【完結】私は義兄に嫌われている

春野オカリナ

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プロローグ

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 何かが私の頬を伝っている。

 生暖かいその感触に触れるとどうやら気がつかずに涙が出ている。

 ふっと大きな手が私の視界を遮った。

 「視なくていい。だから言っただろう。あいつは『よせ』と…」

 気がつけば後ろに凭れ掛かる様にその手と腕にしがみつきながら、泣いている私がいる。

 泣いている私を後ろから抱き締める貴方は優しかった。

 

 ーーー何故?今、私に優しくするの?




 疑問が私の心を支配する。

 だって貴方は私の事が嫌いでしょう。

 彼は目の前で繰り広げられているラブロマンスを見せないように視界を塞いでくれた。


 そう、【灯籠流し】を行っている夏の慰霊日で彼らは愛を語っている。

 男性は私の婚約者、女性は私の幼馴染み

 「愛しているのは君だけだ」

 「私も愛しているわ。でも、私達は結ばれない運命よ」

 近くで私が見ている事を知らずに口付けを交わしている。

 だから、知らずに涙が出ているのかな…

 私は、何も言わずにその場を大嫌いな義兄と後にした。

 義兄はこれでもかと言わんばかりに魔王の様な顔をしていて怖かった。

 心の中で、私帰ってから意地悪されないよね。

 いい子でいるからお仕置きしないでね。

 お義兄様…

 そう呟いていた。
 
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