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1.出会い
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『神梨 優』私の生前の名前だ。17才と若くして病気で亡くなった私は気づくと生前やりこんでいたゲーム『恋の欠片』の中に入り込んでしまっていた。
NPC。ゲームにおいてプレイヤーが操作していないキャラ…モブだ。
いつも同じセリフを言う宿屋の受付。クールな印象で、モブにしては美人な方だと言えるだろう。それが今の私『ルーナ・グレイソン』という名前の18才。金髪ショートボブ、水色の瞳をしている。
私が勤める宿屋は、ゲーム人気男性キャラ『ロイ・ブラウン』が よく泊まっていた宿屋だ。
せっかく転生したのに、同じセリフじゃ面白くない。私は私の人生を歩む!!
◇◇◇◇
「いらっしゃいませ。一名様ですか?」
(ロイ様だ!!)
ゲームの中の男性キャラが今、目の前にいる!!!
通った鼻筋に薄い唇、背が高く細身だけど ほどよく筋肉がついて引き締まった体格。ショートの黒髪に切長で茶色の瞳をしている。その、整った外見に一瞬 目を奪われたが、なんとか冷静に対応する。
こんなに早く会うなんて思っていなかった…。
「あぁ。」
「こちらに記名をお願いします。」
帳簿に名前を書くように説明する。
彼は右腕に怪我を負っている。包帯が黒くなっているのは呪いのせいだ。
呪いを受けるのは、確かゲームの序盤…。
ゲームの内容を思い返した。
彼は、宵闇の森でデビル系モンスターに呪いを かけられながらも倒し、腕の痛みを抱えて生きていく……。
(絶対、痛い……。)
私はゲームをやりこんでいたから、実は呪いを解く方法を知っている。本当に効くかは わからないけど…。
本来はゲーム中盤で主人公『セラ・ホワイト』に出会い、癒されるのだが…
まだまだ先の話だ。
解けるのなら、早く解いてあげたい!!ゲームをしていて、苛立ったものだ。もっと早くヒロインと出会っていれば!、調合方法を知っていれば、と。
私は、この異世界に転生して、宿屋の受付が休みの日は冒険者として素材集めをして、生前の記憶を頼りに調合師を目指していた。いつか、誰かの役に立てるかもしれないと思ったからだ。やってみると意外と楽しかった。
今回も、あらかじめ薬を調合して、持ち歩いていた。ここで仕事をしている以上、いつかは会うかと思ったからだ。
彼は脇役。ヒロインのセラは『ジョン・テイラー』と最終的には くっつくはずだ。
だから、少しくらい話を変えても問題はない……だろう。
「107号室を、お使いください。それと…これは、そちらの傷にお使いください。見たところ呪いのようですが…きっと役に立つはずです。」
「!?……すまない。試してみるよ。」
一瞬、驚いた顔をしたが受け取ってくれたことに安堵した。
「何かありましたら、お声掛けください。」
ニコッと笑って、その場で見送る。
ほんとに使ってくれるといいけれど……
数日後───。
「やっと会えた!!」
受付をしているとロイ様に声をかけられた。
「君、名前は?この前の薬、助かったよ。何を試してもダメだったのに、貰った薬を付けたら、みるみる傷が塞がったんだ。」
(無事効いたようで、良かった…。)
「私は、ルーナ・グレイソン。あの薬は私が調合したので、足りなかったら また差し上げますよ?」
「ありがとう。調合って、すごいな! ルーナさんと呼んでもいいだろうか?」
「……え?はい……。」
意外と人懐っこい?そんなキャラだっけ?ゲームでのイメージと違っていて戸惑いつつ、答えた。まさか名前を呼んで貰えるなんて。
「あ!俺はロイと呼んでくれ。」
「では、ロイ様と呼ばせて頂きます。」
「ところで、君は毎日 受付じゃないんだな?なかなか会えなくて困った。」
「実は冒険者もやっていまして。調合が趣味なので主に素材集めをしています。」
「へぇ、面白いな。一緒にダンジョンへ行かないか?お礼に、必要な物があるなら手伝わせてくれ。」
「え、でも…」
「これでもSランクなんだ。油断して呪いを受けてしまったが…」
あはは、と笑うロイ様はカッコイイ。その辺の女の子が見たら目がハートになっていたに違いない。
「じゃぁ…お言葉に甘えてもいいでしょうか?」
「あぁ。」
ロイ様とダンジョンに行けるなんて、夢のようだ。
内心ドキドキしながら、恥ずかしいので表情には出さないようにした。
NPC。ゲームにおいてプレイヤーが操作していないキャラ…モブだ。
いつも同じセリフを言う宿屋の受付。クールな印象で、モブにしては美人な方だと言えるだろう。それが今の私『ルーナ・グレイソン』という名前の18才。金髪ショートボブ、水色の瞳をしている。
私が勤める宿屋は、ゲーム人気男性キャラ『ロイ・ブラウン』が よく泊まっていた宿屋だ。
せっかく転生したのに、同じセリフじゃ面白くない。私は私の人生を歩む!!
