兄の婚約解消による支払うべき代償【本編完結】

美麗

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着実に

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やっと落ち着いて、ずっとやりたかったことに着手することができる。


私は、領地の孤児院を訪問した。

もちろん、これまでにも顔を出して自分のお小遣いから寄付をしたり要らなくなった衣類を持ってきてはいた。でも、これからは違う。

孤児院で行うバザーに新しいパンを作ってもらうのだ。


院長には前々から話をしてある。

まずは、果物からの発酵酵母作り。これは、ある程度根気のいる作業のため上の年の子が担当。

もちろん、入れ物は必ず煮沸消毒。作業前には手を洗うことをお願いしてある。


子どもたちにとっては遊びの延長だった作業により、これまでに食べたことのない柔らかいパンができた。その時の、みんなの顔…

めっちゃいい顔だった。


これまでの苦労が報われたよ。


私は、晴れ晴れとした気持ちになった。


そうして

試作のパンをいくつか持ち、孤児院を出たその時。

久しぶりの兄が立っていた。



泣きそうな顔で。


❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁


「申し訳ない。」



以前とは違う、しっかりした口調で私を見ながら兄は頭を下げた。


領地にあるお祖父様の住む別邸にいる兄と会うのは、何年ぶりだろう。あの騒動のあと、ゆっくりする間もなく領地へ行った兄。

私への便りも特になく、これまで気にする余裕もなかった。


あれから、もう、四年。


未だに、私には婚約者がいない。







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