とある最強盗賊の苦悩

水色の山葵

文字の大きさ
12 / 21
第二章 プレイヤー

12話 神々

しおりを挟む
 ああ、そうだよな。
 プランターは俺の事を千年も待っていたんだ。
 だけど、なんで俺をこの時代に飛ばす必要があったんだ?

「なあプランター、なんで俺を千年後に飛ばしたんだ?」

 嫌われたから、記憶を消してやり直すって感情は理解出来る気がする。
 だけど、未来に俺を飛ばす意味がよく分からない。

「それは、あの人達が千年前よりも、未来の方が安全に貴方と過ごせるからと」

「あの人達?」

「他の異世界人です」

 そう言う事か。
 何かおかしいと思ったんだ。
 つまり、プランターの感情を私欲に利用した奴がいる。

「聞いているのですか? メイフォン」

「そうだよ。私達を無視するなんて調子に乗っているのかな?」

「まさか、俺達と同格だとでも思ってるんじゃないだろうな」

 こいつ等か。
 神などと煽てられて調子に乗った哀れな3人。
 偶然手に入れた強大過ぎる力の使い方を間違えた連中。

「黙れよ、ガキ共。お山の大将は楽しかったか? だがな、そんな非常識が通用するのは自分のお山の中だけだぜ」

 決めた。
 いや、最初から決めていた事だ。
 俺は、彼女の為に戦おう。

「それは私達と敵対すると言う事ですか?」

「神に逆らうなんて貴方バカでしょ」

「悪い事は言わねえぜ。俺達が寛大な内に謝っとけよ」

 クローバーは片膝をついて自称神の後ろに控えている。
 あいつらのクラスは解っている。
 クローバーレベルをこんな所で遊ばせられるって事は結構な戦力を持っているのだろう。

「なあ、プランター。改めて誓うよ、俺はお前の為に拳を振るおう」

「主……申し訳ありませんでした」

 彼女はそう言って涙を流す。
 それと同時に俺の脳に直接アナウンスが流れた。

『能力封印解除』
『拠点機能回復』
奪神の溺愛私に会う日まで奪神の忠誠絶対に離れませんに変化』
『レベル・カウンターストップ』
『貯蓄資産解放・9999兆』
『全カード解放』
『スキル獲得・完全解析』
『スキル獲得・能力強奪』
『スキル獲得・身体能力強奪』
『スキル獲得・短距離加速』
『スキル獲得・運動加速』
『スキル獲得・無詠唱』
『スキル獲得・弱点解析』
『スキル獲得・加速演算』
『スキル獲得・未来予測』
『スキル獲得・並列思考』
『スキル獲得・能力解析』
『スキル獲得・瞬間記憶』
『スキル獲得・魔力刀』
『スキル獲得・物品強奪』
『スキル獲得・レベル強奪』
『スキル獲得・暗視』
『スキル獲得・消音』
『スキル獲得・消臭』
『スキル獲得・感覚強化』
『スキル獲得・影移動』
『スキル獲得・異次元収納』
『スキル獲得・盗み見』
『スキル進化・レベル上限消失』
『スキルスロット拡張・5』
『エクストラカード100種の封印を解除』

 はっ。
 プランターの祝福か。
 これが有る限り、俺は負けない。
 スキルもステータスも関係ない。
 彼女が居るだけで俺は最強になれる。

「それで、どうすんだ? 俺達に滅ぼされるかそれとも俺達の配下になるのか」

「この書類に書かれた事項を守ると言うのならば我らの仲間として扱いましょう」

「私は殺しちゃった方がいいと思うんだけど、2人が言うんだったらしょうがないな~」

 俺の目の前に一枚の紙が降って来る。
 その紙には俺に対する禁則事項やら献上物やらが明記されている。
 ・拠点内の全物資の提供。
 ・全カードの使用禁止。
 ・勝手にレベルを上げる事を禁止。
 ・他のプレイヤーへの攻撃を禁止。
 ・他のプレイヤーの命令を対価無しで請け負う事。

