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極悪皇女の結婚
歪なお茶会
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グレーテルは、自分の後を誰かが追ってきていることも知らずに、頭の中で繰り返しクラウン伯爵令嬢の謝罪の言葉を妄想いや想像していた。
と…兎に角、何か彼女の事を褒めて、過去の出来事を謝罪するきっかけを作るのよ。そして、あわよくば仲良くなって親友…いやそれはずうずうしいかしら。まだわたくしの事が怖いかもしれないし…。
目覚めてから、離宮の使用人らの態度からして、自分付きの侍女以外に味方がいない事に気付いたグレーテルは、改めて仲良くなろうと努力したが、悉く失敗した。声を掛けるとガタガタと震えながら返事をして怖がるか、中には土下座して逆に謝られる始末。
何とか最近ではグレーテル付きの侍女以外にも挨拶くらいは怯えずに出来るようになった所なのだが、
「「「………」」」
「どうして、貴女がここにいるのかしら?」
「それはこちらのいう事だ。グレーテル。皇太子宮への入宮を許可した覚えはないぞ」
「そうでしたかしら。わたくしは皇太子殿下に用ではなく、そちらのお二人…いえイエニー・クラウン伯爵令嬢に用があるのですわ」
グレーテルの言葉にビクッと体を小さく震わせたイエニー。彼女を守る様にダニエル・グリーンが前に出た。
「こちらは皇女のお招きに感謝しておりますが、生憎、皇太子殿下にご挨拶をした後、直ぐに皇都を出ようと思っていたので、大変恐縮ですがご辞退致します」
「まあ、そうですの。残念ですわ。あの夜会での失態をお詫びしたかったのですが」
「皇女殿下に詫びられる事はございません」
あくまでもダニエルが表になって、受け答えている隣で子ウサギの様に震えるだけの少女。
本当にあの子、あんな風で辺境でやっていけるのかしら…。
グレーテルは、残念そうに溜め息を付きながら、
「では、あの時のお詫びの品としてこちらをお持ち帰りください」
そう言って、侍女のエイミーからイエニーに箱を渡した。
「まあ、中に何が入っているのか確認した方がいいわよ。前にも嫌がらせのプレゼントをもらった方がいらしたのだから。グレーテル皇女ならやりかねないわ。ねえプリンストンお兄様」
「そんな言い方は語弊を招くよ。マーキュリー公女」
「相変わらずお優しいのね。エドモンド様は…グレーテル皇女を庇うなんて」
「庇っていただかなくても結構です。さあ、皆が中身が気になっている様なので、開けてご覧になって」
イエニーはリボンをほどいてはこの中身を見ると、中には凝った造りの髪飾りが入っていた。
「まあ、素敵…」
思わず、イエニーの顔から笑みが自然と零れた。「着けて差し上げたら」そう言って婚約者のダニエルにに薦めると、ぎこちない仕草でイエニーのダークブラウンの髪に櫛型の髪飾りを付けた。
イエニーは「よく似合っている」というダニエルの褒め言葉に薄らと頬を染めている。
それを見ていたフローラは忌々しそうに持っていた羽飾りの扇をギュッと握りしめていた。なぜなら、その髪飾りには見覚えがあって、エドモンドがデビュタントの日にグレーテルに贈った数少ない贈り物の一つだった。
その上、皇女が臣下の令嬢に身に付けた物を下賜した場合、大変な名誉になる。それは皇女の信頼を得た事になるからだ。
フローラは、自分が欲しくて仕方のなかった贈り物をもらったイエニーが憎らしくて、
バシャッ。
急によろめいたふりをして、隣に座っていたイエニーの肩を押すと髪飾りは彼女の頭から落ちてカシャーンという音と共に砕けた。