◇◇◇◇
「いらっしゃいませ。一名様ですか?」
(ロイ様だ!!)
ゲームの中の男性キャラが今、目の前にいる!!!
通った鼻筋に薄い唇、背が高く細身だけど ほどよく筋肉がついて引き締まった体格。ショートの黒髪に切長で茶色の瞳をしている。その、整った外見に一瞬 目を奪われたが、なんとか冷静に対応する。
こんなに早く会うなんて思っていなかった…。
「あぁ。」
「こちらに記名をお願いします。」
帳簿に名前を書くように説明する。
彼は右腕に怪我を負っている。包帯が黒くなっているのは呪いのせいだ。
呪いを受けるのは、確かゲームの序盤…。
ゲームの内容を思い返した。
彼は、宵闇の森でデビル系モンスターに呪いを かけられながらも倒し、腕の痛みを抱えて生きていく……。
(絶対、痛い……。)
私はゲームをやりこんでいたから、実は呪いを解く方法を知っている。本当に効くかは わからないけど…。
本来はゲーム中盤で主人公『セラ・ホワイト』に出会い、癒されるのだが…
まだまだ先の話だ。
解けるのなら、早く解いてあげたい!!ゲームをしていて、苛立ったものだ。もっと早くヒロインと出会っていれば!、調合方法を知っていれば、と。
私は、この異世界に転生して、宿屋の受付が休みの日は冒険者として素材集めをして、生前の記憶を頼りに調合師を目指していた。いつか、誰かの役に立てるかもしれないと思ったからだ。やってみると意外と楽しかった。
今回も、あらかじめ薬を調合して、持ち歩いていた。ここで仕事をしている以上、いつかは会うかと思ったからだ。
彼は脇役。ヒロインのセラは『ジョン・テイラー』と最終的には くっつくはずだ。
だから、少しくらい話を変えても問題はない……だろう。
「107号室を、お使いください。それと…これは、そちらの傷にお使いください。見たところ呪いのようですが…きっと役に立つはずです。」
「!?……すまない。試してみるよ。」
一瞬、驚いた顔をしたが受け取ってくれたことに安堵した。
「何かありましたら、お声掛けください。」
ニコッと笑って、その場で見送る。
ほんとに使ってくれるといいけれど……
数日後───。
「やっと会えた!!」
受付をしているとロイ様に声をかけられた。
「君、名前は?この前の薬、助かったよ。何を試してもダメだったのに、貰った薬を付けたら、みるみる傷が塞がったんだ。」
(無事効いたようで、良かった…。)
「私は、ルーナ・グレイソン。あの薬は私が調合したので、足りなかったら また差し上げますよ?」
「ありがとう。調合って、すごいな! ルーナさんと呼んでもいいだろうか?」
「……え?はい……。」
意外と人懐っこい?そんなキャラだっけ?ゲームでのイメージと違っていて戸惑いつつ、答えた。まさか名前を呼んで貰えるなんて。
「あ!俺はロイと呼んでくれ。」
「では、ロイ様と呼ばせて頂きます。」
「ところで、君は毎日 受付じゃないんだな?なかなか会えなくて困った。」
「実は冒険者もやっていまして。調合が趣味なので主に素材集めをしています。」
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「え、でも…」
「これでもSランクなんだ。油断して呪いを受けてしまったが…」
あはは、と笑うロイ様はカッコイイ。その辺の女の子が見たら目がハートになっていたに違いない。
「じゃぁ…お言葉に甘えてもいいでしょうか?」
「あぁ。」
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