プールサイド

なお

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開花

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肉まんふたつ。駅のコンビニで買う。
ケンカしてたのがウソみたいに、自然に隣り合って道を歩いていた。

「髪濡れてる。また乾かしてねーの?」
「いつも、ドライヤーは藍瑠に借りてるからね」
「ふーん、じゃオレの持ってきてやるよ。使ってないのがあるから」

こういうのは優しいところ……
無意識に、優しいところ探しをしてしまう。

手を繋いで、肉まんを食べ終わった。
人影のない高架下を歩いて。
一人じゃ通らない道は、二人なら心強い。

「なお、こっち来て」

手を引かれて、誰にも見えないコンクリの隙間へ。
抱きしめられた分だけ抱きしめて、コウキの匂いで頭が痺れて……

ドキ ドキ ドキ……
だけど、ちょっと嫉妬の虫がうずうず。

「……キスすんのに目閉じろよ」

はじめて とか、気にしてなかったのに……コウキのせいで、心に何か引っ掛かる。

「つむらないっ」
「なんで急にキレんの」
「コウキが変なウソつくからでしょ……」
「じゃあどうすればいいんだよ」

どうすればいいんだろ?

「ちゃんと好きになってほしい……」
「もうなってる時はどうすればいいの」

あ。

もう唇が当たる……

「オマエは、オレを単なるヤリたがりとでも思ってるのか」

思ってます……

頷く前に、コウキの舌が入ってきた。
誰が通るかわからないような場所で、濃厚なキスを……


私が一番驚いてるのは、この状況にワクワクしてること。

気持ちよくて力が抜ける……

「あっぶねぇ、立ってろよ」
「でも……力抜けちゃう」

コウキの肩につかまって息を整えようとしても、すぐに顎を戻されてキスされて。

「んっ……」

コウキは唇を舐めるようにして、咬み付く真似をして、私の唇に歯を立てる。

「っ……咬まないで」
「ホントには咬まねーから」
「やっ、ん……っ」

首筋がべたべたになるほど舐められて、歯を立てられて。
ホントに食べられたら、どうしよ……

力が抜けて、アスファルトの上に尻もちをついた。コウキが覆い被さってきて、制服が捲り上げられる。
下着とかも、一気にまとめて引っ張り上げられて。
痛いし、ちぎれちゃいそうでコワイ。

コウキの息が……胸に掛かる。
服の間からぷくりと出た胸の先端が、コウキの唇でがぶりと覆われる。

「ぁんっ…」

きもちいー……っ

こんなにきもちいいものなの?それとも、相手がコウキ……だから?

「は、あぁ、んっ…」

ちゅっちゅって吸い上げられて、ピクンピクン震えてた。
コウキの頭が、私の腕の中にすっぽり……
こんなに夢中になって……吸ってる。

「ふぁ…はぁ、あん…だめぇ…っ」
「……もうちょっといいだろ。これ以上はしねーよ…」
「ほ、ほんと……っ?」

頂きをチュッときつく吸われたあと、甘噛みされた。

「あッ」

感じてる私見て、いじわるな顔してる……

「やっ……やだぁ、もう……」
「何がやだ?」

もう、頭ん中がふわーってなってて、考えらんない……

また唇を吸われて、さらに頭真っ白。コウキの手がスカートに侵入してきた。

「ここ、外なのにぃっ……」
「大丈夫大丈夫」
「やあーっ……」

その時、車のライトに照らされた。
慌てて隠れて、通り過ぎるまでコウキと息を殺す。
私の前にコウキが座っていて、うなじを見てたら、いたずらしたくなってきて、甘噛みしてやった。

かぷっ。

「うわあっっっ」

おや……超敏感。

「何すんだよっ」
「私も咬まれたからお返し」
「いらねーって!」

コウキ、すごーく焦ってる。こんなことで、ちょっと優位に立った気分。

「もう時間……帰らなきゃね……」
「やだなー」

素直に残念そうにするコウキ。
私だって、帰るのはやだけど。
自分をさらけ出した分、コウキと近づいたような気がして、離れたくない。
だから、こんなこと彩夏先輩としたんだって思うと……。

考えたって、しょうがないのにね。


「なおの匂い、落ちつく」
「匂い?塩素の?」
「ちがう。なおの匂いがあるんだよ」
「えー…臭くない?」
「臭かったら落ちつかねえよ。すげー落ち着くから、大丈夫」

手は恋人つなぎして、ゆっくりゆっくり高架沿いを歩く。

「あーあ。ババアぶっ殺して、家出ようかなー」

軽くそんなことを言うコウキに、足が止まった。

「……だめだよ、そんなこと」
「真面目だなー。大丈夫だよ。そんな勇気ねえよ」
「………」

勇気……

甘くって幸せなこの時間に似つかわしくない、物騒な言葉が出たことに、戸惑った。
でも一方で、コウキがそんな気持ちになるのも、理解できなくはなかった。


「…コウキ」

ぎゅ……。

「へへ。なおからハグしてくれんの嬉しい」

信号待ちの間に、コウキの胸に飛び込んで、抱きしめた。
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