グレーテルは、その光景を見ながら、頭の中に別の記憶が流れてきた。自分が押したフローラがイエニーの体に当たって、彼女の来ていたドレスが持っていた飲み物の色に染まった事を…。
「も…申し訳…ございません。折角、皇女様に頂いた物を…」
「かまいませんわ。形あるものは何時かは壊れる物ですもの。早いか遅いかの違いだけですわ。それに、帰るといってもそのドレスのまま返すわけにはいきませんから、わたくしの宮で着換えなさいな」
ダニエルもお茶がかかったドレスで皇室を出れば、皇太子の評判に関わると思ったのか素直に応じることを勧めた。皇室には皇女以外の女性はいない為、ドレスも皇女しか持っていなかった。
離宮に帰ったグレーテルは、エリサに耳打ちしてイエニーを着替えに行かせた。
イエニーの着替えを待っている時間、ダニエルは来賓室に通されていた。周りのある調度品を見るとそれもみすぼらしく、真新しい物はなかった。年季の入った古家具がずらりと並べられていた。出された紅茶も上質なものではなく中流階級の貴族の屋敷で出される味がする。
「お待たせしました」
「どうかしら、彼女に似合う衣装を用意したつもりだけけれど」
ダニエルは、淡い水色のドレスを纏った婚約者の美しさに言葉を無くした。
「や…やっぱり似合わないのではないでしょうか」
「そんな事はないわ。わたくしには子供っぽいから令嬢の方が良く似合っていますわ。そうでしょうグリーン侯爵令息」
「は…ひっ、よく似合っていて言葉も出なかったんだ。申し訳ない」
騎士の家系らしい堅苦しい話し方をするダニエルにグレーテルは苦笑した。
イエニーはグレーテルの表情を見ながら、ドレスを選んだ時の事を思い浮かべていた。彼女がデビュタントで皇帝陛下から贈られた物だと知っていたからだ。惜しみなく、もう着ないから貰って欲しいと言われた時は困ったが、その時も今もグレーテルは何処か清々しい表情をしている。何か憑き物でも落ちた様に…。
きっと、この姿が皇女様の本当の姿なのね。
イエニーはグレーテルの申し出を有難く受け取ることにしたのだ。
と…兎に角、何か彼女の事を褒めて、過去の出来事を謝罪するきっかけを作るのよ。そして、あわよくば仲良くなって親友…いやそれはずうずうしいかしら。まだわたくしの事が怖いかもしれないし…。
目覚めてから、離宮の使用人らの態度からして、自分付きの侍女以外に味方がいない事に気付いたグレーテルは、改めて仲良くなろうと努力したが、悉く失敗した。声を掛けるとガタガタと震えながら返事をして怖がるか、中には土下座して逆に謝られる始末。
何とか最近ではグレーテル付きの侍女以外にも挨拶くらいは怯えずに出来るようになった所なのだが、
「「「………」」」
「どうして、貴女がここにいるのかしら?」
「それはこちらのいう事だ。グレーテル。皇太子宮への入宮を許可した覚えはないぞ」
「そうでしたかしら。わたくしは皇太子殿下に用ではなく、そちらのお二人…いえイエニー・クラウン伯爵令嬢に用があるのですわ」
グレーテルの言葉にビクッと体を小さく震わせたイエニー。彼女を守る様にダニエル・グリーンが前に出た。
「こちらは皇女のお招きに感謝しておりますが、生憎、皇太子殿下にご挨拶をした後、直ぐに皇都を出ようと思っていたので、大変恐縮ですがご辞退致します」
「まあ、そうですの。残念ですわ。あの夜会での失態をお詫びしたかったのですが」
「皇女殿下に詫びられる事はございません」
あくまでもダニエルが表になって、受け答えている隣で子ウサギの様に震えるだけの少女。
本当にあの子、あんな風で辺境でやっていけるのかしら…。
グレーテルは、残念そうに溜め息を付きながら、
「では、あの時のお詫びの品としてこちらをお持ち帰りください」
そう言って、侍女のエイミーからイエニーに箱を渡した。
