極悪皇女が幸せになる方法

春野オカリナ

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極悪皇女の結婚

夜会のイザコザ

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 大昔、世界は異界の歪によって生まれたモンスターによって、人々はおびえて暮らす日々を送っていた。神は聖女と呼ばれる神聖力を持つ少女と7人の使徒に混沌とした世界を救うべく世界中を旅するように命じた。

 彼らは長い旅の末、異界の歪を塞ぎ、世界に結界を張って異界との境界線を作ったのだ。そして、大聖女と使徒の一人だった若者が一つの国を興した。

 それがブルーネオ帝国の始まり。

 皇族の男子は聖女が見つかると婚姻するという掟に従い、ヘルメスは聖女アリージェンナと婚姻した。いつの日かその血筋から大聖女が甦るというお告げを信じて…。



 「あら、グレーテル皇女殿下。今日はお祝い申し上げますわ」
 「ありがとう。マーキュリー公爵令嬢」
 「まあ、他人行儀な呼び方ですこと…以前の様にフローラと呼んで下さい」
 「いいえ。わたくしはもうすぐ、皇女ではなくなるから公爵令嬢よりも下の身分になるでしょう」
 「ふふふ、ごめんなさいね。グレーテル様。貴女の大切な方をとってしまったみたいで…大変もうしわけないですわ」

 扇で顔を隠しながら、フローラは微笑んだ。いつもなら、グレーテルの奇行に興味がある貴族達までも今日の夜会は皇女に好意的なのだ。彼女の愚行によってフローラは被害者面をしていられるのに、グレーテルの表情は穏やかで、新しい婚約者ヴィランとの仲を見せつけてくる。

 こんなはずではなかった。
 今日の主役は自分で、貴族から祝福を受けるのもフローラのはず。

 今までの立ち位置とは逆転して、貴族の注目を浴びているグレーテルに対して怒りと焦りがフローラを支配した。


 
 『君と婚約する事になったが、私の愛情は期待しないでほしい。君だって、本当は私の事を何とも想っていないのだろう。ただ単にグレーテルに対する優越感を味わいたいだけなのだろうからね』


 エドモンドと婚約書を交わす時に放たれた言葉を思い出す。

 (まさか、見抜かれているとはね…)

 それでも、夜会に出れば貴族達から羨望の視線を受けるだろうと考えていたのに、現実はどうだ。話題はグレーテルとヴィランの仲の良さや、貴婦人たちは彼女のドレスの事。どれもこれもグレーテルに関するものばかり。

 今まで社交界の中心にいたのはフローラのはずなのに、グレーテルがまともになったという噂だけで、これまでの事は帳消しになった。

 グレーテルには、今まで同様フローラの影でいて貰わなくてはならないのに…。


 フローラの心は穏やかではいられない。

 ふいに目に留まった赤いワイン。

 これを皇女にかけたらどうなるだろう。

 そんな愚かな考えが頭を擡げた瞬間、誰かがワインを持つ手首を掴んだ。

 「……飲み過ぎだ。マーキュリー公女」
 「え…エドモンド様」

 止めたのはエドモンドだった。
 フローラは、エドモンドをキッと睨んだ。

 今まで、フローラがグレーテルに陰で嫌がらせをしても何もせず傍観を決め込んでいたくせに、ここに至って止めるのか。そのエドモンドの行動にフローラは腹を立てた。

 「い…痛いわ。放して」
 「じゃあ、そのグラスを渡すんだ」
 「いやよ。まだ飲み足りないわ」
 「もう十分だ。それ以上飲んだら、酔うだろう。それとももう酔っているのか?」
 「分かったわ。もう止めるわよ」
 「へえー、随分と物わかりが良いのね」

 話に割って入ったのは、レーチェだった。

 「変なことを言わないでくれる。わたしは何時だって、エドモンド様のいう事は聞いていたわ。それにわたしたちが仲がいい事は誰でも知っているじゃない」
 「そうね。未婚の令嬢が独身男性を多く従えている事はね」
 「お…おかしな事ばかり云わないでよ。ご…誤解されるでしょう」
 「誤解された方がいいんじゃないの?」
 「な…何よ。違うって言っているでしょう」

 フローラが暴れた瞬間、グラスのワインが零れて、フローラの白いドレスは赤く染まっていく。

 「あーあ…。仕方がないね」

 チッと舌打ちしたヴィランはフローラのドレスに向かって人差し指をさっと振ると、シミのあった箇所は一瞬で無くなり、元の白いドレスに戻った。

 見ていた貴族から歓声が上がると、居た堪れなくなったのかフローラの顔は真っ赤になって肩を震わせてドレスの裾を握りしめた。

 「気分が台無しだわ。もう帰る」
 「分かった。馬車のまで送ろう」

 プリプリと怒った顔を隠そうともせずに、フローラは会場を後にした。後を追いかける様にエドモンドも付いて行ったが、一度だけグレーテルの方を見たが、彼の視線に皇女は気付くことはなかった。

 気付いたのは傍にいるヴィランだけ。

 「あの野郎。馬鹿じゃないのか」

 いつもとは違う言葉遣いで誰にも聞こえない様にぼそりと呟いた。

 小さな嵐が去った後、別の来客の登場に周囲がざわめき始めた。

 「師匠…」

 嬉しそうに駆け寄るヴィランの姿があった。

 
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感想 2

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みんなの感想(2件)

リコ
2025.02.24 リコ

馬鹿な女。1番娘を不幸にしていることに気付かないのね。
こんな極悪な性質の女が愛されるわけないじゃん。特にグレーテルが落ち着いた今は。本性がジワジワと滲み出ているからね。

解除
mu-chan
2025.02.20 mu-chan

毎日胸がきゅーーとなって切ないけど、面白くて
更新を心待ちにしています

グレーテルにいっぱいの幸せが降り注ぎますように

解除

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