先生、これは18禁乙女ゲームじゃありません。

bara10jisya

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アンドレイ・アレクサンドロヴィチ・ロマノフ。

先生、これは18禁乙女ゲームじゃありません。

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  私の夫には、漏れなく、『宰相』という、高給の就職先が豪華特典として付いてくる。
  が、生憎二人共、大事な「本業」を持っているので、就職先には全く困っていない。
  私を押し付けるための豪華フルコースの餌のはずが、ガッカリ感が、半端無い湿気った、ポテチのような存在になってしまった。
  それなら、最初に夫募集ではなく、宰相募集にした方が良かったんじゃないかと思う。

  ただし、罠として、宰相職に寄生している駆除不可能な面倒臭い虫として、私が君臨している事を後で思い知るのだ!!

  かなり、面白いが、残念ながら、もう遅い。


私は、本当に、先生のために何か、出来る事はないのか、ずっと考えていた。
 そして、一つだけ出来る事があることに気付いた。


 2人の夫に、パートとして、働いて貰うえば良いんじゃないだろうか?

  「パートタイマー・宰相!!」と言う奴だ。

  まあ、出来過ぎの夫達なので、上流階級とも話し合って上手く役割分担してくれるだろう。
  先生はともかく、他国の皇帝であるアンドレイが、我が国の宰相職の全権を握る事は、問題が有り過ぎなので、これで総て解決だ!!





  ・・・・――――――そして、何より、先生が、先生で居られる。



 ****************

  記者会見もとい、上流階級会見を終えてから、3日程経った頃、準備が整い次第、新婚旅行に出掛けることに正式に決まった。
  本当は結婚式が先だと思うのだが、アンドレイがゴネまくった。可愛い奴だ。

  さすがに、婚前旅行は外聞が悪いので、今、急いで婚姻の準備をしているところだ。後日、盛大に式を挙げるという。
  2人でゴンドラに乗って、甲虫類のサンバでも、デュエットするのだろうか?
  皇帝の妃とも成ると、大変である。
  サンバには、常日頃から、自主的に次期女王としてのマナーとしてたしなんでいるが。発声練習は、しておいた方がいいだろう。社交は大事だ。
  私が、社交界で「をーーーほほほ」とイナバウアーをしながら、笑っているのを想像すると、面白いが、アンドレイは『私が婿に来るんだから無理をしなくて良い』と優しく言ってくれた。
いや、実は私が是非とも日頃の鍛錬の成果をお披露目する機会を窺っていただけなんだが、本業が忙しくて無理だろう。実に無念だ。
そう言って、彼に謝ったら、周りで聞いていた人達が実にホッとした顔をして見えたのは、私の幻視に違いない。



  私も『ハイパー・妊夫ウサギちゃん』との怒涛の10日間の「話し合い」で、
 異次元へと旅立った、下半身が、ついに黄泉がえりを果たし、

  性懲りも無く、あのセクシーな「装甲車」に

 『戦場のタクシー(俺)に乗ってみないか?』と誘惑され、

  10日間の予定で、『装甲車』とハネムーンに出掛ける事になった。

  人はコレを肉弾攻撃による、「自爆」と、言う事を、私は、後から気付く事となる。






  そして、出発前に、私は、アンドレイの部屋を訪れた。
  彼は結構あの湿気の多かった薄暗い「牢獄」が気に入っていたらしいが、流石に遠いし都合が悪いので、今は「普通」の水色と銀を基調とした豪華絢爛でいて、居心地の良い快適すぎる部屋で我慢して貰う事にした。

  今、彼は窓際に置かれた、お気に入りのカウチに座り、中央のテーブルを挟んで左右のソファーに「付き人ゴッコ」をしていた、部下の二人と兄2人が座って書類を見ながら何やらやっている。

  それにしても、アンドレイは今日も「白」で黒縁のラインの入った立襟のチャイナ風上下を着ている。すこぶる似合ってはいるが、ここまで来ると、もう配色とか考えるのが、メンドクサイから、取り敢えず「白」を着ているんではなかろうか?と疑いたくなった。
  試しに、今度、新妻としてお手製のアップリケのを施した、色とりどりの服をプレゼントしてみよう。





