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転生?前世?偽聖女をざまぁせよ
処刑椅子復活
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「ーーーあるじさま」
見慣れた下着姿のスピカは、むくれっ面で俺を出迎えた。
どうして怒っているのか。
不貞腐れているとも言った姿に俺もなんと言葉をかければいいかわからない。
「スピカ…。あるじさま、いらない子…」
「どうしてそうなるんだ?俺にはスピカが必要だよ」
「だって、あるじさま。魔樹木にばっかり魔力注いで。スピカの椅子に餌くれなかった…」
「えっ?魔樹木はスピカの本体だろ?魔力を注ぐのが先決だって、スレインさんが」
「同時にやってくれたら、もっと早く。スピカ復活した」
「まじかよ…」
スピカの魂がどこかで眠りについても、木製椅子が機能しているか確かめなかった俺の落ち度か。
頭を抱えながら、恐る恐るスピカの肌に触れる。
スピカは人形を取っており、木製椅子の状態で座面に載せていた魔樹木の植木鉢は、スピカが両膝に抱えていた。
「あるじさま、あったかい」
「ごめんな、スピカ」
「ーー仲直りのきす、して」
「きす?あー、そうだね。こう、かな」
「…唇がよかったのに」
なんとなくスピカの唇に触れるのは憚られ、おでこにキスを落とせば、ぷっくりとますますむくれっ面になってしまった。
そんな姿も可愛いと思い始めた俺は変な病気になってしまったのか。
それとも、そう感じるくらい、愛しくてたまらない存在に変化した?
「…スピカ、お腹が空いた」
「血肉がほしいのか?」
「犯罪者の血肉、だいすき」
「わかった。丁度いい、いろんな奴らから嫌われている聖女様がいるんだ。スレインさんはティトマスと連絡取るって言っていたけどーー丁度いいから、俺達も美味しい所分けてもらおう」
「美味しいの?」
「ああ。うまいよ」
「やった。スピカごちそう、楽しみにしている」
スピカがるんるんと鼻歌を歌い始めた。機嫌は直ったらしい。
魔樹木に魔力を注ぎながら、スピカの身体に触れると面白いくらいに魔力が回復した。
やはり妄想だけでは限界があったらしい。
「スピカ」
「なあに?あるじさま」
「ーー愛している」
スピカもあるじさま、だいすき。
その言葉は、夜の帳と共に消えていった。
「スピカ様!完全復活ですわ~!」
王立学園は全寮制ではあるが、お嬢様は公爵令嬢特権を使ってガルド家別邸に顔を出していた。
卒業式まであと2日と迫った今日。
お嬢様を捕まえてひとりでに歩く木製椅子を見せてからスピカに人形として顕現して貰った所、屋敷内に絶叫が響き渡る。
あまりもの煩さに使用人とスレインさんが飛んできたが、スピカが復活したと知るや否や使用人達は元の持ち場に戻り、スレインさんだけが残った。
「ああん、この時をわたくし、とっても待ちわびておりましてよ~!」
「エデル。スピカにごちそう。くれる?」
「もちろんですわ~!あのクソ生意気な偽聖女を、バックバクと!それはもう、酷ったらしく!処刑して見せましてよ~!」
相変わらずテンション高いな、このお嬢様。
今すぐスピカの手を取って王都に戻ろうとするお嬢様へ待ったを掛けたのはスレインさんだった。
スレインさんは偽聖女処刑にはティトマスと聖女さんが動いていること。
これから俺達も動くなら、きっちり話は擦り合わせた方がいいと言われ、聖女さんのいる場所を教えてくれた。
「マスティフは今日の夕方、メロディアちゃんを迎えに行くと言っていたよ。今から出れば、丁度いい頃合いなんじゃないかな」
「まあ。ニルヴァーナ商会に用事がありますの?わたくしの商売敵ではありませんの!あそこの息子は無愛想で、わたくしの聞きたいことにも答えてくださらないから嫌いですわ!」
「へえ…」
「ガルド公爵令嬢も打ち合わせには参加した方がいいと思うけどね…。リコリスを助けたいんだろう?」
「自分が無力であることを棚に上げ、優秀な人材の足を引っ張る!性根の腐った偽聖女など、生きている価値もない害虫でしてよ~!」
「だったら、二人一緒にニルヴァーナ商会に顔を出して、マスティフの名前を出すこと。いいね?ティトマスの名前を出しても、店主はわからないだろうから。必ずマスティフ・コールドゲートの名前を出すんだよ。身分を明かせば、メロディアに取り次いでくれるはずだ。ガルド公爵令嬢がリコリスさんの名前を出せば、すんなりと話は進むと思うけどね」
「わかりましたわ!行きますわよ、ラクルス!…ああ、これから外ならば、マルクスの名で呼ぶべきかしら?」
「そうだな、頼む」
「スピカ様の魔樹木は…」
「僕が預かろう。剣を振るうなら、荷物は少ない方がいい。相手は偽物とは言え聖女だ。カールメイク博士の人体実験を受けていれば、攻撃魔法を使ってもおかしくはない。せっかく回復した魔樹木をまた燃やされては困るだろう?」
「ーーそれもそうだな」
一瞬ガルドの別邸に火が放たれる光景を危惧したが、ここには常に何十人もの使用人が控えている。
魔獣の森みたいに発見が遅れ消火できないほど燃え広がることはないだろうと踏み、俺はスピカの魔樹木とスレインさんをガルドの別邸に残し、お嬢様と共に王都を目指したのだった。
見慣れた下着姿のスピカは、むくれっ面で俺を出迎えた。
どうして怒っているのか。
不貞腐れているとも言った姿に俺もなんと言葉をかければいいかわからない。
「スピカ…。あるじさま、いらない子…」
「どうしてそうなるんだ?俺にはスピカが必要だよ」
「だって、あるじさま。魔樹木にばっかり魔力注いで。スピカの椅子に餌くれなかった…」
「えっ?魔樹木はスピカの本体だろ?魔力を注ぐのが先決だって、スレインさんが」
「同時にやってくれたら、もっと早く。スピカ復活した」
「まじかよ…」
スピカの魂がどこかで眠りについても、木製椅子が機能しているか確かめなかった俺の落ち度か。
頭を抱えながら、恐る恐るスピカの肌に触れる。
スピカは人形を取っており、木製椅子の状態で座面に載せていた魔樹木の植木鉢は、スピカが両膝に抱えていた。
「あるじさま、あったかい」
「ごめんな、スピカ」
「ーー仲直りのきす、して」
「きす?あー、そうだね。こう、かな」
「…唇がよかったのに」
なんとなくスピカの唇に触れるのは憚られ、おでこにキスを落とせば、ぷっくりとますますむくれっ面になってしまった。
そんな姿も可愛いと思い始めた俺は変な病気になってしまったのか。
それとも、そう感じるくらい、愛しくてたまらない存在に変化した?
