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第5章『悪魔の王様を探す事にした』
事象固定と尻すぼみ
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「力を貸すぞ?主殿」
そう言いながらユートの耳元に浮かぶ一匹の精霊クローノは話をどこから聞いていたのか知ることはできないが、今現在問題となっていることを解決する手立てを持っているようだ。
「主殿は妾をゲットした時から大分成長しておるじゃろ?妾は主殿のスキルによって生み出された存在じゃ、つまりは主殿が成長すれば妾も同様に成長できる」
「何が言いたいんだ?」
「妾が子を孕む前まで時間を戻せば、出産やら何やらの問題なぞズバッと解決じゃぞ」
それを横で聞いていたイリーナはバンと机が壊れるかと思われるような音を立てながら立ち上がりクローノに迫る。その表情からは怒りの感情が用意に感じ取れる。
「クローノ殿!それは私とユート殿との子どもを殺すという事に他ならないのではないでしょうか!そんな事、私が許可しません!」
「まぁまぁ、落ち着くのじゃイリーナよ、まだ話は終わっておらん」
鬼気迫るイリーナを軽く受け流したクローノはゴソゴソと懐をまさぐり、懐から人からすれば極小サイズの、まるで人形遊びに使用するオモチャのような、ペンダントを取り出した。
「これは『事象固定』というアイテムじゃ、この中にある一定の事柄…要は状態を保存しておける物で、これを使えば腹の中の赤子をこの中に保存しておきイリーナの時間だけを妊娠する前に戻す」
「安心せぃ、記憶やステータスは変わらんぞ、精々少し若返るといった認識で構わん」
説明を聞いたイリーナはまだ半信半疑の状態だ、それも当然といえば当然である。
クローノの事はユートの眷属ということで信用しているが、まだ見ぬ自分の子どもの命が絶たれてしまうのではないかという不安は母親からすれば至極当たり前なことなのだ。
不安気なイリーナの手をユートは優しくそっと握りイリーナを見つめて囁く。
「絶対に嫌だと言うのならそれでもいい、その時はその時でまた別の方法を考えるからさ」
「……いや、大丈夫だ…だがしかし、私からユート殿に条件をつけさせてもらうぞ」
「私もトートに連れて行ってくれ、当然クローノ殿も共にな」
「そんな事ならお易い御用、クローノ、頼んだ」
イリーナの瞳に曇りがなくなりあるのは、ユートを信じる真っ直ぐなもの。
それを聞いたクローノは手に持っているおもちゃのようなペンダントをかざすと、イリーナの体から黄色い淡く光る玉の群れがぽぽぽと出現する。
その淡い光の群れはやがてクローノの方へ向かい、ペンダントの中に収納されていく。
イリーナの体から出てきていた光の群れが無くなると、イリーナのお腹が妊娠する前の姿に戻っていた。
イリーナは寂しげに中には誰もいないお腹をさすっているとクローノはユートに一言呟く。
「主殿の子どもじゃが…相当ヤバいな、仮にこの魔法を明日以降に行っていたら妾の魔法が弾かれておったのじゃ」
その呟きを聞いたユートは何故か妙な安心感と納得を得た、ユートはそのような予感は薄々していたのだ。
アイトもユラも、親バカという観点を差し引いても普通の子どもとは訳が違うのは火を見るよりも明らかだったのだ、ならばイリーナとの赤ちゃんも大なり小なり普通とは違うだろうとは思っていた。
「それじゃぁ、トートに行く面々に声をかけなくちゃな、あと一人連れて行きたい」
ユートはそう言って部屋をあとにしようとすると、先程から行儀よく座っているミルシィに気が付きこのままにしておく訳にもいかないので指示を出してみる。
「二階で子ども達と遊んであげてくれ、まさか男は子どもでも無理とは言わないよな?」
「流石に言いませんよ!それに少なからず与えられた仕事であれば男と関わる事になってもある程度は我慢できます、えぇ我慢できますとも」