  土論が、たぶん私達の婚姻に関係する書類を見て、日本語で叫ぶ。

 「えっ!あんたって、『21歳』じゃなくて、 『33』?!めっちゃオッサンじゃん!!詐称するにしたって、そりゃ図々し過ぎだろう?!」

  日本語が通じていないと思って、思いっきり言っている。

  『いいや、間違っていない。
  私は、21歳のときに成長が止まったんだ。スリーサイズは21歳の時のままだからな。
  見た目は21歳のはずだ。
  だから、私は21歳だと断言できる』

  もちろん、その通りだろう。さすが心の友。正解過ぎて怖い位だ。私は思わず大きく頷きながら、彼らに近付く。

  『全然意味が分からない・・・』

  と、亜蘭が遠い目をして言った。

  土論が、耳まで赤くして、口を押さえながら、

  『つか、あんた、実は日本語ぺラペラだったりする?!』と、聞いた。

  寄って来た私にアンドレイは蕩けるような笑顔を見せ、私をひょいと膝に乗せて、キスしながら言う。

  『ヒヤリングは、完璧だが。――――・・・喋るのは、・・・恥ずかしい。』

  今!!何んとおっしゃいましたか?!

  「それは、俺も分かるかも・・・つかっ恥ずかしいのかよ?!似合わねぇーーー!!」

  ぎゃーーーー。ギャップ萌え来たーー!思わず、瞳孔が開いたままで、うりうり、頬摺りする。


 ****

  そして、6月初めのうららかな日差しの中、アンドレイと私は、最愛の巨大装甲車に乗り、新婚旅行へ出掛けた。

  護衛をどうするかで揉めたが、
  兄達に、私は、ニヤリとしながら、

  「私の『ハネム~ン』に付いて行きたいの?」

  と聞いたら、物凄く嫌な顔をして黙った。
  なので、アンドレイの部下2人だけの同行だ。
  私は全く心配していないが、「信頼」を示さなければ、成らないから、うちの方の護衛は態と連れていない。


  装甲車で移動し、夜はキャンプ気分で装甲車に泊まったり、温泉宿で泊まったりする。素晴らしい旅だ!!
  アンドレイ念願の「熊牧場」も行った。
  ひぐまが、2本足でたって、前足で餌チョーダイのポーズをするのを見て、感激し、餌をやりまくっていた。
  もちろん私も熊の真似して、彼のデザートをせしめたのは、言うまでもない。





  ――――・・・そして、なんと言っても、雄大な自然の中で見る、朝焼けが。


  真っ黒な山並みに真っ赤に染まる朝焼けが群青色の空を侵食していく。


  その様を、アンドレイと一緒に装甲車の天上に置いた寝椅子に座り、無言で、それを眺めた。



  そして、3度目の朝焼けを眺めながら、彼がポツっと呟いた。

  『・・・・・・・――――――私は、13で初めて戦場に立った。

  ・・・・・あの地獄で、生き残った代償だったのか・・・・、
  奪ってきた命の代償か、
  帰って来た私は・・・・、

  ――――すでに以前の私では無くなっていた――――――――・・・。

  何に対しても、さして心を動かされぬ、
  戦争の事しか頭に無い、
  乾いた人間だ。

  ・・・・・だから、今まで恋などしたことも、

  興味も無かったよ。』


 冗談めかして言っているが、私は思わず、肩を揺らした。

 今でもうなされる事がある。命を奪った重み。

  13歳の彼はどれほど酷い心の傷を負ったのだろうか。

  私はギュッと彼の手を握り締め、頬摺りする。

  彼は、フッと自嘲の笑みを漏らし、
  『あなたには、迷惑以外の何ものでもなかっただろうが・・・・

 ―――――――――・・・あなたに逢えて嬉しい・・・・・。

  あなたに逢って、初めて「恋」をすることが出来た・・・・・、

  そして、あなたと、結ばれ、

  あなたを抱き締めながら、こうして見る、「朝焼け」が。

  今まで禍々しさしか感じられなかった、この「赤」が!

