2 / 44
1.捨てられた子供達①
しおりを挟む
また、目障りな光に包まれる──。
きっとまた彼が石版に触れたのだ。
何度時間を逆行しても結果は同じ……。
何故気付かない?自覚がないのか?その結果を望んでいるのは彼女自身だという事に……。
幾度となく繰り返される日常がどれほど変化しようと変わらないものもある。
それが彼と彼女の関係だ。
始まりは彼が切ってしまった彼女との縁の糸…。
左手に結ばれるという運命の赤い糸を切った段階で、彼女との縁は潰えたのだ。
後は何度繰り返しても結局、最後は別れがあるのみ……。
俺の腕に抱かれながら、白銀の髪をシーツに広げて微睡む彼女を見るのはこれで何度目だろうか──。
彼女はいつも最後に必ず俺の手を取る。それは刷り込み効果の所為なのかもしれないが、そんな事は俺には関係がないことだ。
彼女が生まれてこの公爵家にやってきた時からずっと見守ってきた。
婚約者に冷たくされ落ち込む彼女をどれ程慰めてきたことか──。
俺と彼女は血の繋がった兄妹ではない。
勿論、あの末の頭のネジの緩い妹とも血は繋がっていない。
俺と彼女は養子なのだ。
初めは公爵家に子供がいなかったから大切にされていたと思う。
だが、実子の末娘が生まれると公爵夫妻の歓心は全て末妹に持って行かれた。
当然と言えば当然だが、俺も彼女も王命によって結ばれた養子縁組なのに、かれらはそのことを都合よくきれいさっぱり忘れてしまっていたようだった。
サトラー公爵家には、3人の子供がいる。
しかし、実子は一人だけ……。
マリアンヌ──。
末っ子のマリアンヌだけが公爵夫妻の実子なのだ。
俺カインデルと長女のレスティーナは王命によって公爵家に預けられた子供達。
だから、公爵夫妻が実子であるマリアンヌを溺愛するのは周囲も納得がいくのだろう。
しかし、預けられた子供達は身分から言えば公爵令嬢などより階級が上なのだ。
俺はこの国の第一王子だ。
俺の母親は隣国の王族の血を持つ公爵令嬢であり、前王妃でもあった。俺を産んで直ぐに亡くなった為、この国に後ろ盾がいないままになっている。
強固な後ろ盾もないままの王子であれば当然、俺もを亡き者にしようと企む者や懐柔しようとする輩も出てくる。
その為、父である国王は信ずるに値する臣下に王子である俺を託した。
それがサトラー公爵家だった。
レスティーナもまた憐れな子供であった。
彼女の母親はジュリエッタといい、マロー伯爵の庶子だった。
ジュリエッタの母親は伯爵家に仕える男爵家出身のメイドで、酔った伯爵がメイドに手を付けて生まれた子供だった。
婚外子のジュリエッタは、生まれて直ぐに母親から引き離されて神殿にある修道院に送られた。
それは、伯爵夫人がそうしたからだ。
婿養子の伯爵は夫人に頭が上がらなかった。メイドは子供を産むと何処か遠くの年老いた商人の後妻となった。
ジュリエッタが16才になった年、生誕祭で神殿で祭事を執り行う神子に選ばれた。
彼女は白金の髪に紫の瞳を持った美しい娘に成長していた。
ある日、ジュリエッタに一人の青年が恋をした。
その青年こそレスティーナの父親……ストラウス大公嫡男のアルフォードだった。
何度もジュリエッタに愛を乞うが、身分違いを理由に中々良い返事がもらえない。
そんな時、サトラー公爵家の親類マダガス侯爵家の長女が病死した。
夫人は娘を大層溺愛していて、その死が受けいられなかった。何度も神殿へ祈りを捧げに足を運ぶ内にジュリエッタを見つけた。
どことなく死んだ娘に似ているジュリエッタを養女に迎えたいと言い出した。
侯爵も妻がそれで生きる気力を取り戻すならと納得した。
こうしてジュリエッタはマダガス侯爵令嬢となったのだ。
きっとまた彼が石版に触れたのだ。
何度時間を逆行しても結果は同じ……。
何故気付かない?自覚がないのか?その結果を望んでいるのは彼女自身だという事に……。
幾度となく繰り返される日常がどれほど変化しようと変わらないものもある。
それが彼と彼女の関係だ。
始まりは彼が切ってしまった彼女との縁の糸…。
左手に結ばれるという運命の赤い糸を切った段階で、彼女との縁は潰えたのだ。
後は何度繰り返しても結局、最後は別れがあるのみ……。
俺の腕に抱かれながら、白銀の髪をシーツに広げて微睡む彼女を見るのはこれで何度目だろうか──。
彼女はいつも最後に必ず俺の手を取る。それは刷り込み効果の所為なのかもしれないが、そんな事は俺には関係がないことだ。
彼女が生まれてこの公爵家にやってきた時からずっと見守ってきた。
婚約者に冷たくされ落ち込む彼女をどれ程慰めてきたことか──。
俺と彼女は血の繋がった兄妹ではない。
勿論、あの末の頭のネジの緩い妹とも血は繋がっていない。
俺と彼女は養子なのだ。
初めは公爵家に子供がいなかったから大切にされていたと思う。
だが、実子の末娘が生まれると公爵夫妻の歓心は全て末妹に持って行かれた。
当然と言えば当然だが、俺も彼女も王命によって結ばれた養子縁組なのに、かれらはそのことを都合よくきれいさっぱり忘れてしまっていたようだった。
サトラー公爵家には、3人の子供がいる。
しかし、実子は一人だけ……。
マリアンヌ──。
末っ子のマリアンヌだけが公爵夫妻の実子なのだ。
俺カインデルと長女のレスティーナは王命によって公爵家に預けられた子供達。
だから、公爵夫妻が実子であるマリアンヌを溺愛するのは周囲も納得がいくのだろう。
しかし、預けられた子供達は身分から言えば公爵令嬢などより階級が上なのだ。
俺はこの国の第一王子だ。
