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第三十五話 冒険者への道
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サラとの面会の後、私の気持ちは少し整理がついた。
ハルートの過去を知って、彼の行動の理由が理解できた。
それでも、彼がしたことは許されることではないし、私が彼を殺してしまったことも変わらない。
でも、少なくとも前に進まなければならないということは分かった。
ハルートの分まで、正しい道を歩んでいかなければならない。
そんなことを考えていると、牢屋の外で声が聞こえてきた。
「すみません、面会をお願いします」
「申し訳ございませんが、面会時間はもう過ぎております。明日の朝にお越しください」
牢番の人が、誰かを追い返そうとしているようだった。
「そうですか。では、また明日に……」
「えっ、騎士団長!?失礼しました!お通りください」
牢番の人の声が急に変わった。
「なんで騎士団長が?」
小声で呟いているのが聞こえる。
騎士団長?
なぜ、そんな偉い人が私に会いに来るのだろう。
しばらくすると、牢番の人が私のところにやってきた。
「面会の方が来ています」
「どなたですか?」
「騎士団長だそうです」
◆ ◆ ◆
面会室に入ると、見覚えのある人が座っていた。
アランだった。
「あなたが……騎士団長だったんですか?」
私は驚いて声を上げた。
アランは元冒険者だと言っていたのに、まさか騎士団長だったなんて。
「気にするな。アランでいい」
彼はいつものように、落ち着いた表情をしていた。
「でも、どうして嘘を……」
「嘘というわけではない。確かに昔は冒険者だった。それに、騎士団長という立場で君に接すると、色々と面倒なことになるからな」
確かに、もし最初から騎士団長だと知っていたら、私はあんなに自然に話すことはできなかっただろう。
「何のご用でしょうか?」
「今日は世間話をしに来たんだ」
アランが少し微笑む。
「世間話?」
「そう。スキルを手に入れてどうだった? 大変だっただろう」
確かに、大変だった。
スキルを手に入れたことで、私の人生は大きく変わってしまった。
「はい……言葉にできませんが」
「念願のスキルを手に入れて、今は牢屋。力を持つことの怖さが分かったんじゃないか」
アランの言葉が、胸に刺さった。
確かに、私は力を持つことの恐ろしさを思い知らされた。
◆ ◆ ◆
「この後、お前にはオリエンテ要塞に行ってもらうことになるだろう」
「オリエンテ要塞?」
「魔物との戦いの最前線の地だ。あそこはいつでも戦力がほしいからな」
アランが説明してくれる。
「そこには、君がランクDになるまでに戦ってきた魔物と比べ物にならないくらい強い魔物がうようよいる」
私は少し身震いした。
今まで戦ってきた魔物でも、十分に怖かったのに。
「君は、そこで生き延びなければならないのだ」
「そうですか……」
想像するだけで、恐ろしくなってくる。
でも、これが私の罪に対する罰なのだろう。
「そこでだ」
アランが少し前に身を乗り出す。
「一つ、そこに行かなくても済む方法がある」
「え?」
「スキルを捨て、元の街に戻ることだ」
私は驚いた。
スキルを捨てるなんて、そんなことができるのか。
「今回の事件は、あまり公にしたくない事件だ。君がスキルを持っていないことになれば、殺人はなかったことにもできる」
「それは……」
確かに、魅力的な提案だった。
スキルを捨てれば、故郷に帰ることができる。
妹に会うこともできる。
平和な生活を取り戻すこともできるかもしれない。
「そして、君はスキルに頼らなくても強いはずだ」
アランが続ける。
「さあ、どうする?」
◆ ◆ ◆
私は少し考えた。
確かに、スキルは怖い。
また誰かを傷つけてしまうかもしれない。
でも――
「スキルは怖いです」
私は答えた。
「でも、今のままじゃ駄目なんです。もっと強くならなければ」
「そうか」
「もっと強かったら、ハルートも、オリヴィアさんも……だから、スキルは諦めません」
私の決意を聞いて、アランが小さく頷いた。
「そうか。これから君にたくさんの苦難や悲しみが待ち受けているだろう」
「はい」
「目的のために生き残ってくれ。健闘を祈る」
アランが立ち上がる。
「ありがとうございました」
私も立ち上がって、深くお辞儀をした。
アランは、私のことを本当に心配してくれているんだ。
だからこそ、スキルを捨てるという選択肢も提示してくれた。
でも、私には帰る場所がある。
妹が待っている故郷がある。
そして、守りたい人たちがいる。
だから、どんなに辛くても、前に進まなければならない。
◆ ◆ ◆
アランが去った後、私は一人で考えていた。
オリエンテ要塞。
魔物との戦いの最前線。
きっと、とても危険な場所なんだろう。
でも、それが私の選んだ道だ。
強くなるための道だ。
妹を救うための道だ。
そして、ハルートやオリヴィアの分まで生きるための道だ。
怖いけど、逃げるわけにはいかない。
必ず、生き延びてみせる。
必ず、強くなってみせる。
そして、いつか故郷に帰って、妹を救う。
それが、私の目標だ。
私は深く息を吸って、決意を新たにした。
新しい戦いが、始まろうとしていた。
でも、今度は一人じゃない。
ハルートとオリヴィアの想いを背負って、私は歩いていく。
どんなに辛い道でも、必ず最後までやり抜いてみせる。
それが、生き残った私の使命なのだから。
窓の外を見ると、夕日が沈んでいく。
明日からは、新しい人生が始まる。
冒険者として、戦士として、そして一人の人間として。
私は、その準備を始めることにした。
心の準備を、そして覚悟の準備を。
オリエンテ要塞での日々が、どれほど過酷なものになるのか分からない。
でも、きっと乗り越えてみせる。
仲間たちの想いと共に。
(つづく)
ハルートの過去を知って、彼の行動の理由が理解できた。
それでも、彼がしたことは許されることではないし、私が彼を殺してしまったことも変わらない。
でも、少なくとも前に進まなければならないということは分かった。
ハルートの分まで、正しい道を歩んでいかなければならない。
そんなことを考えていると、牢屋の外で声が聞こえてきた。
「すみません、面会をお願いします」
「申し訳ございませんが、面会時間はもう過ぎております。明日の朝にお越しください」
牢番の人が、誰かを追い返そうとしているようだった。
「そうですか。では、また明日に……」
「えっ、騎士団長!?失礼しました!お通りください」
牢番の人の声が急に変わった。
「なんで騎士団長が?」
小声で呟いているのが聞こえる。
騎士団長?