「まあ、中に何が入っているのか確認した方がいいわよ。前にも嫌がらせのプレゼントをもらった方がいらしたのだから。グレーテル皇女ならやりかねないわ。ねえプリンストンお兄様」
「そんな言い方は語弊を招くよ。マーキュリー公女」
「相変わらずお優しいのね。エドモンド様は…グレーテル皇女を庇うなんて」
「庇っていただかなくても結構です。さあ、皆が中身が気になっている様なので、開けてご覧になって」
イエニーはリボンをほどいてはこの中身を見ると、中には凝った造りの髪飾りが入っていた。
「まあ、素敵…」
思わず、イエニーの顔から笑みが自然と零れた。「着けて差し上げたら」そう言って婚約者のダニエルにに薦めると、ぎこちない仕草でイエニーのダークブラウンの髪に櫛型の髪飾りを付けた。
イエニーは「よく似合っている」というダニエルの褒め言葉に薄らと頬を染めている。
それを見ていたフローラは忌々しそうに持っていた羽飾りの扇をギュッと握りしめていた。なぜなら、その髪飾りには見覚えがあって、エドモンドがデビュタントの日にグレーテルに贈った数少ない贈り物の一つだった。
その上、皇女が臣下の令嬢に身に付けた物を下賜した場合、大変な名誉になる。それは皇女の信頼を得た事になるからだ。
フローラは、自分が欲しくて仕方のなかった贈り物をもらったイエニーが憎らしくて、
バシャッ。
急によろめいたふりをして、隣に座っていたイエニーの肩を押すと髪飾りは彼女の頭から落ちてカシャーンという音と共に砕けた。
グレーテルは、その光景を見ながら、頭の中に別の記憶が流れてきた。自分が押したフローラがイエニーの体に当たって、彼女の来ていたドレスが持っていた飲み物の色に染まった事を…。
「も…申し訳…ございません。折角、皇女様に頂いた物を…」
「かまいませんわ。形あるものは何時かは壊れる物ですもの。早いか遅いかの違いだけですわ。それに、帰るといってもそのドレスのまま返すわけにはいきませんから、わたくしの宮で着換えなさいな」
ダニエルもお茶がかかったドレスで皇室を出れば、皇太子の評判に関わると思ったのか素直に応じることを勧めた。皇室には皇女以外の女性はいない為、ドレスも皇女しか持っていなかった。
離宮に帰ったグレーテルは、エリサに耳打ちしてイエニーを着替えに行かせた。
イエニーの着替えを待っている時間、ダニエルは来賓室に通されていた。周りのある調度品を見るとそれもみすぼらしく、真新しい物はなかった。年季の入った古家具がずらりと並べられていた。出された紅茶も上質なものではなく中流階級の貴族の屋敷で出される味がする。
「お待たせしました」
「どうかしら、彼女に似合う衣装を用意したつもりだけけれど」
ダニエルは、淡い水色のドレスを纏った婚約者の美しさに言葉を無くした。
「や…やっぱり似合わないのではないでしょうか」
「そんな事はないわ。わたくしには子供っぽいから令嬢の方が良く似合っていますわ。そうでしょうグリーン侯爵令息」
「は…ひっ、よく似合っていて言葉も出なかったんだ。申し訳ない」
騎士の家系らしい堅苦しい話し方をするダニエルにグレーテルは苦笑した。
イエニーはグレーテルの表情を見ながら、ドレスを選んだ時の事を思い浮かべていた。彼女がデビュタントで皇帝陛下から贈られた物だと知っていたからだ。惜しみなく、もう着ないから貰って欲しいと言われた時は困ったが、その時も今もグレーテルは何処か清々しい表情をしている。何か憑き物でも落ちた様に…。
きっと、この姿が皇女様の本当の姿なのね。
イエニーはグレーテルの申し出を有難く受け取ることにしたのだ。
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