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繽紛
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筆記具とか教科書とか残したまま、野原君と待ち合わせ。
まだ夏で、夜でも外は蒸し暑くて……
野原君が来るまで置いてある白いイスに座ってみたり、手すりにもたれてみたり。
下には遊歩道があって、よく見たら何組かうちの高校の生徒もいる。
中にはカップルも。
みんな普通に外でてるじゃん。
全然規則守ってない。
私も同じか……
ガチャ
ドアが開いて、野原君が入ってきた
「うわ、暑い」
「そこ室外機の熱風当たるんだよ」
「ほんとだ」
野原君が、私にグーを出す
「あ、お金?」
手の平に150円。
「ありがと」
「お礼を言うのはオレの方で……」
野原君が黒のパーカーを脱いだ。
ふわっ と、野原君のいい匂いがする。
……男のコの匂いが。
「あれ。みんな外出てんだね」
野原君が遊歩道にいる生徒たちに気づいた。
「息抜きかなぁ」
「結構先生たち緩いんだね?」
「意外と、見つかったら廊下に正座とか」
「させられるかなぁ」
普通の会話をしながら、野原君の横顔を見て……
Tシャツ姿、新鮮だ。
スポーツブランドのTシャツで、ネイビーにピンクロゴが似合ってて、細いけど、二の腕は引き締まってる。
とにかくしぐさがきれいに見えるのは、長い指のせいかな。
メガネを上げる仕草にも見とれてしまう……
「遊歩道のランプ、やけにムーディーだよね…」
「えっ、あっ、そ、そうだね」
吃っちゃった……
でも確かにいい感じの遊歩道。
「つきあってる人たちは楽しいだろうな」
「そうだねー」
「彼氏さんと来れたらよかったのにね」
普通に言われて返事に迷った。
「なんで無言?」って笑われて。
ずるくなりたくないから、ありのままを答えなきゃ……
「ムードない人だから、どうかなぁ」
笑って答えたら、野原君もにこっとする。
「波多野は豪快な感じが好きなの?彼氏さんそんな感じだよね」
「いや、豪快ではないよ、あの人は…」
ただのワガママな少年が大きくなったような…
「彼氏のどこが好きなの?」
どこが……
ん~~
できるだけ真摯に答えようと、正直な気持ちを話した。
「放っておけない……ところかなぁ……」
「彼氏、寂しがりや?」
「……そうだと思う」
答えたのはいいけど、顔が熱くて熱くて。
野原君は、遊歩道を見つめていた。
そして、思い切ったように私を見ると
「余計なことかもしれないんだけど……」
と前置きした。
「夏休みにさ。よく。音楽室の隣の階段にいたんだ。仲よさそうな感じで…二人でさ」
蒸し暑いのに、背筋がぞっと凍る。
「誰が……?コウキが?」
野原君は、遊歩道から自分の膝上に目線を落として……小さく頷いた。
まさか、彩夏先輩と?
