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決意。
先生、これは18禁乙女ゲームじゃありません。
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次期女王として表舞台に出る。
そんな決心が出来る日が来るとは思いもよらなかったが、そろそろ潮時だと言う事も、理解していた。
・・・――――そして、諦めていた。
もう二度と平凡な日常など望めはしないのだと。
だけど、天利ちゃんに出会えた事で私の中の何かが変わったこともまた確かだ。
そして、彼女と色んな話をする事が出来た。
彼女は、真面目で、芯が強くて、どんなことにも一生懸命で、真っ直ぐな人だった。
彼女の凛とした横顔を見ていると、眩しくて、かっこよくて、人間の真の美しさとはこういうものなのだと思った。
「さすが、ゲームのヒロイン!!」と、一言で片付けることは出来ない。彼女の人生はそんな生易しいものではなかっただろう。
父は、結局、養子と言う形はとらず、戦闘員育成のための養成所に我が子を託したらしい。
父母と密かな交流はあったようだが、けっして甘やかされず、厳しい訓練と教育を施されてきたようだ。
お互い、ボロクソに言い合ってはいたが、揺るがぬ固い絆を感じた・・・――――。
彼女は、はっきり言った。「私は、けっして不幸ではなかった」と。
私を怨んだこともあったに違いないのに、一緒に国を支えて行きたいとまで言ってくれた。
彼女は強い人だ。器が違う。
―――・・・父に、そして母に、『似ている』と、思った・・・。
私は彼女に相応しい人間にならなくてはならない。
そして彼女が誰よりも厳しい目で私を見ていてくれるのなら、友人として、隣に居て欲しいと思った。
私を恨んでいるかもしれない相手が、私の初めての友人にと、お願いしたところで、鼻で笑われるかもしれないが、彼女は私の鏡だ。
私が情けない行いをすれば、激しく非難し、笑っていても辛いときは、・・・・・分かっていてくれるだろう、彼女だけは。
逢ったばかりの彼女に、なぜそう信じられるのか、不可解でならないが、例え、そうじゃなくとも、そう、思える人に出会えたことが最高にうれしくて。
そして、私を産んでくれた母。
3年前、私とユーリウス先生との結婚が正式に決まり、王宮で上流階級による、お披露目についての協議の真っ最中、私の報告書を読んでいた女王は、
『馬鹿に会う気は無い』とバッサリ報告書を放り投げ、次期女王のお披露目を無期で延期にすると言う決定を独断で下した。
私の惨憺たる成績表でも見たに違いない。
その事を聞かされた時、私はこう思ったのだ。
「あ、この人好きだ。」と。
最大の理由は、ホッとしたのである。責任の重圧。何より今までの世界が一変することが嫌だった。
この事を教えてくれたのは、義理の母だ。
どうしてそんな、産みの母の私への拒絶とも取れる言葉を私に教えたのか?と父に問われた母は、「私が、葵のママだから!」と言った。
焼餅とも取れる言葉に、くすぐったくって、嬉しくて、――――・・・笑ってしまった。
そうしたら、皆、ホッとしたのか、いつの間にか、家族全員で大笑いしていた。
そのような経緯で産みの母である女王とは、出生の秘密を知らされてから実に4年間、会う事もなく過ごして来た。
『馬鹿に会う気は無い』
私はその言葉に救われた。その言葉で、私は、平穏で宝物のような4年間を、送る事が出来たのだ。
青春と言うものが、どう言うものなのかは、人それぞれかもしれないが、人を愛して、先生の優しい腕に包まれ、過ごした歳月は、まぎれも無く、掛け替えの無い思い出で満たされている。
この4年間は、女王である産みの母からの最高の贈り物だった。
そして、時は満ちた。
私は、日本王国次期女王になる。
そんな決心が出来る日が来るとは思いもよらなかったが、そろそろ潮時だと言う事も、理解していた。
・・・――――そして、諦めていた。
もう二度と平凡な日常など望めはしないのだと。
だけど、天利ちゃんに出会えた事で私の中の何かが変わったこともまた確かだ。
そして、彼女と色んな話をする事が出来た。
彼女は、真面目で、芯が強くて、どんなことにも一生懸命で、真っ直ぐな人だった。
彼女の凛とした横顔を見ていると、眩しくて、かっこよくて、人間の真の美しさとはこういうものなのだと思った。
「さすが、ゲームのヒロイン!!」と、一言で片付けることは出来ない。彼女の人生はそんな生易しいものではなかっただろう。
父は、結局、養子と言う形はとらず、戦闘員育成のための養成所に我が子を託したらしい。
父母と密かな交流はあったようだが、けっして甘やかされず、厳しい訓練と教育を施されてきたようだ。
お互い、ボロクソに言い合ってはいたが、揺るがぬ固い絆を感じた・・・――――。
彼女は、はっきり言った。「私は、けっして不幸ではなかった」と。
私を怨んだこともあったに違いないのに、一緒に国を支えて行きたいとまで言ってくれた。
彼女は強い人だ。器が違う。
―――・・・父に、そして母に、『似ている』と、思った・・・。
私は彼女に相応しい人間にならなくてはならない。
そして彼女が誰よりも厳しい目で私を見ていてくれるのなら、友人として、隣に居て欲しいと思った。
私を恨んでいるかもしれない相手が、私の初めての友人にと、お願いしたところで、鼻で笑われるかもしれないが、彼女は私の鏡だ。
私が情けない行いをすれば、激しく非難し、笑っていても辛いときは、・・・・・分かっていてくれるだろう、彼女だけは。
逢ったばかりの彼女に、なぜそう信じられるのか、不可解でならないが、例え、そうじゃなくとも、そう、思える人に出会えたことが最高にうれしくて。
そして、私を産んでくれた母。
3年前、私とユーリウス先生との結婚が正式に決まり、王宮で上流階級による、お披露目についての協議の真っ最中、私の報告書を読んでいた女王は、
『馬鹿に会う気は無い』とバッサリ報告書を放り投げ、次期女王のお披露目を無期で延期にすると言う決定を独断で下した。
私の惨憺たる成績表でも見たに違いない。
その事を聞かされた時、私はこう思ったのだ。
「あ、この人好きだ。」と。
最大の理由は、ホッとしたのである。責任の重圧。何より今までの世界が一変することが嫌だった。
この事を教えてくれたのは、義理の母だ。
どうしてそんな、産みの母の私への拒絶とも取れる言葉を私に教えたのか?と父に問われた母は、「私が、葵のママだから!」と言った。
焼餅とも取れる言葉に、くすぐったくって、嬉しくて、――――・・・笑ってしまった。
そうしたら、皆、ホッとしたのか、いつの間にか、家族全員で大笑いしていた。
そのような経緯で産みの母である女王とは、出生の秘密を知らされてから実に4年間、会う事もなく過ごして来た。
『馬鹿に会う気は無い』
私はその言葉に救われた。その言葉で、私は、平穏で宝物のような4年間を、送る事が出来たのだ。
青春と言うものが、どう言うものなのかは、人それぞれかもしれないが、人を愛して、先生の優しい腕に包まれ、過ごした歳月は、まぎれも無く、掛け替えの無い思い出で満たされている。
この4年間は、女王である産みの母からの最高の贈り物だった。
そして、時は満ちた。
私は、日本王国次期女王になる。
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