先生、これは18禁乙女ゲームじゃありません。

bara10jisya

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「妖怪口吸い」の作り方。

先生、これは18禁乙女ゲームじゃありません。

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ソビエト皇帝アンドレイ・アレクサンドロヴィチ・ロマノフは、待ちに待った、次期女王葵との対面を果たし、希望通り葵との結婚も無事決まり、その結果に程々満足していた。

だが、それからというもの、葵の訪れが全くないまま、なんと10日が過ぎようとしている。
婚約に際し、武力にモノを言わせた感は否めないので、甘酸っぱい婚約期間など到底望むべくもない事だと、寂しい気持ちを抑えながらも、健気に自分を納得させてはいたが、33年の人生で初めて「恋」を知ったばかりの彼には、少々酷な事態に途方に暮れていた。

関係者に、彼女の所在を尋ねても教えてくれず、次期女王はお元気ですとしか答えてくれない。
そして、今や、アンドレイは、『放置プレイか?!』とかつぶやきながら、すっかり拗ねてしまってる状態だった。

別室に移動してくれとの、学園側関係者の再三の懇願も意固地に断り続け、相変わらず優雅に鍵の掛かっていない牢獄生活を満喫している体を装い、本国から送られてくる書類を一心不乱に確認決裁していた。
そして明日は、いよいよ正式に上流階級達の前で、婚約発表をする段取りとなっている事を学園側から知らされた。

発表は葵と二人で行うらしい。二人で!

なのに葵はやはり一向に姿を見せてはくれなかった・・・・――――。





そしてこれ。


『夜這いにいらしたそうです』

『またか!』

日本王国に捕虜という名のホームステイをしてから連日、何故か世界各国あらゆるタイプの巨乳美女が夜伽に訪れる。もちろんすべて断っているが。
各国の要人たちが、誼みを結びたいがために、こういうもてなしをする事は珍しい事ではないが、婚約したばかりの彼に、この接待は、あまりにも無神経過ぎるだろう。

『ちなみに陛下のストライクゾーン真っ只中の巨乳美女!』

『・・・・・・・・・・・・・』

『ど!ストライク』

『・・・・・・ストライク・・・・?』

『そうです。ど!!』

『――――ふん・・・「恋する男」を舐めるなよダニール。現在、私のストライクゾーンは私の広大な人間的度量とは反比例している。なんたって葵ただ一人になってしまったんだからな。』

『自分で言うか』

今回一緒に連れてきた片腕の一人、ダニールに向けアンドレイは、自分でも『それはない』と思いながらも、切望せずにはいられない自分を自嘲しながら、思わず、

『それとも、私の愛するただ一人の巨乳美女が夜這いに来たとでも?』

と、口にしていた。
その顔には、今まで見せた事の無い傷つきやすい痛々しさが垣間見え、ダニールは言い方がまずかったかなと、ちょっと反省した。

すると、鉄格子の付いたドア方向から、


『正解です。あなたの婚約者が夜這いに来ました』


と、信じられない待ち焦がれた声が聞こえた時、周りに居た部下達は気を利かせて出て行った。
そして入れ替わるように彼の前に現れたのは、以前より少しやつれて美貌に一層磨きが掛かったように見える葵の姿だった。

詰襟のグレーに黒の小さい包み釦が愛らしい、前ボタンの清楚なシフォン地のワンピース姿で、禁欲的とさえ言えるような雰囲気を漂わせながらも、妖艶な何処か闇を秘めたような紫紺の瞳、ぷっくりと膨らんだ赤い唇の煽情的な危うさが、彼の劣情をそそる。
10日ぶりに見る恋しい人の顔に、アンドレイは胸が高鳴り嬉しさがこみ上げたが、傷ついても居たので思わず意地悪な言葉が出てしまった。

『神崎は知っているのか?』

『・・・―――怒っているんですね。長い間、放って置いてごめんなさい。あなたには、理由を知る権利がある。
・・・・一言で言うなら、先生と私達夫婦には、この10日間が必要だった、どうしても!!
・・・・そして今、私をあなたの許に送り出したのは―――――――・・・ユーリウス・玲人・神崎。』

アンドレイ思わず目を見張った。

『・・・意外ですか?
先生・・・、私の夫、神崎という人は、そう言う人です。
私が少しでも重荷を感じることのないように、自分から私をあなたへ送り込むという形をとった・・・・。』

葵は、やるせないような笑を浮かべた。

『アンドレイは此処に来てからず~~~っと、巨乳美女に言い寄られているでしょう?
そして断り続けた。
この10日間、私に放って置かれてもあなたは変わらずに固い意志を示し続けたそうですね。
あれは学園関係者達の仕業です。・・・―――合格したようですよ?私の「夫」として。

