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ロイド
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あの日、僕は身勝手な願いを神に祈ってしまった。どうしてもやらなければならない。いや、やり遂げなければならないそう思い込んでいた。一つ目は、息子の足の事だ。
僕はサリナが婚約を解消したことを心のどこかで喜んでいた。直接何かをしたわけではないけれど、結局は僕の望みどおりになったのだから。
僕はずっとエッセンが羨ましかった。それは、僕もサリナが好きだったからだ。彼の方が先に出会ったと言うだけで簡単に手に入れた事が妬ましかった。僕よりも何でも持っている彼がサリナまで──。
だから、あの時もグレースが何かを企んでいても僕は、言わなかったし、気付かない振りをした。
だが、そのことで僕とサリナの関係は段々、冷めていくことになった。
僕は、サリナに何処か後ろめたさを感じて、長年彼女とのすれ違いの生活を送ってしまっていた。
そんな時にグレースと再び会ってしまう。グレースは、自分の不幸な結婚は、僕の所為だと言った。僕にはグレースを責める事が出来なかった。何故ならエッセンとサリナが婚約解消になった責任の一端は僕にもある。
あの時、グレースを止めていたらサリナも僕と結婚しなくて良かったのだ。その贖罪の気持ちからグレースの養子縁組の手助けをしてしまった。
その事で、サリナとの生活は益々余所余所しいものになっていく。
自分でも愚かな選択をしてしまったと後悔したが時は既に遅かった。僕とグレースの関係を誤解させてしまう決定的な事故。
あの馬車の事故で僕はグレースを庇って死んだ。
薄れゆく意識の中で、僕は何かに祈った。
───誰でもいいから願いを叶えてくれ!もう一度サリナとやり直したい──
僕の願いは叶えられた。
僕の願いを叶えたのは担当の死神だった。仮面をつけた死神は戻せる時間は僅かだと告げた。それでも僕とサリナがもう一度やり直せるのならどんな代償も払うと言ったのだ。
死神は僕が死ぬ二か月前に時を戻してくれた。だが代償として僕の死は免れなくなった。死神の話では、本当はグレースが馬車で死ぬ予定だったんだが、僕が一緒にいた所為で予期せぬ魂を迎えに来なくてはいけなくなったと告げられた。
その詫びで願いを叶えてくれたのだが、代償は大きく死神の力の範疇を超えていたらしい。それでも良かった。今度は間違えない。
何よりサリナと子供たちを優先する。
やり直しの記憶はどうやらサリナにもあったようで、時々僕の様子を覗うような視線を向けてくる。
だから、僕は何も言わずにサリナを守っていた。
たった二ヶ月だけれど、僕にとっては一生分の幸せを家族からもらった。
そして、僕からの最後の贈り物としてサリナに子供を授けた。きっとサリナはこの子たちを守って幸せに生きていける。
もう思い残すことはない。僕は二度目の人生の幕を閉じた。
サリナ…これからの君の人生に僕はいないけれど、いつでも君の幸せを祈っている。
愛しているよ…
僕は、彼女の笑顔を思い出に光の射す方向に向かって歩き出した。段々記憶が薄れてくる中で、僕を愛していると言った彼女の笑顔だけは鮮明に覚えている。
名前も分からない彼女の眩しい程の笑顔だけは……。
僕はサリナが婚約を解消したことを心のどこかで喜んでいた。直接何かをしたわけではないけれど、結局は僕の望みどおりになったのだから。
僕はずっとエッセンが羨ましかった。それは、僕もサリナが好きだったからだ。彼の方が先に出会ったと言うだけで簡単に手に入れた事が妬ましかった。僕よりも何でも持っている彼がサリナまで──。
だから、あの時もグレースが何かを企んでいても僕は、言わなかったし、気付かない振りをした。
だが、そのことで僕とサリナの関係は段々、冷めていくことになった。
僕は、サリナに何処か後ろめたさを感じて、長年彼女とのすれ違いの生活を送ってしまっていた。
そんな時にグレースと再び会ってしまう。グレースは、自分の不幸な結婚は、僕の所為だと言った。僕にはグレースを責める事が出来なかった。何故ならエッセンとサリナが婚約解消になった責任の一端は僕にもある。
あの時、グレースを止めていたらサリナも僕と結婚しなくて良かったのだ。その贖罪の気持ちからグレースの養子縁組の手助けをしてしまった。
その事で、サリナとの生活は益々余所余所しいものになっていく。
自分でも愚かな選択をしてしまったと後悔したが時は既に遅かった。僕とグレースの関係を誤解させてしまう決定的な事故。
あの馬車の事故で僕はグレースを庇って死んだ。
薄れゆく意識の中で、僕は何かに祈った。
───誰でもいいから願いを叶えてくれ!もう一度サリナとやり直したい──
僕の願いは叶えられた。
僕の願いを叶えたのは担当の死神だった。仮面をつけた死神は戻せる時間は僅かだと告げた。それでも僕とサリナがもう一度やり直せるのならどんな代償も払うと言ったのだ。
死神は僕が死ぬ二か月前に時を戻してくれた。だが代償として僕の死は免れなくなった。死神の話では、本当はグレースが馬車で死ぬ予定だったんだが、僕が一緒にいた所為で予期せぬ魂を迎えに来なくてはいけなくなったと告げられた。
その詫びで願いを叶えてくれたのだが、代償は大きく死神の力の範疇を超えていたらしい。それでも良かった。今度は間違えない。
何よりサリナと子供たちを優先する。
やり直しの記憶はどうやらサリナにもあったようで、時々僕の様子を覗うような視線を向けてくる。
だから、僕は何も言わずにサリナを守っていた。
たった二ヶ月だけれど、僕にとっては一生分の幸せを家族からもらった。
そして、僕からの最後の贈り物としてサリナに子供を授けた。きっとサリナはこの子たちを守って幸せに生きていける。
もう思い残すことはない。僕は二度目の人生の幕を閉じた。
サリナ…これからの君の人生に僕はいないけれど、いつでも君の幸せを祈っている。
愛しているよ…
僕は、彼女の笑顔を思い出に光の射す方向に向かって歩き出した。段々記憶が薄れてくる中で、僕を愛していると言った彼女の笑顔だけは鮮明に覚えている。
名前も分からない彼女の眩しい程の笑顔だけは……。
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ロイドには生きていて欲しかったな。
着地が綺麗な話なんですが、やはり奇跡がおきたならと欲張りになりますね。
その点、ロイドは潔かった。死の記憶なんて恐ろしくて狂いそうなものなのにすごいです。
ホントに死ぬ筈だったのはグレースとは(´;ω;`)。グレースが予定通りに召されれば良かったのにp(`ε´q)ブーブー。