あの場所で……
仲よさそうって……
「……そうなんだ……そっか……ふふふ」
笑う必要なんてどこにもないのに、野原君に傷ついてるところを見られたくないから、笑いながらそう言って。
野原君は、「ごめん」って、うつむいてた。
「二人で、話してただけじゃないんだよねー?コウキだもんね……」
「………現場を見たわけじゃないから、わからないけど……二人が入っていく姿が見えて、廊下に出たら女の子の声が聞こえたから。黙っていられなくてごめんね。……波多野、本当にあの人でいいの?」
あの場所で、自分もやってたことだから、どんな風に触られて、声が響いてるのか想像ができて……
「……ふふ。そうかぁ……」
涙が落ちてしまった。
野原君が見てる。
「ごめんね……びっくりして涙が……あはは」
「ごめん……ハンカチない」
「なんで野原君が謝るの」
「泣かせてまで、伝えることなかったなって思って……ごめん」
野原君は深くうつむいてて、私は指で自分の涙を拭う。
拭っても、拭っても、視界がぼやけて
遊歩道のランプが滲んでいた。
まだ夏で、夜でも外は蒸し暑くて……
野原君が来るまで置いてある白いイスに座ってみたり、手すりにもたれてみたり。
下には遊歩道があって、よく見たら何組かうちの高校の生徒もいる。
中にはカップルも。
みんな普通に外でてるじゃん。
全然規則守ってない。
私も同じか……
ガチャ
ドアが開いて、野原君が入ってきた
「うわ、暑い」
「そこ室外機の熱風当たるんだよ」
「ほんとだ」
野原君が、私にグーを出す
「あ、お金?」
手の平に150円。
「ありがと」
「お礼を言うのはオレの方で……」
野原君が黒のパーカーを脱いだ。
ふわっ と、野原君のいい匂いがする。
……男のコの匂いが。
「あれ。みんな外出てんだね」
野原君が遊歩道にいる生徒たちに気づいた。
「息抜きかなぁ」
「結構先生たち緩いんだね?」
「意外と、見つかったら廊下に正座とか」
「させられるかなぁ」
普通の会話をしながら、野原君の横顔を見て……
Tシャツ姿、新鮮だ。
スポーツブランドのTシャツで、ネイビーにピンクロゴが似合ってて、細いけど、二の腕は引き締まってる。
とにかくしぐさがきれいに見えるのは、長い指のせいかな。
メガネを上げる仕草にも見とれてしまう……
「遊歩道のランプ、やけにムーディーだよね…」
「えっ、あっ、そ、そうだね」
吃っちゃった……
でも確かにいい感じの遊歩道。
「つきあってる人たちは楽しいだろうな」
「そうだねー」
「彼氏さんと来れたらよかったのにね」
普通に言われて返事に迷った。
「なんで無言?」って笑われて。
ずるくなりたくないから、ありのままを答えなきゃ……
「ムードない人だから、どうかなぁ」
笑って答えたら、野原君もにこっとする。
「波多野は豪快な感じが好きなの?彼氏さんそんな感じだよね」
「いや、豪快ではないよ、あの人は…」
ただのワガママな少年が大きくなったような…
「彼氏のどこが好きなの?」
どこが……
ん~~
できるだけ真摯に答えようと、正直な気持ちを話した。
「放っておけない……ところかなぁ……」
「彼氏、寂しがりや?」
「……そうだと思う」
答えたのはいいけど、顔が熱くて熱くて。
野原君は、遊歩道を見つめていた。
そして、思い切ったように私を見ると
「余計なことかもしれないんだけど……」
と前置きした。
「夏休みにさ。よく。音楽室の隣の階段にいたんだ。仲よさそうな感じで…二人でさ」
蒸し暑いのに、背筋がぞっと凍る。
「誰が……?コウキが?」
野原君は、遊歩道から自分の膝上に目線を落として……小さく頷いた。
まさか、彩夏先輩と?
あの場所で……
仲よさそうって……
「……そうなんだ……そっか……ふふふ」
笑う必要なんてどこにもないのに、野原君に傷ついてるところを見られたくないから、笑いながらそう言って。
野原君は、「ごめん」って、うつむいてた。
「二人で、話してただけじゃないんだよねー?コウキだもんね……」
「………現場を見たわけじゃないから、わからないけど……二人が入っていく姿が見えて、廊下に出たら女の子の声が聞こえたから。黙っていられなくてごめんね。……波多野、本当にあの人でいいの?」
あの場所で、自分もやってたことだから、どんな風に触られて、声が響いてるのか想像ができて……
「……ふふ。そうかぁ……」
涙が落ちてしまった。
野原君が見てる。
「ごめんね……びっくりして涙が……あはは」
「ごめん……ハンカチない」
「なんで野原君が謝るの」
「泣かせてまで、伝えることなかったなって思って……ごめん」
野原君は深くうつむいてて、私は指で自分の涙を拭う。
拭っても、拭っても、視界がぼやけて
遊歩道のランプが滲んでいた。
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