・・・・――――それとも・・・嫌いになりましたか?私の事を』


アンドレイは、思わずと言う風に葵に駆け寄り、手を差し伸べたものの、結局、葵に触れることは出来ず、寂しげな目をして、ゆっくりと腕を下した。

その彼の仕草に、葵の胸が痛むと同時に、『紅のアンドレイ』とまで言われた男が、「僕は、いらないの?」とでも言うように、悲しい子犬の目をして、臆病に葵から手を引っ込めた事に、葵はガツンと、メガトンパンチを食らったような衝撃を受けた。

ぐっと来た。ギャップ萌えと言うヤツだ。

葵は、滾る衝動の赴くままに、彼の腰をぎゅっと抱き締める。
そして、まさかの展開に呆然としているアンドレイの手を引き、広大なベッドに彼を押し倒した。
そのまま、彼に馬乗りになる。

『今度はアンドレイが私を試す番です。・・・でも―――・・・』

そういいながら、彼が固唾を呑む中、前釦を一つ一つ外して行く・・・・―――。
彼の目の前で、ツンと布を押し上げるかわいい乳首が生々しくアンドレイを誘い、するりと布が、肩からこぼれ落ちた瞬間、今まで見え隠れしていた、吸い込まれそうな素肌に、今だ情交の跡が生々しい薄紅の痕跡をあらゆるところに印された、全身を彼の前に曝け出した。

『「夫が2人いる」と言うことはこう言う事です。あなたはこんな私でも抱くことが出来ますか?』

『‥………………………………………』

アンドレイは、真珠色のまろやかな隆起に、目が釘付けになりながら、頭が真っ白になるという体験を生まれて初めて体験していた。
まるで言葉にならなかったが、彼の言うところの「フランクフルト」だけは前衛芸術的に、彼の素直な思いを声を「大」にして訴え掛けており、それに勇気をもらった葵は、緊張で震える手で彼の服を脱がせながら、アンドレイの美神のような見事な肢体に、幾つもの傷跡が飾り付いているのを目の当たりにし、彼の壮絶な歴史を垣間見た気がして、胸を締め付けられながら全身の古傷をキスで癒すようになぞり、

彼の焼き尽くされそうな飢餓感に満ちた眼差しを見詰めながら、彼の一途な想いに報いるように、

全身全霊を傾けて、彼を愛した――――・・・。


そして、アンドレイは、渇望していた葵との愛の行為に、全身を喜びで震わせながら彼女を怖がらせないように、出来るだけ優しく体を入れ替え、彼女の柔らかな体を組み敷き、

『本当に・・・、いいのか・・・?』

最後の確認の言葉を、搾り出した。ただ、葵の為に。

『・・・・――――アンドレイ。この場で、そんなことを聞いてくれる、あなたの事が、・・・・大好きです。』

汗に濡れたアンドレイのこめかみを手のひらで拭いながら、葵は泣き笑いを浮かべる。

アンドレイはその時、恋のブレーキが破裂する音を聞いた。
葵に優しく引き寄せられた、アンドレイは、鉄くずと化した、自制心を全力でセロテープで張り合わせながら、熱い唇を余すところ無く這わせ、彼女を何度も忘我へと導くという、偉業を成し遂げた。


「肌が合う」という言葉がある。
相性が良いという予感はあったが、まさにその言葉を克明に解き明かされたような、お互いが溶け合い呑み込まれる様な肌の感触。
脳天を蕩けさせる芳しい香り。
恍惚とした愛くるしい表情を浮かべながら、自分の名をうわ言の様に呼ぶ少しかすれた甘い声。
その何もかもに全身が痙攣するほど虜にされ、長いうねりの中で強すぎるクライマックスに溺れきり・・・――――。
文字通り「抜け出せなくなった」アンドレイは、一晩中葵を、切なくさせるほどに優しく愛しみ続けた。



そうしてアンドレイの初めての初恋の痛みは、彼の愛しい魔女の魔法のキスによってペロリと癒され、血に塗れ「紅のアンドレイ」とまで言われていた彼を、いつの間にか可愛い「妖怪口吸い」という謎の魔物へとモデルチェンジしてしまったのである。









*******************************************

そして、翌日。


学園会議室では、上流階級最高幹部16人が顔をそろえ、沈痛な面持ちで、次期女王の訪れを待っていた。

次期女王が、ソビエト帝国皇帝アンドレイ・アレクサンドロヴィチ・ロマノフとの政略結婚に同意したと夫のユーリウス・玲人・神崎から上流階級、最高幹部達へ連絡があったきり、次期女王は、この10日間一切姿を現さない。

  次期女王の心痛は如何許いかばかりだろう。

  我々民のためにその身を犠牲にし、結婚間もない最愛の夫と板ばさみになり、この決断を下すのは、血を吐くほどの苦しみだったに違いない。

  しかも、相手が悪過ぎる!!

