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15.ロイ
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―――ロイside―――
あの日、まさか宵闇の森で呪いを受けてしまうとは……。
右腕の黒い禍々しいオーラを出している傷を見つめた。痛みには強いと思っていたが……。ズキズキと侵食されるかのような………傷が広がり、いつか呪いに食べられてしまうのではないかとさえ感じる。右腕というのもあり、剣を振るのも正直キツイ。
ポーションやハイポーションは効かず、神殿へ足を運び聖水も試したが、惨敗だった。
このまま冒険者を続けられるのか……不安がよぎった。
ふと、目に入った宿屋へ入ると彼女がいた。
〈ルーナ・グレイソン〉
宿屋の受付をしている、金髪ボブの髪に水色の瞳をもつ女性。
なぜ呪いだとわかった?なぜ、そんな薬を持っている?俺を騙そうとしているのか……?
いろんな疑問が浮かんだが、藁にもすがる思いで、その薬を受け取った。
これ以上、状況が悪くなることはないだろう……。
お金を取られたわけでもないのだから、試して損はない、そう自分に言い聞かせ、彼女に貰った薬を塗った。
翌日、驚いたことに痛みは消え、傷は薄くなっていた……。
痛みからの解放に、一粒の涙が溢れた。
泣いてしまうなんて、何年ぶりだろう……。
ただただ、ほっとした。
彼女は女神なのか?そんな馬鹿げたことを考えてしまった。
すぐにでも彼女に礼を言いに行こう、そう思い立った俺は受付へと向かったが、彼女は居なかった。
仕方ない、帰りにはいるだろうとダンジョンへ向かったが、またも帰りは違う子が受付をしていた。
まぁ、明日でもいいかと諦め、部屋へ戻った。
そして、まさか次の日も会えないなんて…。昼間勤務だろうか?もっと早く受付で聞けば良かったと後悔した。
「金髪で水色の瞳の子は、お休みですか?」
茶色の髪をした受付の子に聞いてみた。
「はい。明日の午後、出勤予定ですが……何かお伝えしますか?」
明日会えるなら、と伝言は断った。
会ったら、なんて言おう?一日中、彼女のことを考えていた……。
「やっと会えた!!」
半ば興奮気味で話をしてしまった……。もっとスマートに話したかったのに、余裕が無かった。
変な男だと思われなかっただろうか?
思わず、一緒にダンジョンへ行こうと誘うと彼女は、一瞬迷った感じではあったが、いいと言ってくれた。
調合の話をする彼女はキラキラとしていて、笑顔が可愛いと思った。俺は彼女が好きなのか?
今までに女性に言い寄られることはあったが、正直『好き』という感情が、よくわからなかった。
三階層の、あの場所へ連れて行ったら、どんな反応をするだろう?考えるだけで、楽しい。一緒に行ってくれるだろうか……?
彼女には幼馴染にアルという青年がいた。
彼女の反応から、彼の片思いの可能性が高い。だが、長い付き合いのようだから、いつ彼が『特別』になるとも限らない……そう思っただけで、なぜか心が落ち着かない。
彼に嫉妬しているのか?
そして、三階層での まさかの出来事。ドラゴンだと?
ありえない……。どうにか契約を解除して、ドラゴンと離さなければ。
ドラゴンだけでも面倒なのに、聖女が悪魔に乗っ取られるなんて……。
ここでも彼女の調合した薬が役立った。本当に彼女は何者なのか?
もっとルーナさんを知りたい……。
◇◇◇◇
私とロイ様、ルカは、いつもの食事処『スズラン亭』へとやってきた。ちなみに私の勤める宿屋は『ツバキ宿』花の名前が同じだと、気になって入ったのが きっかけで、お気に入りのお店になった。とにかく食事が美味しい!
「いらっしゃい、ルーナちゃん!奥にするかい?」
店に入ってすぐ、店の店主のレジーおじさんに声をかけられた。
「ありがとう、レジーおじさん!奥で、お願いします!」
「アルは、どうした?イケメン連れて~。デートかい?アルが寂しがるぞ?!」
「も~、そんなんじゃないですよ~!」
そっか、ルカは見えてないから、デートっぽく見えるのかな?……いやいや、意識しちゃダメだ。
奥の部屋へ入ると、ロイ様が不思議そうに周りを見渡した。
「へぇ。ここ、個室もあるんだな…。」
「常連さんしか利用できないんですけど、個室って珍しいですよね!」
2部屋しかないのだが4人まで入ることが出来る。
ルカが来てから、よく利用させてもらっている。ルカが食べる姿は見えないとは言え、さすがに食事が突然消えるのは、よろしくない。
視線を感じて見ると、ロイ様に見られていた。
あの日、まさか宵闇の森で呪いを受けてしまうとは……。
右腕の黒い禍々しいオーラを出している傷を見つめた。痛みには強いと思っていたが……。ズキズキと侵食されるかのような………傷が広がり、いつか呪いに食べられてしまうのではないかとさえ感じる。右腕というのもあり、剣を振るのも正直キツイ。
ポーションやハイポーションは効かず、神殿へ足を運び聖水も試したが、惨敗だった。
このまま冒険者を続けられるのか……不安がよぎった。
ふと、目に入った宿屋へ入ると彼女がいた。
〈ルーナ・グレイソン〉
宿屋の受付をしている、金髪ボブの髪に水色の瞳をもつ女性。
なぜ呪いだとわかった?なぜ、そんな薬を持っている?俺を騙そうとしているのか……?