なぜ、そんな偉い人が私に会いに来るのだろう。
しばらくすると、牢番の人が私のところにやってきた。
「面会の方が来ています」
「どなたですか?」
「騎士団長だそうです」
◆ ◆ ◆
面会室に入ると、見覚えのある人が座っていた。
アランだった。
「あなたが……騎士団長だったんですか?」
私は驚いて声を上げた。
アランは元冒険者だと言っていたのに、まさか騎士団長だったなんて。
「気にするな。アランでいい」
彼はいつものように、落ち着いた表情をしていた。
「でも、どうして嘘を……」
「嘘というわけではない。確かに昔は冒険者だった。それに、騎士団長という立場で君に接すると、色々と面倒なことになるからな」
確かに、もし最初から騎士団長だと知っていたら、私はあんなに自然に話すことはできなかっただろう。
「何のご用でしょうか?」
「今日は世間話をしに来たんだ」
アランが少し微笑む。
「世間話?」
「そう。スキルを手に入れてどうだった? 大変だっただろう」
確かに、大変だった。
スキルを手に入れたことで、私の人生は大きく変わってしまった。
「はい……言葉にできませんが」
「念願のスキルを手に入れて、今は牢屋。力を持つことの怖さが分かったんじゃないか」
アランの言葉が、胸に刺さった。
確かに、私は力を持つことの恐ろしさを思い知らされた。
◆ ◆ ◆
「この後、お前にはオリエンテ要塞に行ってもらうことになるだろう」
「オリエンテ要塞?」
「魔物との戦いの最前線の地だ。あそこはいつでも戦力がほしいからな」
アランが説明してくれる。
「そこには、君がランクDになるまでに戦ってきた魔物と比べ物にならないくらい強い魔物がうようよいる」
私は少し身震いした。
今まで戦ってきた魔物でも、十分に怖かったのに。
「君は、そこで生き延びなければならないのだ」
「そうですか……」
想像するだけで、恐ろしくなってくる。
でも、これが私の罪に対する罰なのだろう。
「そこでだ」
アランが少し前に身を乗り出す。
「一つ、そこに行かなくても済む方法がある」
「え?」
「スキルを捨て、元の街に戻ることだ」
私は驚いた。
スキルを捨てるなんて、そんなことができるのか。
「今回の事件は、あまり公にしたくない事件だ。君がスキルを持っていないことになれば、殺人はなかったことにもできる」
「それは……」
確かに、魅力的な提案だった。
スキルを捨てれば、故郷に帰ることができる。
妹に会うこともできる。
平和な生活を取り戻すこともできるかもしれない。
「そして、君はスキルに頼らなくても強いはずだ」
アランが続ける。
「さあ、どうする?」
◆ ◆ ◆
私は少し考えた。
確かに、スキルは怖い。
また誰かを傷つけてしまうかもしれない。
でも――
「スキルは怖いです」
私は答えた。
「でも、今のままじゃ駄目なんです。もっと強くならなければ」
「そうか」
「もっと強かったら、ハルートも、オリヴィアさんも……だから、スキルは諦めません」
私の決意を聞いて、アランが小さく頷いた。
「そうか。これから君にたくさんの苦難や悲しみが待ち受けているだろう」
「はい」
「目的のために生き残ってくれ。健闘を祈る」
アランが立ち上がる。
「ありがとうございました」
私も立ち上がって、深くお辞儀をした。
アランは、私のことを本当に心配してくれているんだ。
だからこそ、スキルを捨てるという選択肢も提示してくれた。
でも、私には帰る場所がある。
妹が待っている故郷がある。
そして、守りたい人たちがいる。
だから、どんなに辛くても、前に進まなければならない。
◆ ◆ ◆
アランが去った後、私は一人で考えていた。
オリエンテ要塞。
魔物との戦いの最前線。
きっと、とても危険な場所なんだろう。
でも、それが私の選んだ道だ。
強くなるための道だ。
妹を救うための道だ。
そして、ハルートやオリヴィアの分まで生きるための道だ。
怖いけど、逃げるわけにはいかない。
必ず、生き延びてみせる。
必ず、強くなってみせる。
そして、いつか故郷に帰って、妹を救う。
それが、私の目標だ。
私は深く息を吸って、決意を新たにした。
新しい戦いが、始まろうとしていた。
でも、今度は一人じゃない。
ハルートとオリヴィアの想いを背負って、私は歩いていく。
どんなに辛い道でも、必ず最後までやり抜いてみせる。
それが、生き残った私の使命なのだから。
窓の外を見ると、夕日が沈んでいく。
明日からは、新しい人生が始まる。
冒険者として、戦士として、そして一人の人間として。
私は、その準備を始めることにした。
心の準備を、そして覚悟の準備を。
オリエンテ要塞での日々が、どれほど過酷なものになるのか分からない。
でも、きっと乗り越えてみせる。
仲間たちの想いと共に。
(つづく)
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