  この20日間ほどで、調べた結果、
  あのアンドレイ・アレクサンドロヴィチ・ロマノフという男は、恐ろしい経歴の持ち主である事が判明した。
  彼がまだ13歳のとき、無能な指揮官が戦況を滅茶苦茶にした揚句に呆気なく戦死した。
  敗戦色濃い中、誰かの陰謀だったのだろうか、アンドレイ・アレクサンドロヴィチ・ロマノフ少年は、その若さで、最高指揮官として戦場に駈り出される。
  822対4000。その絶望感漂う中、この少年は、初陣にして天才的な戦術家としての、能力を遺憾なく発揮し、奇跡の逆転劇を演じ、華々しい勝利を飾った。
  以来、20年間いまだ負けなしと言う不敗神話を持つ。

  伝説にさえ成りつつある、ソビエト帝国の英雄。


  『紅のアンドレイ』だと言うではないか!


  そのゆるぎない名声と類稀なる容姿で、民衆に絶大な人気を誇る、カリスマ性。

  実は、12番目の、21歳の同名の弟を騙っていたとは言え、16人兄弟の4番目だと言うのにも拘らず、皇帝の座を手中に収めた。
  そして、今まで国を腐敗させてきた重臣、親族を眉一つ動かさず、根こそぎ粛清したという、その手腕。


  「冷血無比な戦神の寵児。」


  こんな「化け物」に喧嘩を売る馬鹿はいない。
  まして、国のためを思うなら、戦争など以ての外だ!!

  だが、あの男は、我々の女王を力尽くで奪うのではなく、「入り婿」になるという。
  頭も悪くないようだ。
  もし、力尽くで奪われたのなら、日本王国兵は最後の一人となったとしても、戦い続ける。



  我々「カッコウの国」にとっての『女王』とは、そう言う存在なのだ。




  とは言え、我々は、掛け替えのない次期女王の意思にだけ従うと言いながらも、
  結局!!あの、いたいけな次期女王自身に、選択の余地もない「決断」を押し付けただけの、卑怯者なのだ!!



  今でも目に浮かぶ。
  天才戦術家としての、噂しか聞いた事のなかった怪物の、初対面で垣間見せた、とても信じられない、あの「奇行」!
  あの変人を、次期女王の清廉な瞳には、どのように映し出されたのだろうか?!
  もう一人の夫である。ユーリウス・玲人・神崎が、大変な人格者なだけに、頭を抱えたくなる。



  その次期女王が、いよいよ我々の前に姿を現すと言う。

  会議室全体が重苦しい空気に包まれる中、皆、己の無力さを噛み締め、次期女王の訪れを待った。



  そして、次期女王入場の先触れが場内に響き渡る。

  皆、一斉に跪き、ただただ、こうべを垂れる。
  そして傍を1人の足音が通り過ぎるが、誰も顔を先に上げる事はなかった。出来なかったのだ!


  「おもてを上げなさい」と言う涼やかな声が聞こえ、そこに直り、初めて女王を見る。


  何んと、次期女王は、アンドレイ・アレクサンドロヴィチ・ロマノフに、片手で抱き上げられ、今は首座に座らせてもらっている。
  いつもは居る、ユーリウス・玲人・神崎は、やはり来ないようだ。
  何があったのかは知らないが、アンドレイに甲斐甲斐しく世話を焼かれている。



  「えーーーっと。皆に報告することがあります。もう知っている事と思いますが、一応、ねんのため。」

  と、頬をピンク色に染め、可愛らしく話し出す。最高幹部達は、オヤッ?っと、思わず目を見張った。
  沈んでいるはずの次期女王が、喜びに輝いて見える。
  願望のなせる技だろうか?と疑うが、取り敢えず話を聞く事にする。

  「こちらが、今度、私と、『恋愛結婚』する事となった、ソビエト帝国皇帝アンドレイ・アレクサンドロヴィチ・ロマノフです。
  入り婿とは言え、通い婚になりますが、皆、仲良く遣ってくれると、嬉しい、です。」

  と、照れまくっている。実に可愛らしく、蕩けそうになるが、それどころではない。







   「「「恋愛結婚?!」」」皆が口を揃え思わず叫ぶ。








 ***********







  『一目ぼれだ』

  隣に座った、アンドレイがニヤリと笑って言う。ワイルドでかっこいい。あんた誰?!と思うかもしれないが、コレが「素」らしい。
  「おちゃらけ皇子様」は、葵も本人も大変気に入っているので、また遣ってくれるだろう。

