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4・御曹司に囚われて(6年前)
結ばれた2人(1)
ある日お父さんが、体調不良に見舞われたわが社の御曹司を自宅に連れてきた。
年若い常務と同じ会社で働く同僚が、たった一夜とはいえ1つ屋根の下で眠るのだ。
これが物語の中の話であれば、哀れな子羊は狼と化した彼に食べられてしまっただろう。
しかし、そうはならなかった。
それは恐らく――。
彼のほうが、同じ会社で働く仲間だと気づいていなかったからだと思いたい。
「結婚しよう」
――なのに……。
一夜明けて出社し、一心不乱に仕事へ取り組んでいたら、なぜか片平さんからプロポーズされてしまった。
一体何事? なんで私に?
誰かと、間違えているんじゃ……?
困惑している間にあれよあれよと言う間に距離を縮められ、役員室のソファーに寝かされた。
そこからは先は、思い出したくもない。
「希美。愛している……」
ありとあらゆる場所に口づけられ、性感帯を刺激される。
その度に身体はビクンと弓なりにしなり、今まで一度も口に出した覚えがないような甘い声が唇から漏れ出す。
――ああ、まずい。
流される……。
駄目だとわかっているはずなのに、彼を拒絶したところで行く宛などない私は、片平さんの愛撫を黙って受け入れるしかない。
――ずっと、憧れていた。
私にとって彼は、手を伸ばせば届く距離まで近づけるのに、雲の上にいる。
神様みたいな人だった。
そんな人から「女神」なんて呼ばれて、余す所なく口づけられたら――彼の想いが本物なんじゃないか。
そう、勘違いしてしまう。
「なぁ……。いいだろう……?」
彼はこちらの胸元を開けさせ、ワイシャツの上から優しく撫でつける。
しかし、一番感じる場所には触れてなどくれなかった。
恐らくそれは、私の合意が取れていないからだ。
これは片平さんなりの、配慮なんだろう。
私が好きだからこそ手籠めにしたい。
だけど……。
無理やり抱いて嫌われるのだけは避けたい。
そう、考えているのかもしれない。
――それなら最初から、こんなふうに攫って来なければよかったのにね?
彼は周りから羨望の眼差しを向けられる御曹司ではあるが、その内面はどうしようもない人だった。
――私が支えてあげなくちゃ。
そんなふうにこちらが庇護欲を掻き立てられることすら彼の計算だとしても、構わない。
「初めて、なので……。優しくして、ください……」
「もちろん。君の身体に刻み込んでやる。俺がどれほど君を愛しているか……。隅々まで、余すことなく……」
片平さんと契を交わせば、この人はもう、不安に思わなくて済む。
一夜の過ち。
それでいいじゃない。
その先を望んだら、罰が当たる。
私に愛を囁くこともなく、何事もなかったかのように解放してくれるはずだから――。
こうして私は彼との行為を、一度だけ受け入れると決めた。
年若い常務と同じ会社で働く同僚が、たった一夜とはいえ1つ屋根の下で眠るのだ。
これが物語の中の話であれば、哀れな子羊は狼と化した彼に食べられてしまっただろう。
しかし、そうはならなかった。
それは恐らく――。
彼のほうが、同じ会社で働く仲間だと気づいていなかったからだと思いたい。
「結婚しよう」
――なのに……。
一夜明けて出社し、一心不乱に仕事へ取り組んでいたら、なぜか片平さんからプロポーズされてしまった。
一体何事? なんで私に?
誰かと、間違えているんじゃ……?
困惑している間にあれよあれよと言う間に距離を縮められ、役員室のソファーに寝かされた。
そこからは先は、思い出したくもない。
「希美。愛している……」
ありとあらゆる場所に口づけられ、性感帯を刺激される。
その度に身体はビクンと弓なりにしなり、今まで一度も口に出した覚えがないような甘い声が唇から漏れ出す。
――ああ、まずい。
流される……。
駄目だとわかっているはずなのに、彼を拒絶したところで行く宛などない私は、片平さんの愛撫を黙って受け入れるしかない。
――ずっと、憧れていた。
私にとって彼は、手を伸ばせば届く距離まで近づけるのに、雲の上にいる。
神様みたいな人だった。
そんな人から「女神」なんて呼ばれて、余す所なく口づけられたら――彼の想いが本物なんじゃないか。
そう、勘違いしてしまう。
「なぁ……。いいだろう……?」
彼はこちらの胸元を開けさせ、ワイシャツの上から優しく撫でつける。
しかし、一番感じる場所には触れてなどくれなかった。
恐らくそれは、私の合意が取れていないからだ。
これは片平さんなりの、配慮なんだろう。
私が好きだからこそ手籠めにしたい。
だけど……。
無理やり抱いて嫌われるのだけは避けたい。
そう、考えているのかもしれない。
――それなら最初から、こんなふうに攫って来なければよかったのにね?
彼は周りから羨望の眼差しを向けられる御曹司ではあるが、その内面はどうしようもない人だった。
――私が支えてあげなくちゃ。
そんなふうにこちらが庇護欲を掻き立てられることすら彼の計算だとしても、構わない。
「初めて、なので……。優しくして、ください……」
「もちろん。君の身体に刻み込んでやる。俺がどれほど君を愛しているか……。隅々まで、余すことなく……」
片平さんと契を交わせば、この人はもう、不安に思わなくて済む。
一夜の過ち。
それでいいじゃない。
その先を望んだら、罰が当たる。
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こうして私は彼との行為を、一度だけ受け入れると決めた。
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