俺の母親は隣国の王族の血を持つ公爵令嬢であり、前王妃でもあった。俺を産んで直ぐに亡くなった為、この国に後ろ盾がいないままになっている。
強固な後ろ盾もないままの王子であれば当然、俺もを亡き者にしようと企む者や懐柔しようとする輩も出てくる。
その為、父である国王は信ずるに値する臣下に王子である俺を託した。
それがサトラー公爵家だった。
レスティーナもまた憐れな子供であった。
彼女の母親はジュリエッタといい、マロー伯爵の庶子だった。
ジュリエッタの母親は伯爵家に仕える男爵家出身のメイドで、酔った伯爵がメイドに手を付けて生まれた子供だった。
婚外子のジュリエッタは、生まれて直ぐに母親から引き離されて神殿にある修道院に送られた。
それは、伯爵夫人がそうしたからだ。
婿養子の伯爵は夫人に頭が上がらなかった。メイドは子供を産むと何処か遠くの年老いた商人の後妻となった。
ジュリエッタが16才になった年、生誕祭で神殿で祭事を執り行う神子に選ばれた。
彼女は白金の髪に紫の瞳を持った美しい娘に成長していた。
ある日、ジュリエッタに一人の青年が恋をした。
その青年こそレスティーナの父親……ストラウス大公嫡男のアルフォードだった。
何度もジュリエッタに愛を乞うが、身分違いを理由に中々良い返事がもらえない。
そんな時、サトラー公爵家の親類マダガス侯爵家の長女が病死した。
夫人は娘を大層溺愛していて、その死が受けいられなかった。何度も神殿へ祈りを捧げに足を運ぶ内にジュリエッタを見つけた。
どことなく死んだ娘に似ているジュリエッタを養女に迎えたいと言い出した。
侯爵も妻がそれで生きる気力を取り戻すならと納得した。
こうしてジュリエッタはマダガス侯爵令嬢となったのだ。
35
あなたにおすすめの小説
ざまぁはハッピーエンドのエンディング後に
ララ
恋愛
私は由緒正しい公爵家に生まれたシルビア。
幼い頃に結ばれた婚約により時期王妃になることが確定している。
だからこそ王妃教育も精一杯受け、王妃にふさわしい振る舞いと能力を身につけた。
特に婚約者である王太子は少し?いやかなり頭が足りないのだ。
余計に私が頑張らなければならない。
王妃となり国を支える。
そんな確定した未来であったはずなのにある日突然破られた。
学園にピンク色の髪を持つ少女が現れたからだ。
なんとその子は自身をヒロイン?だとか言って婚約者のいるしかも王族である王太子に馴れ馴れしく接してきた。
何度かそれを諌めるも聞く耳を持たず挙句の果てには私がいじめてくるだなんだ言って王太子に泣きついた。
なんと王太子は彼女の言葉を全て鵜呑みにして私を悪女に仕立て上げ国外追放をいい渡す。
はぁ〜、一体誰の悪知恵なんだか?
まぁいいわ。
国外追放喜んでお受けいたします。
けれどどうかお忘れにならないでくださいな?
全ての責はあなたにあると言うことを。
後悔しても知りませんわよ。
そう言い残して私は毅然とした態度で、内心ルンルンとこの国を去る。
ふふっ、これからが楽しみだわ。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
愛のゆくえ【完結】
春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした
ですが、告白した私にあなたは言いました
「妹にしか思えない」
私は幼馴染みと婚約しました
それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか?
☆12時30分より1時間更新
(6月1日0時30分 完結)
こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね?
……違う?
とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。
他社でも公開
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
旦那様、本当によろしいのですか?【完結】
翔千
恋愛
ロロビア王国、アークライド公爵家の娘ロザリア・ミラ・アークライドは夫のファーガスと結婚し、順風満帆の結婚生活・・・・・とは言い難い生活を送って来た。
なかなか子供を授かれず、夫はいつしかロザリアにに無関心なり、義母には子供が授からないことを責められていた。
そんな毎日をロザリアは笑顔で受け流していた。そんな、ある日、
「今日から愛しのサンドラがこの屋敷に住むから、お前は出て行け」
突然夫にそう告げられた。
夫の隣には豊満ボディの美人さんと嘲るように笑う義母。
理由も理不尽。だが、ロザリアは、
「旦那様、本当によろしいのですか?」
そういつもの微笑みを浮かべていた。
心の中にあなたはいない
ゆーぞー
恋愛
姉アリーのスペアとして誕生したアニー。姉に成り代われるようにと育てられるが、アリーは何もせずアニーに全て押し付けていた。アニーの功績は全てアリーの功績とされ、周囲の人間からアニーは役立たずと思われている。そんな中アリーは事故で亡くなり、アニーも命を落とす。しかしアニーは過去に戻ったため、家から逃げ出し別の人間として生きていくことを決意する。
一方アリーとアニーの死後に真実を知ったアリーの夫ブライアンも過去に戻りアニーに接触しようとするが・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる