11 / 40
ダンジョン脱出
しおりを挟むそのあと僕たちはダンジョンを出た。外はお昼時だった。
ポータルを使用すると第一階層の入り口まで戻されていたのだ。僕のユニークスキル天の塔転移権限がどこからでもどの階層へでも移動可能なことを考えると下位互換の権能だろうけど、それでも便利だと思う。特にだれでも使用可能というとこが。
僕の能力は僕一人にしか作用しなかった。
10階層へ上った時、特典として貰ったスキル解析鑑定の能力はダンジョンに関するあらゆる物の鑑定解析だった。それには人間のステータスも含まれている。
自分のステータスは意識する事で閲覧可能だ。しかし、解析鑑定を使った場合他者のステータスや今まで見れなかった隠しパラメータとでも言える物が見えるようになっていた。
スキル効果も今までよりも詳しく記載されるようになった。それは後で纏めるとして今は別の問題が浮上している。
探索隊がダンジョン探索を始めて数日、目まぐるしい発見を幾つも抱えて戻ってきた。その情報や獲得した能力は現代の世界情勢を簡単に揺るがせる程の情報。つまり、日本は今世界で最も進んだ国となっているのだ。
ただ、探索者が帰ってきてみれば何の情報もない少年を連れ帰ってきていた。そしてそれは迷宮攻略を推し進めた功労者であるという。恐らくそれは警官を気絶させ衣服をはぎ取り、変装してダンジョンへ侵入した男。しかも高校生。
今、僕はどこにいると思う?
警察庁の一室だ。その部屋には照明の置かれた机に二つの椅子が付いていて、隅の方に記録を付けるための机といすが1つずつ置かれている。完全に取調室だね。
その部屋で約二時間程待たされると、男が3人現れた。
一番いかつい顔の男、てか隊長は俺の目の前に座り、一人は隅の席に着く。最後の一人は壁にもたれ掛かり立っている。
「君が樋口徹君で間違いないかい?」
いかつい男は見た目とは全く違う優しい言葉遣いで確認してきた。隊長がちゃんとした言葉遣いしてるのちょっと面白いな。
「はい、そうです」
「では幾つか聞くので答えてくれ。ここで嘘を吐くのはオススメしない。少なくとも君を悪く扱わないと俺が誓うから本当の事を言ってくれると嬉しい」
「はい。もう嘘は吐きませんよ」
ついても意味がないし、無駄に混乱させるだけだ。
それから幾つかの事実確認が行われた。まずは警察官一名を気絶させ、ダンジョンに入ったのが僕である事。普通に犯罪だが、今となっては関係ないと僕は判断する。
「それでは、君が持ち得るダンジョンに関する知識の質問だ。まずは君のステータスを教えてほしい」
「構いませんよ」
僕はステータスを紙に書き写していった。そもそも、僕たち10階層攻略者は全員が解析鑑定を持っている。だから嘘は吐けない。まあスキルの内容まで教えるつもりはないけど。
「これほどか……」
壁にもたれ掛かっている男が圧巻の声を漏らす。
「では次だ。君がダンジョンで手に入れたアイテムを提示してくれ」
「わかりました」
スキルスクロールは惜しいが、渡してしまってもかまわないと判断する。それほど高いレアリティのアイテムも持っていない。酒吞童子からドロップした物に比べればゴミにも等しい。
部屋の男たちは僕が素直に物を渡した事に関して驚いていた。その後もモンスターとアイテムの情報を中心にダンジョン内で得た情報を根掘り葉掘り聞かれた。しかし、魔力運用の技術については、やはりそんな物の存在すら掴んでいないのか聞かれる事はなかった。
「最後の質問だ。君は自衛隊に入る気はあるかい?」
勧誘か。まあ想定内だ。そして答えも決まっている。
「お断りさせていただきます」
「そうか。了解した」
もっとごねられるか強制されると思ったが、取り調べが隊長さんで助かった。
と、思ったのも束の間。壁にもたれ掛かっていた男が拳銃を取り出し銃口を俺・に向けてきた。
「俺は上からこいつを従わせろと命令を受けている。自衛隊に配属されるというのならそれでよかったが、野放しにはできないな」
「やめろ赤根!! さっき話しただろう、俺の話を聞いていなかったのか!?」
「聞いていたさ、ステータスは人間を越えた身体能力を授ける。そしてそれはレベルに比例している、だからレベル26のこの男には手を出すな、だろ? だが、この状況で少なくとも人間の姿をしているこいつが俺の銃弾を避けられるとは思えない」
「俺とやるっていうのかおっさん?」
俺の問にこいつは笑みを浮かべながら答える。
「やらないよ。もう終わっているからだ」
「試してみろよ?」
銃口が少し下を向く。足でも撃ち抜こうってか?
シャドウドライブ発動。引き金を引くと同時に走り始める。銃弾は俺の身体をすり抜け、一歩の距離を倍加する事によって一歩であいつの後ろを取る。
銃をかすめ取り、目を手のひらで覆い、銃口を眉間に突きつける。
「は?」
「だから言ったんだよ俺は」
隊長のおっさんはため息と共に離してやってくれと俺に言ってきた。
一応銃を隊長のおっさんに渡して俺は席に戻る。
解放された男は膝をついて驚愕の表情を浮かべる。
「なんだ今のは……」
「赤根三等陸佐、解ってくれたかね?」
「はい。すいませんでした」
そう言ってあの男は部屋を出ていった。僕・の事を上とやらに存分に伝えてほしい。
「すまないな。あいつは少し熱くなりすぎるとこがあってな」
「いいえ、気にしてませんよ。どうせ僕の実力を知る指標にでも使われたのでしょう?」
「まあ、そんなとこだ。それよりあいつが多分お前を今後どう扱うかって情報を持ってくるはずだ。それまで少し待ってくれ」
少し隊長さんと談笑すると、あの男が戻ってきた。
結論として僕は今まで通りの生活を続けつつ、ダンジョンに関する問題が起きた場合ある程度の報酬と引き換えに政府に協力しなければならないらしい。
要するにバイトだ。問題の規模や報酬の額についての相談はまた後日という事になり、僕は警察庁から出てもいい事になった。
久しぶりに家に戻ると、埃がヤバかったのでその日一日は掃除に追われる事となった。
0
あなたにおすすめの小説
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!!
2巻2月9日電子版解禁です!!
紙は9日に配送開始、12日発売!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた
ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。
今の所、170話近くあります。
(修正していないものは1600です)
現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜
涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。
ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。
しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。
奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。
そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる