戦闘狂の迷宮攻略 〜早熟と器用さでお前のスキルは俺のもの〜

水色の山葵

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ダンジョン脱出

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 そのあと僕たちはダンジョンを出た。外はお昼時だった。
 ポータルを使用すると第一階層の入り口まで戻されていたのだ。僕のユニークスキル天の塔転移権限がどこからでもどの階層へでも移動可能なことを考えると下位互換の権能だろうけど、それでも便利だと思う。特にだれでも使用可能というとこが。
 僕の能力は僕一人にしか作用しなかった。
 10階層へ上った時、特典として貰ったスキル解析鑑定の能力はダンジョンに関するあらゆる物の鑑定解析だった。それには人間のステータスも含まれている。
 自分のステータスは意識する事で閲覧可能だ。しかし、解析鑑定を使った場合他者のステータスや今まで見れなかった隠しパラメータとでも言える物が見えるようになっていた。
 スキル効果も今までよりも詳しく記載されるようになった。それは後で纏めるとして今は別の問題が浮上している。

 探索隊がダンジョン探索を始めて数日、目まぐるしい発見を幾つも抱えて戻ってきた。その情報や獲得した能力は現代の世界情勢を簡単に揺るがせる程の情報。つまり、日本は今世界で最も進んだ国となっているのだ。

 ただ、探索者が帰ってきてみれば何の情報もない少年を連れ帰ってきていた。そしてそれは迷宮攻略を推し進めた功労者であるという。恐らくそれは警官を気絶させ衣服をはぎ取り、変装してダンジョンへ侵入した男。しかも高校生。

 今、僕はどこにいると思う?
 警察庁の一室だ。その部屋には照明の置かれた机に二つの椅子が付いていて、隅の方に記録を付けるための机といすが1つずつ置かれている。完全に取調室だね。

 その部屋で約二時間程待たされると、男が3人現れた。
 一番いかつい顔の男、てか隊長は俺の目の前に座り、一人は隅の席に着く。最後の一人は壁にもたれ掛かり立っている。

「君が樋口徹君で間違いないかい?」

 いかつい男は見た目とは全く違う優しい言葉遣いで確認してきた。隊長がちゃんとした言葉遣いしてるのちょっと面白いな。

「はい、そうです」

「では幾つか聞くので答えてくれ。ここで嘘を吐くのはオススメしない。少なくとも君を悪く扱わないと俺が誓うから本当の事を言ってくれると嬉しい」

「はい。もう嘘は吐きませんよ」

 ついても意味がないし、無駄に混乱させるだけだ。

 それから幾つかの事実確認が行われた。まずは警察官一名を気絶させ、ダンジョンに入ったのが僕である事。普通に犯罪だが、今となっては関係ないと僕は判断する。

「それでは、君が持ち得るダンジョンに関する知識の質問だ。まずは君のステータスを教えてほしい」

「構いませんよ」

 僕はステータスを紙に書き写していった。そもそも、僕たち10階層攻略者は全員が解析鑑定を持っている。だから嘘は吐けない。まあスキルの内容まで教えるつもりはないけど。

「これほどか……」

 壁にもたれ掛かっている男が圧巻の声を漏らす。

「では次だ。君がダンジョンで手に入れたアイテムを提示してくれ」

「わかりました」

 スキルスクロールは惜しいが、渡してしまってもかまわないと判断する。それほど高いレアリティのアイテムも持っていない。酒吞童子からドロップした物に比べればゴミにも等しい。

 部屋の男たちは僕が素直に物を渡した事に関して驚いていた。その後もモンスターとアイテムの情報を中心にダンジョン内で得た情報を根掘り葉掘り聞かれた。しかし、魔力運用の技術については、やはりそんな物の存在すら掴んでいないのか聞かれる事はなかった。

「最後の質問だ。君は自衛隊に入る気はあるかい?」

 勧誘か。まあ想定内だ。そして答えも決まっている。

「お断りさせていただきます」

「そうか。了解した」

 もっとごねられるか強制されると思ったが、取り調べが隊長さんで助かった。
 と、思ったのも束の間。壁にもたれ掛かっていた男が拳銃を取り出し銃口を俺・に向けてきた。

「俺は上からこいつを従わせろと命令を受けている。自衛隊に配属されるというのならそれでよかったが、野放しにはできないな」

「やめろ赤根!! さっき話しただろう、俺の話を聞いていなかったのか!?」

「聞いていたさ、ステータスは人間を越えた身体能力を授ける。そしてそれはレベルに比例している、だからレベル26のこの男には手を出すな、だろ? だが、この状況で少なくとも人間の姿をしているこいつが俺の銃弾を避けられるとは思えない」

「俺とやるっていうのかおっさん?」

 俺の問にこいつは笑みを浮かべながら答える。

「やらないよ。もう終わっているからだ」

「試してみろよ?」

 銃口が少し下を向く。足でも撃ち抜こうってか?
 シャドウドライブ発動。引き金を引くと同時に走り始める。銃弾は俺の身体をすり抜け、一歩の距離を倍加する事によって一歩であいつの後ろを取る。
 銃をかすめ取り、目を手のひらで覆い、銃口を眉間に突きつける。

「は?」

「だから言ったんだよ俺は」

 隊長のおっさんはため息と共に離してやってくれと俺に言ってきた。
 一応銃を隊長のおっさんに渡して俺は席に戻る。

 解放された男は膝をついて驚愕の表情を浮かべる。

「なんだ今のは……」

「赤根三等陸佐、解ってくれたかね?」

「はい。すいませんでした」

 そう言ってあの男は部屋を出ていった。僕・の事を上とやらに存分に伝えてほしい。

「すまないな。あいつは少し熱くなりすぎるとこがあってな」

「いいえ、気にしてませんよ。どうせ僕の実力を知る指標にでも使われたのでしょう?」

「まあ、そんなとこだ。それよりあいつが多分お前を今後どう扱うかって情報を持ってくるはずだ。それまで少し待ってくれ」

 少し隊長さんと談笑すると、あの男が戻ってきた。
 結論として僕は今まで通りの生活を続けつつ、ダンジョンに関する問題が起きた場合ある程度の報酬と引き換えに政府に協力しなければならないらしい。
 要するにバイトだ。問題の規模や報酬の額についての相談はまた後日という事になり、僕は警察庁から出てもいい事になった。


 久しぶりに家に戻ると、埃がヤバかったのでその日一日は掃除に追われる事となった。
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