  ―――――――――・・・・こんなに、美しかったんだと・・・・、

  ・・・・初めて、感じられる・・・・。』


  
 私は、後ろから私を抱き込んでいる彼に、圧し掛かるように向かい合わせになって、

 彼の、私への溢れるほどの傾慕を浮かべた、

 今は暁色に染まった透明な瞳を上から蕩けるように見つめ、

 彼の整い過ぎた顔を指先で愛撫するように辿り、

 一つ一つの彼のパーツに、慰めるように口づけを落として行く・・・・・。

  

  13歳の彼にも、どうか届きますように、と、祈りながら――――――・・・・。






 ***********
 さあ、今日はどこへ行こう、と言う時。 

  実は、昨日、運命の出会いと言うべきモノを、お土産品店で見つけた。
ずっとアンドレイに渡すタイミングを、ワクワクしながら見計っていたが、今朝の彼のあの様子を見て、「今なら」と思える。

  はっきり言って、私には、彼の慈しみに満ちた私への思いは、ミステリーとしか思えないが。
  初恋をこじらせた人の、美化フィルターの修正能力には、匠も脱帽するほどの、威力を発揮する物なのだろう。ありがたい事である。

  そして、早速、今日は、鎖骨が眩しいボートネックの白のサマーセーターを着ていたアンドレイに、お揃いの、大きく『監獄プレイ』と書かれた黒のTシャツを贈った。
  すると、吃驚するくらい喜んで色違いを探し回り全部買って、毎日着ている。全然白じゃなくても良いらしい。

  いままでの頑なな拘りが消えている。

  我ながら、このTシャツの趣味はどうなのか?!とも思うが、彼の幸せそうな笑顔が見れて嬉しい。

  あとは、彼が「妖怪口吸い」だと言う事が、判明した。

  その妖怪の所業は、「妖怪口吸い」自身も無事では済まさない、
 私達の顔の一部を、明太子に変えると言う甚大な被害をもたらし、
 とどまる所を知らない。
  明太子アンドレイもなかなか、セクシーだが。くちびるモ・ゲーール。

  なので、その被害を、最小限に留めるべく、その妖怪に、

  『日本王国人は、人前ではチューしてはいけない掟があります。なので!人前でのチューは、見つかれば、公然猥褻罪で捕まるのです!』

  と深刻そうに言ってみた。



  『・・・ぇーーーーー・・・』



  と、物凄く、しょぼん・・・と、いう顔をして言うものだから、

  『――――・・・誤解があるようなので、「超訳」すると、
  如何に、サツの隙を突き!捕まらずにチューしまくる事によって、
  戦慄と興奮をもたらし、
 あなたを、未曾有みぞうのクライマックスへといざなう、
  日本王国ならではの、醍醐味がある!と、言う意味、Death!』

  と言ったとたんに、私の可愛い妖怪は、元気を取り戻し「口吸い」の嵐。



  私は彼の『・・・ぇーーーーー・・・』に、途方も無く弱い。可愛くてしょうがないのだからショウガナイ。




  アンドレイは、なぜか、基本的に、私をガラス細工だと思っている節がある。
 面白いので、放っておくが。

  先生は、普段は、物静かで優しい。
  ところが、夜は野獣だ。

  反対に、アンドレイの方は、普段は、ワイルドで、多分、冷徹な面もあるんだろう。
  でも、夜は、堪らなく繊細で優しい。

  それが、とても彼等の実像を表わしている様で、
  私のように単細胞菌のような人間には、
  彼等のほうが、よっぽどガラス細工のように映る。

  2人の夫は正反対のように見えるが、共通点もある。
  新婚なので、これが普通なのかもしれないが、
  2人の夫は、ウサギ目・ウサギ科「絶倫怪獣・黒・白ウサギちゃん」だ。

  非常に、ウサギ率が高い。このごろ、男の人を見ると、ウサギに見えてくる。


  霊長目・ヒト科に進化を遂げる時が来るのだろうか?




