戦闘狂の迷宮攻略 〜早熟と器用さでお前のスキルは俺のもの〜

水色の山葵

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新たなダンジョン

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「それで、なんで君が僕の部屋にいるのかってことについて聞きたいんだけど」

「私は徹様の所有物ですから」

「いや君、ダンジョンに住んでたんじゃないの?」

「ダンジョンの機能としての選定システムは並列分身体が実行中のため問題ありません」

「そういう事じゃないんだけどな……」

「では、何が問題なのでしょうか?」

「はぁ。いや、問題は色々あるけど解決可能ってとこかな」

「命令をマイマスター。私は私の全能力を以てその命令を実行いたします」

 さてと、服とかどうしよう。後どうみても人外の耳とかどうしよう。一人暮らしの1LDKの部屋に女の子と二人で暮らす? アホなのだろうか。
 てか戸籍とかやばいか? いや外国へ旅行でも行かない限りは問題もないか。どっちにしても日本政府には言う必要があるか。そもそも50階層で知り得た情報は秘蔵しておくわけにはいかない。どちらにしろ僕単独ではどうしようもない情報だ。

 さてと、ダンジョンが異世界と繋がっていて放置していたらこの世界が滅ぶ、なんて誰に伝えればいいのやら。



 そんな条件に見合うような知り合いを僕は一人しか知らなかった。

「それで不明きみが僕のところへ来るなんてどうしたんだい?」

「すいません本郷さん。ダンジョンに関して非常に扱い辛い情報を得まして」

 本郷悟。外務省のトップである外務大臣その人だ。僕の知り合いの中で一番偉いのはこの人だろう。
 僕は本郷さんにダンジョンで知り得た情報を包み隠さず話した。話の流れで僕が50階層まで攻略している事が露見してしまったがこの人なら何とか僕の履歴を限りなく少なく情報を公開できるだろう。
 何よりも不明アンノウンという存在での情報がいくらばれようが、それを僕と関連させる事は日本とアメリカ以外には不可能なようになっている。

「わかった。総理には僕から伝えよう。その情報は本当に真実なんだね?」

「はい。僕のような子供の言葉は信用できませんか?」

 単純に考えて、虚偽の情報を総理に伝えるなんて可能性がある事を役人ができるとは思えない。しかし、僕はこの人はそれができると思っている。何故なら、この人はアメリカ大使との対談の後に僕にこう言っていた。
 「僕は日本を守るためなら自分の命だって欲しくない」と。その瞳は彼の言葉が嘘である可能性を僕の頭から吹き飛ばす程に本気だった。

「いいや、僕は君が僕に嘘を吐く理由なんて思いつかないし、極論を言えば嘘でも構わないんだ。君は我が国の保有する最高戦力にして最大利益をもたらす者だ。不明、いまだ解っていないからこそ僕は君に希望を見出している。だからもしも僕が死んだとしても君が日本から居なくなるよりは余程いい」

 この人はこういう人だという事だ。日本大好き男、もう一人の僕が名づけたこの人のあだ名である。



 sss



 さてと、一先ず思い当たる問題は解決したのだが……

「君、本当にこの部屋に住むの?」

「はい」

「そっか」

 問題は色々とあるが一番は単純に部屋が狭いって事だ。引っ越すか、金はダンジョンのアイテムを日本に渡したことや色々な報酬で結構な額が口座にある。
 余談ではあるが日本の冒険者を管理する機関である、冒険者組合でアイテムと日本円との換金を行う事ができる。ダンジョンが世界各国に発生一か月後に行われた世界迷宮会議(WDC)でダンジョンは保有国の資産という事になり取引はその国の自由に行える事となった。輸出も輸入も自由という事だ。
 まあ、当然その会議に参加していない又は参加させてもらえなかった国に存在するダンジョンに関してはその会議に参加している国にとっては誰の物でもないダンジョンという事なる。要するに好きに侵略可能という事だ。

 まあ、そこら辺に対して日本は無関心のようだが。

 おっと、話がだいぶ脱線したな。引っ越しをどうするかという話だったな。

 そう考え始めた瞬間、僕のスマホから着信音が流れた。画面を覗き込むとそこには椎名寧と映っていた。

「どうかした?」

『あの、隊長さんから新たなダンジョンについては聞きましたか?』

「いや聞いてないね。何の話?」

『そうですか。今から少し前、衛星からの映像で日本の真上、天空に巨大な島が発生したそうです』

「なるほど、それがダンジョンだと?」

『はい。日本政府はそう判断しています』

 まあ、タイミング的に考えてもそう判断するのが一番自然か。

『それで、私の所に連絡が着ました。巫女、勇者パーティー、不明は強力して天空のダンジョンを攻略せよとの事です』

「分かった集合場所と時間を。それとその天空へ行く方法は?」

『時刻は明日の朝8時。場所はデータで送りますが空港です。これが解れば移動方法も予想がつきますよね?』

「なるほど、理解したよ」

『それでは、また明日』

「うん、ありがとう」

 通話が切れると僕はウィンの方を向きなおす。

「それで、天空の島のダンジョンってのはどういう事だ?」

「貴方がコロセウムを50階層まで攻略した事で天空の迷宮は姿を現した。システム的には最初に50階層へ到達した冒険者の所属国家、つまり私のいる国の上空にそれは出現し、規則的に高度1万m前後で全世界を飛行する。それは最初に50階層へ到達した冒険者を輩出した国家への報酬であり、そこにはスキルスクロールのみがドロップするモンスターが発生する。しかし、難易度は最高となり攻略適正レベルは100。もしも行くというのなら相応の準備をしていく事をお勧めいたします」

「へぇ、そりゃおもしれえなウィン。なら俺・の攻略したコロセウムの適正レベルは幾つなんだ?」

「コロセウムの最高階は50階層ではありませんが。50階層の適正レベルは70です。そして適正レベルはそのレベルの冒険者5~6人で攻略する場合の適正です」

「ははっ。そいつはいいや、あの程度じゃ面白くなかったところだ。少しは俺も本気になれるかねえ」


 おい、勝手に出てくるな。

 悪りぃな。我慢できなかった。


「それじゃあ今日はもう寝よう。僕は床で寝るよ」

「いえ、妖精である私は睡眠を必要としません」

「そうなのか。ならベットは僕が使うよ。何か欲しい物があったら遠慮なく言ってね」

「申し訳ありません。お心遣い感謝いたします」

「謝る必要もないお礼を言う必要もない事だよ。ごめんもありがとうも言うべき時の為にとっておいた方がいい」

「はい」

 僕は眠りについた。その日はすごく嫌な夢を見た。
 これが明日のダンジョン攻略が失敗するという暗示ではない事を祈る事しか僕にはできなかった。
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