「…スピカ、お腹が空いた」
「血肉がほしいのか?」
「犯罪者の血肉、だいすき」
「わかった。丁度いい、いろんな奴らから嫌われている聖女様がいるんだ。スレインさんはティトマスと連絡取るって言っていたけどーー丁度いいから、俺達も美味しい所分けてもらおう」
「美味しいの?」
「ああ。うまいよ」
「やった。スピカごちそう、楽しみにしている」
スピカがるんるんと鼻歌を歌い始めた。機嫌は直ったらしい。
魔樹木に魔力を注ぎながら、スピカの身体に触れると面白いくらいに魔力が回復した。
やはり妄想だけでは限界があったらしい。
「スピカ」
「なあに?あるじさま」
「ーー愛している」
スピカもあるじさま、だいすき。
その言葉は、夜の帳と共に消えていった。
「スピカ様!完全復活ですわ~!」
王立学園は全寮制ではあるが、お嬢様は公爵令嬢特権を使ってガルド家別邸に顔を出していた。
卒業式まであと2日と迫った今日。
お嬢様を捕まえてひとりでに歩く木製椅子を見せてからスピカに人形として顕現して貰った所、屋敷内に絶叫が響き渡る。
あまりもの煩さに使用人とスレインさんが飛んできたが、スピカが復活したと知るや否や使用人達は元の持ち場に戻り、スレインさんだけが残った。
「ああん、この時をわたくし、とっても待ちわびておりましてよ~!」
「エデル。スピカにごちそう。くれる?」
「もちろんですわ~!あのクソ生意気な偽聖女を、バックバクと!それはもう、酷ったらしく!処刑して見せましてよ~!」
相変わらずテンション高いな、このお嬢様。
今すぐスピカの手を取って王都に戻ろうとするお嬢様へ待ったを掛けたのはスレインさんだった。
スレインさんは偽聖女処刑にはティトマスと聖女さんが動いていること。
これから俺達も動くなら、きっちり話は擦り合わせた方がいいと言われ、聖女さんのいる場所を教えてくれた。
「マスティフは今日の夕方、メロディアちゃんを迎えに行くと言っていたよ。今から出れば、丁度いい頃合いなんじゃないかな」
「まあ。ニルヴァーナ商会に用事がありますの?わたくしの商売敵ではありませんの!あそこの息子は無愛想で、わたくしの聞きたいことにも答えてくださらないから嫌いですわ!」
「へえ…」
「ガルド公爵令嬢も打ち合わせには参加した方がいいと思うけどね…。リコリスを助けたいんだろう?」
「自分が無力であることを棚に上げ、優秀な人材の足を引っ張る!性根の腐った偽聖女など、生きている価値もない害虫でしてよ~!」
「だったら、二人一緒にニルヴァーナ商会に顔を出して、マスティフの名前を出すこと。いいね?ティトマスの名前を出しても、店主はわからないだろうから。必ずマスティフ・コールドゲートの名前を出すんだよ。身分を明かせば、メロディアに取り次いでくれるはずだ。ガルド公爵令嬢がリコリスさんの名前を出せば、すんなりと話は進むと思うけどね」
「わかりましたわ!行きますわよ、ラクルス!…ああ、これから外ならば、マルクスの名で呼ぶべきかしら?」
「そうだな、頼む」
「スピカ様の魔樹木は…」
「僕が預かろう。剣を振るうなら、荷物は少ない方がいい。相手は偽物とは言え聖女だ。カールメイク博士の人体実験を受けていれば、攻撃魔法を使ってもおかしくはない。せっかく回復した魔樹木をまた燃やされては困るだろう?」
「ーーそれもそうだな」
一瞬ガルドの別邸に火が放たれる光景を危惧したが、ここには常に何十人もの使用人が控えている。
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