  ――――・・・数万年後だったらどうしよう。








  今度、「子供相談室」に聞いてみる事にする。





 ***

  旅行、8日目、私は、熱を出してしまった。
  私は、普段、結構丈夫な方だが、思えばこの数ヶ月、怒涛のような出来事が重なったので、疲れが出たのだろう。

  朝、眼が覚めたら、悪寒がして、自分でビックリした。

  アンドレイが目覚めて、腕の中の私の様子を見て仰天し、

  『葵!!苦しいのか?!何処が痛いんだ?!』と言っている。

  何処と言うか、なんと言うか、普段病気をしない所為か、具合いの悪さが半端無い。
  重態患者の気分だ。

  もぅ~駄目だ。今夜が峠かもしれない。

  私は、遺言の気分で弱々しく口を開いた。

  『せっかくの、旅行なのに、迷惑を、掛けて、ごめんなさい・・・』

  『そんな事はいいんだ!!――――ああ・・・どうすればいい?!』

  あの伝説の「紅のアンドレイ」が、蒼白になって、私を抱き締め、背中をさすり、酷く取り乱し、私の名を呼んでいる。

  申し訳ないが、私より具合が悪そうだ。

  『死なないでくれ!!』

  いや。ゴメン。

  今は、「危篤」だと、自分で思っては、いるけれども。多分、死なないから。


  彼は、急いで、私にパジャマを着せ、毛布に包み、

  『2人とも来てくれ!!葵が!葵が大変なんだ!!』

  呼ばれた2人は、上司の前代未聞の取り乱しように、目を丸くしながらも、急いで、近くの病院を調べてくれた。

  一緒に、近くの病院に「瀕死」の私を担ぎ込んでくれたまでは良かったが、もちろん、田舎の病院で「ロシア語」なんてハイカラなモノが通じるわけがない。彼の部下も、何となくヒヤリングは出来ている様子だが、喋って居るところは見たことが無かった。



  アンドレイは私の為に『決死』の覚悟で、口を開いた―――――・・・。







  「マイ・ハニーが、死にそうなんだよ!!
  私の心臓でも、肝臓でも差し出そう!!
  一刻も早く!マイ・ラヴを救って欲しい!
  ああ!!ダーリンかわいそうに。私の所為なんだね?!
  私の、あの連日の!淫獣のような舌技が!腰技が!しつこ過ぎたのが原因なのだろう?!
  どうか、生きて、あなたを死ぬほど苦しめた、
  このどうしようもない淫獣の私を責め苛んでくれたまえ~・・・・・っ!」






  『『「「「「ぶーーーーーーーーー!!」」」」』』

  周りに居た、お医者さんも、看護師さんも、部下の2人も一斉に吹いた。





  アンドレイは、日本語を話すと、テンパッて、「おちゃらけ皇子様」になってしまうらしい・・・。面白過ぎるぞハニー。





  私も吹きそうになり、むせて咳き込み、呼吸が詰まる。

  もう別の原因で、死んでしまいそうだ。








  何なんだろう、この人は。意外過ぎる。

  会うたびに噂とは、かけ離れた面を私に見せつけ、心臓を打ち抜く。
  なんだか、胸が一杯になってしまって、幸福感に満たされ、涙が零れた。



  ・・・――――なんて愛しい、可愛い人なんだろう!!




  もう、愛が溢れて止まらない。




  泣いている私を一生懸命励まし、抱き締めるかれを見ながら思う。

  ――――・・・不思議な物だ。

  こんな時に、先生の面影が浮かぶなんて。


  アンドレイへの気持ちが深まるにつれて、先生への思いもまた深まってゆく・・・・。

  折角、私から、解き放つことにしたのに。

  あの、ユーリウス・玲人・神崎と言う人は、なんと、自分が、『妊娠』したから、責任を取れと言って、私を引き止めた。

  とても、敵わない。

  可笑しくて、嬉しくて・・・―――――――――愛しくて。


  ・・・・苦しい。


  あの人は一見、穏やかそうに見えるが、本来の彼は、気性が激しい。
  かなり抑えているが、独占欲も強い。

  そんな彼が、一妻多夫制など絶対受け入れられるわけがないのだ!!

  私が他の男の人と居るだけで、心臓から血を流し続けるだろう。
  理屈ではないのだ。


  そんな人をどうやったら、幸せに出来ると言うのだろうか?

  分からない。

  私のする事が、これから先、何度あの人を傷つけるか分からない事も
 彼は、承知しているだろうに・・・・。



  私はどうやって応えて行けばいい・・・・?


  愛が溢れるばかりで、応え方が分からない・・・――――――。









  ・・・・―――私は、愛しい二人の夫を、瞼に浮かべ、「ふーーーー」と、最後の息を漏らすと、



  ――――・・・静かに―――――――、





    ・・・・息を・・引き・・・取っ・・・―――――。



















  「―――・・・ぐ~・・・す~・・・ぐ~・・・・・」


  「ぉぉっ・・私の眠り姫~、罪深い淫獣が今、姫に愛のベーゼを。ちゅ~~~!」


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