尻すぼみになる声を置き去りに、ミルシィのことをリンカに任せた後に中庭で木刀を振るっているレイカの元へ向かった。
そう言いながらユートの耳元に浮かぶ一匹の精霊クローノは話をどこから聞いていたのか知ることはできないが、今現在問題となっていることを解決する手立てを持っているようだ。
「主殿は妾をゲットした時から大分成長しておるじゃろ?妾は主殿のスキルによって生み出された存在じゃ、つまりは主殿が成長すれば妾も同様に成長できる」
「何が言いたいんだ?」
「妾が子を孕む前まで時間を戻せば、出産やら何やらの問題なぞズバッと解決じゃぞ」
それを横で聞いていたイリーナはバンと机が壊れるかと思われるような音を立てながら立ち上がりクローノに迫る。その表情からは怒りの感情が用意に感じ取れる。
「クローノ殿!それは私とユート殿との子どもを殺すという事に他ならないのではないでしょうか!そんな事、私が許可しません!」
「まぁまぁ、落ち着くのじゃイリーナよ、まだ話は終わっておらん」
鬼気迫るイリーナを軽く受け流したクローノはゴソゴソと懐をまさぐり、懐から人からすれば極小サイズの、まるで人形遊びに使用するオモチャのような、ペンダントを取り出した。
「これは『事象固定』というアイテムじゃ、この中にある一定の事柄…要は状態を保存しておける物で、これを使えば腹の中の赤子をこの中に保存しておきイリーナの時間だけを妊娠する前に戻す」
「安心せぃ、記憶やステータスは変わらんぞ、精々少し若返るといった認識で構わん」
説明を聞いたイリーナはまだ半信半疑の状態だ、それも当然といえば当然である。
クローノの事はユートの眷属ということで信用しているが、まだ見ぬ自分の子どもの命が絶たれてしまうのではないかという不安は母親からすれば至極当たり前なことなのだ。
不安気なイリーナの手をユートは優しくそっと握りイリーナを見つめて囁く。
「絶対に嫌だと言うのならそれでもいい、その時はその時でまた別の方法を考えるからさ」
「……いや、大丈夫だ…だがしかし、私からユート殿に条件をつけさせてもらうぞ」
「私もトートに連れて行ってくれ、当然クローノ殿も共にな」
「そんな事ならお易い御用、クローノ、頼んだ」
イリーナの瞳に曇りがなくなりあるのは、ユートを信じる真っ直ぐなもの。
それを聞いたクローノは手に持っているおもちゃのようなペンダントをかざすと、イリーナの体から黄色い淡く光る玉の群れがぽぽぽと出現する。
その淡い光の群れはやがてクローノの方へ向かい、ペンダントの中に収納されていく。
イリーナの体から出てきていた光の群れが無くなると、イリーナのお腹が妊娠する前の姿に戻っていた。
イリーナは寂しげに中には誰もいないお腹をさすっているとクローノはユートに一言呟く。
「主殿の子どもじゃが…相当ヤバいな、仮にこの魔法を明日以降に行っていたら妾の魔法が弾かれておったのじゃ」
その呟きを聞いたユートは何故か妙な安心感と納得を得た、ユートはそのような予感は薄々していたのだ。
アイトもユラも、親バカという観点を差し引いても普通の子どもとは訳が違うのは火を見るよりも明らかだったのだ、ならばイリーナとの赤ちゃんも大なり小なり普通とは違うだろうとは思っていた。
「それじゃぁ、トートに行く面々に声をかけなくちゃな、あと一人連れて行きたい」
ユートはそう言って部屋をあとにしようとすると、先程から行儀よく座っているミルシィに気が付きこのままにしておく訳にもいかないので指示を出してみる。
「二階で子ども達と遊んであげてくれ、まさか男は子どもでも無理とは言わないよな?」
「流石に言いませんよ!それに少なからず与えられた仕事であれば男と関わる事になってもある程度は我慢できます、えぇ我慢できますとも」
尻すぼみになる声を置き去りに、ミルシィのことをリンカに任せた後に中庭で木刀を振るっているレイカの元へ向かった。
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