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明晰夢2
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「こちら、本日のおすすめとなっております」
ホール担当に目の前の料理の説明をされた。
引っ張るように連れられてきた、ビュッフェ形式の高級フレンチ。もちろん会社経営で莫大な収入のある彼女の奢りだ。
「美味しそう」
隣の前の女性が思わず溢れたように呟く。
「幸せー」
本当だ。
ずらりと並んだ料理たちはどれも視覚だけでその美味しさを担保している。こんな美人と食事ができるというだけで幸せなのに。
シワ一つないクロスが張られたテーブルに彼女と向かい合って座った。
「私が取ってくるよ。何か希望ある?」
なんと美人なだけでなく気も使える。非の打ち所がない。
広いテーブルに綺麗に盛られた料理がずらりと並んだ。
さて何から頂こうかとナイフとフォークを構えたところでふと我にかえり、視線を手前に引き寄せる。
首を深く折り、膨らんだ腹を眺めた。
そう。
欲望のままにこれらを平らげると、「脂肪」という大きな仕打ちが待っている。
考えが見透かされたのか、目の前の彼女は朗らかな表情でこう言った。
「大丈夫だよ。あなたはあなた。私の気持ちは変わらないわ」
そして片目をつぶってこう続けた。
「愛してる」
美しい女性と共に美味しいものを頂く。
自分はなんと幸せなんだろうか。そう思った時にふと気がついた。
ちょっといいことがありすぎやしないか。
人生そんなに上手くいくものだろうか。
一つ思いついたことがあり、確認のために頰ををつねってみた。
痛くない。
やはり。
これはきっと夢なのだ。
そう。
夢なのだ。
現実ではないのだ。
こんないい夢。覚めたくない。
せめてこのままこの世界に留まっていたい…。
ふと我に返った。
やはり夢か。
それにしてもいい夢だった。
覚めてしまったのがもったいない。
布団の上で自分の腹回りを撫でてみる。
だめだ。
やはりこのままではだめだ。あの美女とは行かないまでも、人なりに恋愛はしてみたい。
自制しようと心に決めた。
それから運動と食事制限に努めた。貯金のため、異常なほど節制にもこだわった。
あらゆる欲望に必死で抗った。
しかし一向に体型は変わらない。お金も貯まる気配がない。
なぜだ。
どうしてだ。
必死に考えた末、一つの仮説にたどり着いた。
そっと頰をつねってみる。
自制なんかするんじゃなかった。
もったいない。
ホール担当に目の前の料理の説明をされた。
引っ張るように連れられてきた、ビュッフェ形式の高級フレンチ。もちろん会社経営で莫大な収入のある彼女の奢りだ。
「美味しそう」
隣の前の女性が思わず溢れたように呟く。
「幸せー」
本当だ。
ずらりと並んだ料理たちはどれも視覚だけでその美味しさを担保している。こんな美人と食事ができるというだけで幸せなのに。
シワ一つないクロスが張られたテーブルに彼女と向かい合って座った。
「私が取ってくるよ。何か希望ある?」
なんと美人なだけでなく気も使える。非の打ち所がない。
広いテーブルに綺麗に盛られた料理がずらりと並んだ。
さて何から頂こうかとナイフとフォークを構えたところでふと我にかえり、視線を手前に引き寄せる。
首を深く折り、膨らんだ腹を眺めた。
そう。
欲望のままにこれらを平らげると、「脂肪」という大きな仕打ちが待っている。
考えが見透かされたのか、目の前の彼女は朗らかな表情でこう言った。
「大丈夫だよ。あなたはあなた。私の気持ちは変わらないわ」
そして片目をつぶってこう続けた。
「愛してる」
美しい女性と共に美味しいものを頂く。
自分はなんと幸せなんだろうか。そう思った時にふと気がついた。
ちょっといいことがありすぎやしないか。
人生そんなに上手くいくものだろうか。
一つ思いついたことがあり、確認のために頰ををつねってみた。
痛くない。
やはり。
これはきっと夢なのだ。
そう。
夢なのだ。
現実ではないのだ。
こんないい夢。覚めたくない。
せめてこのままこの世界に留まっていたい…。
ふと我に返った。
やはり夢か。
それにしてもいい夢だった。
覚めてしまったのがもったいない。
布団の上で自分の腹回りを撫でてみる。
だめだ。
やはりこのままではだめだ。あの美女とは行かないまでも、人なりに恋愛はしてみたい。
自制しようと心に決めた。
それから運動と食事制限に努めた。貯金のため、異常なほど節制にもこだわった。
あらゆる欲望に必死で抗った。
しかし一向に体型は変わらない。お金も貯まる気配がない。
なぜだ。
どうしてだ。
必死に考えた末、一つの仮説にたどり着いた。
そっと頰をつねってみる。
自制なんかするんじゃなかった。
もったいない。
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