  「「「一目ぼれ?!」」」

  また、口が揃った。 
  合唱の練習でもしているようだ。良く揃っているが、ソプラノがいない。ムサイおっさんの声だ。

  「私は、後から考えると、―――――・・・「0目惚れ」です!」

  葵は、厳かに宣言した。

  「「「0目惚れ?!」」」

  合唱練習は、絶好調だ。

  『なんだその0目惚れって?』

  アンドレイが目をぱちくりする。あんた、日本語分かるんかい?!

  『秘密です』

  と、はにかむ。

  「「「私共も是非お聞かせ願いたい!!」」」

  「ぱぱも聞きたいよ!!」

  何で、ノロケなんか聞きたいんだろう?と思いながら、恥ずかしいので、日本語で断言した。 

  「私は、あの、わざわざ白で塗り銀のバラまで散りばめたせいで、
  一層泥まみれの悲惨さに拍車がかかり、涙を誘う、物悲しい巨大な装甲車に一目惚れしました!」

  どこかで,ズッコケる音がする。どうやら、同士はいなかったようだ。

  『じゃあ、新婚旅行は、あの装甲車で行くか?快適な旅を約束するぞ?』

  やっぱり、日本語分かるんじゃないのか?!

  『乗りたい!』

  葵の目は、もうキラキラだ。
  そして、鼻息荒くしゃべり出す。

  『それでね、あなたのサプライズ・プロポーズの「花火」がまた、秀逸で!!
  あの間抜けな音といい!あの「けっこんしくさい」という言葉が、絶妙に断言を避け、照れている心理を表しつつ、「くさい」を強調させると言うニクイ演出!!
  そして、無表情に赤の絨毯を転がし続け、紙ふぶきを散らす、あの黒子の2人が・・・・っ!!、おもいっきりどストライクで、心臓を打ち抜かれました!!』

  あんた、「秘密」って言ってなかったか?

  『あの二人、実は凄腕の私の片腕なんだが、頼んだらノリノリで遣ってた』

  と、男が得意げに話す。物凄く自慢らしい。

  『今でも、思い出すたびに、転げまわって爆笑して、近いうちに、私の腹筋は六つに割れます!!』

  2人とも気付いていないが、プロポーズした本人の事が抜けている。
  全く登場していない。むしろ黒子に惚れている。

  正しく「0目惚れ」だ。





  『最高のプロポーズをありがとう!!』

  と、顔中で笑って、男に抱きつく。


 ごく親しい人達の耳には、それは切実な、祈りにも似た、感謝の言葉に聞こえた。

 好きになってくれて、好きにさせてくれて、ありがとうと。



  男も無邪気な子供が大切な宝物を抱くように葵を、そっと抱き締める。

  『あなたが、笑ってくれるのなら、私は、どんな努力も惜しまないさ』

  と、本当に子供のように幸せそうに笑った。






  ――――――・・・「カッコウの国」の彼らの大切な次期女王は、国民を深く愛していた。
愛すべき馬鹿だったので、皆は、本当にホッとした、救われた気分で、会議室を後にすることが出来たのだ。




*****************************





 四年後、次期女王は、一人の男の子を産んだ。

 城内は騒然となった。なぜなら、父譲りの青銀の髪に、母譲りの紫紺の瞳の今だかつて無い位、美しく白い「男の子」だったからだ。

 上流階級は悩んだ。この子供を国外に出しても良いものかどうか、判断がつきかねたのである。

 しかし、母親は、ポイッと父親に子供を渡した。



 「こんなに信用のできる親元はいない」と、言い放って。



 まあ、頻繁に父と一緒に母の元に訪れていたので、さして、寂しい思いはせず、その子はすくすくと育ち、

 やがてその子は優秀な施政者になり、国民に、こよなく愛される皇帝として、衰退しかかっていた帝国を父と共に、盛り返し、更なる繁栄に導く礎を築き上げた。









―――――・・・この後、女王葵が、残した大きな功績の一つとして数えられる事となる、

 ソビエト皇帝アンドレイ・アレクサンドロヴィチ・ロマノフとの婚姻は、 

 冷えきっていた日本王国とソビエト帝国との関係を、大きく改善する切っ掛けとなり、

 それから長い間、2つの隣り合った国は親交を深め、平和を保ち続けることになる。

 なんと、帝国が消えるまでの、856年間、2国間での戦争は2度と起こらなかったのであった――――。

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