値よりも低い範囲で。

 シルヴィが支援魔法を重ねてくれて、ほんのりと金色に光るほどの魔力に包まれた俺は、体内を駆け巡る力を感じた。攻撃力と防御力が大幅に上昇するのを感じる。再びゴーレムに向かっていくと、今度は反応が違った。強化された俺の攻撃が、ようやくゴーレムに傷をつけ始める。金属を裂く音が響き、ゴーレムの装甲に亀裂が入った。
 しかし、それでもまだ決定打には至らない。ゴーレムは激しく抵抗し、部屋中に魔力の弾を撒き散らす。そうして攻撃を防いでいる俺に向かって、今度はわかりやすい直線のパンチ──それに合わせて回避行動を取った俺だったが、魔法陣がゴーレムの腕を消したかと思うと、真横からその一撃が飛んできて、俺は馬車サイズの鉛玉に弾かれたかのような衝撃を受けながら吹っ飛んだ。景色がぐるぐると回って、鈍い打撃音と共に壁に激突し、床に倒れ込む。

「ぐっ……!! かなりイかれた……」

 俺の服は特殊な魔力障壁が張ってある。そのため、大きなダメージにはならなかったが、シールドをいくつか破られた。これもどこかで再装填する必要がある。先にシールドのほうがなくなったら、俺は終わりだ。
 やはり、戦闘職でない俺が、クラフトスキルの力に頼ってもこんなものなのか。いや、だが、それにしたって、C級に近いダンジョンにしては強すぎる。ミミックブレードの出力とシルヴィのバフで壊せない体なんて、そんなのB級にだってそうはいないというのに。

「ロアン。アレ、そこら中から大量に魔力を吸収してるよ。それも普通の質じゃない純度の。B級上位のボスと思って戦ったほうがいいかも」
「先に言ってくれそういうのは……!」
「私が粉砕しようか?」
「い、いや……。いい。俺が片付ける」

 俺は一瞬迷った後、ミミックブレードの特性を発動させることを決意した。
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