いろんな疑問が浮かんだが、藁にもすがる思いで、その薬を受け取った。
これ以上、状況が悪くなることはないだろう……。
お金を取られたわけでもないのだから、試して損はない、そう自分に言い聞かせ、彼女に貰った薬を塗った。
翌日、驚いたことに痛みは消え、傷は薄くなっていた……。
痛みからの解放に、一粒の涙が溢れた。
泣いてしまうなんて、何年ぶりだろう……。
ただただ、ほっとした。
彼女は女神なのか?そんな馬鹿げたことを考えてしまった。
すぐにでも彼女に礼を言いに行こう、そう思い立った俺は受付へと向かったが、彼女は居なかった。
仕方ない、帰りにはいるだろうとダンジョンへ向かったが、またも帰りは違う子が受付をしていた。
まぁ、明日でもいいかと諦め、部屋へ戻った。
そして、まさか次の日も会えないなんて…。昼間勤務だろうか?もっと早く受付で聞けば良かったと後悔した。
「金髪で水色の瞳の子は、お休みですか?」
茶色の髪をした受付の子に聞いてみた。
「はい。明日の午後、出勤予定ですが……何かお伝えしますか?」
明日会えるなら、と伝言は断った。
会ったら、なんて言おう?一日中、彼女のことを考えていた……。
「やっと会えた!!」
半ば興奮気味で話をしてしまった……。もっとスマートに話したかったのに、余裕が無かった。
変な男だと思われなかっただろうか?
思わず、一緒にダンジョンへ行こうと誘うと彼女は、一瞬迷った感じではあったが、いいと言ってくれた。
調合の話をする彼女はキラキラとしていて、笑顔が可愛いと思った。俺は彼女が好きなのか?
今までに女性に言い寄られることはあったが、正直『好き』という感情が、よくわからなかった。
三階層の、あの場所へ連れて行ったら、どんな反応をするだろう?考えるだけで、楽しい。一緒に行ってくれるだろうか……?
彼女には幼馴染にアルという青年がいた。
彼女の反応から、彼の片思いの可能性が高い。だが、長い付き合いのようだから、いつ彼が『特別』になるとも限らない……そう思っただけで、なぜか心が落ち着かない。
彼に嫉妬しているのか?
そして、三階層での まさかの出来事。ドラゴンだと?
ありえない……。どうにか契約を解除して、ドラゴンと離さなければ。
ドラゴンだけでも面倒なのに、聖女が悪魔に乗っ取られるなんて……。
ここでも彼女の調合した薬が役立った。本当に彼女は何者なのか?
もっとルーナさんを知りたい……。
◇◇◇◇
私とロイ様、ルカは、いつもの食事処『スズラン亭』へとやってきた。ちなみに私の勤める宿屋は『ツバキ宿』花の名前が同じだと、気になって入ったのが きっかけで、お気に入りのお店になった。とにかく食事が美味しい!
「いらっしゃい、ルーナちゃん!奥にするかい?」
店に入ってすぐ、店の店主のレジーおじさんに声をかけられた。
「ありがとう、レジーおじさん!奥で、お願いします!」
「アルは、どうした?イケメン連れて~。デートかい?アルが寂しがるぞ?!」
「も~、そんなんじゃないですよ~!」
そっか、ルカは見えてないから、デートっぽく見えるのかな?……いやいや、意識しちゃダメだ。
奥の部屋へ入ると、ロイ様が不思議そうに周りを見渡した。
「へぇ。ここ、個室もあるんだな…。」
「常連さんしか利用できないんですけど、個室って珍しいですよね!」
2部屋しかないのだが4人まで入ることが出来る。
ルカが来てから、よく利用させてもらっている。ルカが食べる姿は見えないとは言え、さすがに食事が突然消えるのは、よろしくない。
視線を感じて見ると、ロイ様に見られていた。
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