 要約すると、お前の物は俺の物理論だ。
 舐められたものだ。

「なあプランター、なんで俺の記憶は戻ってない?」

「全ての記憶を保有する貴方が記憶の封印を解除する事を拒否しました」

 なるほど。
 つまり、今俺が考えている事を全ての記憶を持つ俺が了承して、それが最善だと思ったって事だ。

「また無視~? ちょっとイラつくな~」

「やっぱ始末しちまっていいんじゃないか?」

「そうですね。考え直す事も無さそうです」

「俺は別にいいんだよ」

「は?」

「急に何言ってんのこいつ」

「それはどういう意味ですか?」

「金が欲しいならやるし、俺に仕事をやらせたいならそれでも構わない」

「やはり配下として迎えてくれという話ですか?」

「けどな、1つだけ気にいらねえ事がある」

「何ですか?」

「お前らが、俺の一番大切な物を傷つけた事だ」

 プランターは今の俺にとって全てだ。
 異世界だろうが関係ねえ。

「いいぜ。遊んでやるよ掛かってこい。ただし、今の俺は千年前ほど生易しくはねえぞ! もし敵対するって言うなら、まあもう遅いけど。手前ら、レジェンドランキング一位は伊達じゃねえぞ!!」

 魔力を開放する。
 この世界の全ての神秘は魔力と言うエネルギーを使用されて発生している。
 それはゲームシステムの現実化という神秘も例外ではない。
 だからこそ、この世界では相手の能力を知るのに適した指標がある。
 それは内包する魔力の量だ。
 今の俺のレベルは125。
 クローバーの強さを考えれば、当然こいつ等も『レベル限界突破』のスキルを持っているだろう。
 だが、恐らくそのスキルで上昇するのは100まで。
 そして、こいつ等はこの世界のルールに沿ってレベル上げを実践した事なんて無いのだろう。
 この世界のクラスのレベルは戦闘経験の蓄積で上昇する。
 そして、それはプレイヤーにとっても例外ではない。
 恐らく、戦闘経験は自分とある程度同等の敵と戦わなければ得る事は出来ない。
 そして、金貨で上昇させたレベルではスキルスロットを入手出来ない。
 更に俺が今、新たに得たスキル『レベル限界消失』の解放条件はスキルスロット数に関係している。
 『能力解析』でそう表示されているし、何より『完全解析』では奴らのレベルは100なのにスキルが2つしかセットされていないという事実を映している。
 スキルスロットが解放されていないって事だ。

 だからこそ、自分以上の魔力を放出する奴を無視はできない。
 クローバーなど、比べる事も出来ないような強大で濃度の高い魔力。
 冷や汗が止まらない事だろう。
 だがな、俺の最愛に涙を零させた意味をきっちり解らせてやるよ。

「やべえ!」

「なによ、この魔力!」

「まさか、私達を超えているというのですか?」

「なんだったっけ? 死ぬか隷属か選べ、だったか?」

「私たちは3人です。敵にすれば貴方も無傷ではすみませんよ?」

「関係ねえな。俺はもう決めている」

「そうですか。ならばもう貴方に要は在りません」

「首を洗って待ってやがれ」

「次会ったら殺しちゃうよ」

 そう言って3人の同郷は消えて行った。
 絶対に相容れないと俺は理解する。

「主、私は如何様にも処罰を受けます。主を信じる事が出来ず、敵の口車に乗ってしまった事、言い訳しようもございません」

「そっか。じゃあ素で喋ってくれ。主とかそう言うのはいい。シアだった時みたいに俺はお前を対等に愛したい」

「それは……いえ、承りました」

 俯いていた顔が勢い良く上がると、その表情は笑顔となっていた。
 無理をしている事は見れば分かる。
 けれど、それはこれから和らげていけばいい。

「メイフォン、これからもよろしくね!!」

 多分、記憶の封印の解除を拒否した俺って奴はシアって存在を知って、この方が良いって考えたんだと思う。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

異世界配信中。幼馴染みに捨てられた俺に、神々(視聴者)がコメントしてくるんだが。

葉月
ファンタジー
コルネ村で、幼なじみであり恋人でもあったユリアナと、ささやかな幸福を分かち合って生きていたロイド。 だがある日、ユリアナは女神の愛子として目覚め、国王の命により王都へと連れ去られる。 突然、日常を奪われ、運命に引き裂かれたロイドは、抗う術も持たぬまま、否応なく大きな流れへと呑み込まれていく。 これは、奪われたものを取り戻すため、そして理不尽な運命に抗おうとする、一人の少年の物語である。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...