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王太子視点2
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王宮にサフィニアがいると思うだけで、どんなに忙しい公務にも疲れを感じなかった。できるだけ彼女と一緒に過ごす様にして、食事やお茶は毎日、欠かさず彼女ととった。
「王太子殿下の政務が以前より、早くなったのはサフィニア嬢のおかげですね」
側近達に揶揄られながら、そんなやり取りも好ましく思っていた。
そんなある日、もうすぐ彼女が婚約者としての最後の誕生日がやってくる。今までは侍女に聞いていたが、今年は側近の婚約者にさりげなく探りを入れてもらおうかと思案していたところ
「殿下、もうすぐ姉の誕生日ですね。今年は婚約者としてお過ごしになる最後の特別な誕生日ですわ。姉が欲しがっている物をお教えいたしましょうか?」
あのデビュタントから執拗に私の周りを飛び回るうるさい虫が、サフィニアの誕生日に贈り物を考えるだと。
どう考えても怪しいこの妹を最初は邪険に扱っていたのだが、運悪く彼女と親しい友人らは領地に帰ってしまい。相談相手がいなくなってしまったのだ。仕方がなく、ローズマリアに訊ねると、のらりくらり躱された。そうこうしている内に嫌な噂が流れていった。
---王太子殿下と婚約者の妹君は密会を重ねている
こんなことがサフィニアの耳に入ったら、彼女の心を傷つけてしまう。私は彼女に毎日、花を贈って誤解だと言い訳した。理由を言えない私を彼女は静かに微笑んでいる。その姿に私は安堵した。
許されていると勝手に勘違いをしていた。本当はどうなのか問いただしたかっただろうに、彼女の優しさに甘えてしまっていたのだ。
そして、建国記念日に、間に合わせた彼女の眼と私の眼の色をはめ込んだ髪飾りを、誕生日に贈ることにした。翌日は彼女の誕生日、隣をこれからも一緒に歩いて行けるのだと信じて疑っていなかったあの日は、もう戻らない。
建国記念式典での事故で私は全てを失った。パレードの先頭でバルコニーに立って私に向かって微笑んだサフィニアを最後に見た姿が脳裏に焼き付いた。
出発しようとした瞬間、彼女の声が聞こえた気がして振り返ると、あちこちから悲鳴が聞こえる。誰かが落ちたのだと叫んでいる。嫌な予感がして、騎士達を掻き分けながら、その中心に向かう。誰かが私を制止しようとするが、それを跳ね除け、広げられた国旗の上には彼女が倒れていた。
目がくらむような暑さの中
「殿下、いけません。頭を打っているかもしれないので、そのままで」
傍にいた騎士達の声が遠くに聞こえる。私は、罰を受けたのか?あんな女を近づけてしまった罰を…
そんなに嫌なら、私に言ってくれれば良かったのに。私が君以外の女を愛することはない。
だらんとした彼女の体を抱きしめながら、私は泣いた。人前でないた事のない私は生まれて初めて隙をみせたのだ。
ああ、まだ温かい。息もしている。どうか彼女が助かりますように。
神に祈りながら、私は意識のない彼女へ謝罪していた。
「すまない。苦しめてしまって、この償いは必ずする。お願いだ。生きてくれ。頼む」
私の祈りが届いたのか、彼女は一命を取り留めた。だが、意識は数日たっても戻らない。これが私への罰なのだ。
暫く彼女の容態が安定するまで、彼女の身柄は王宮に止めおくことになった。
次の日、ある調査官から彼女の飲んでいたグラスから睡眠薬が発見され、ある人物の名が浮上した。
その名は、ローズマリア・ミシェルウィー公爵令嬢。
彼女の実の妹。まさか本当に殺すつまりだったのか?実の姉を。一体何のために?
側近らは口を揃えて言う。
----決まっているでしょう。殿下の妃の地位を狙っているのでしょう。
そんな事の為に、実の姉を殺すのか?
こんな女にサフィニアの事を相談していた自分が許せない!
私の想いとは裏腹に父王から次の婚約者はローズマリアだと告げられ、絶望した。だから、頼んだのだ。
もし、サフィニアが目を覚ました時には、もう一度婚約を結び直してもらえるように、今まで一度も我を通したことのない私が譲れないと言ったことで、父王も許してくれた。
早く、サフィニアに会いたい、いつもの様に静かな微笑みで、見つめて欲しい。
そんな願いは、二か月後に見事打ち砕かれるのだった。
「王太子殿下の政務が以前より、早くなったのはサフィニア嬢のおかげですね」
側近達に揶揄られながら、そんなやり取りも好ましく思っていた。
そんなある日、もうすぐ彼女が婚約者としての最後の誕生日がやってくる。今までは侍女に聞いていたが、今年は側近の婚約者にさりげなく探りを入れてもらおうかと思案していたところ
「殿下、もうすぐ姉の誕生日ですね。今年は婚約者としてお過ごしになる最後の特別な誕生日ですわ。姉が欲しがっている物をお教えいたしましょうか?」
あのデビュタントから執拗に私の周りを飛び回るうるさい虫が、サフィニアの誕生日に贈り物を考えるだと。
どう考えても怪しいこの妹を最初は邪険に扱っていたのだが、運悪く彼女と親しい友人らは領地に帰ってしまい。相談相手がいなくなってしまったのだ。仕方がなく、ローズマリアに訊ねると、のらりくらり躱された。そうこうしている内に嫌な噂が流れていった。
---王太子殿下と婚約者の妹君は密会を重ねている
こんなことがサフィニアの耳に入ったら、彼女の心を傷つけてしまう。私は彼女に毎日、花を贈って誤解だと言い訳した。理由を言えない私を彼女は静かに微笑んでいる。その姿に私は安堵した。
許されていると勝手に勘違いをしていた。本当はどうなのか問いただしたかっただろうに、彼女の優しさに甘えてしまっていたのだ。
そして、建国記念日に、間に合わせた彼女の眼と私の眼の色をはめ込んだ髪飾りを、誕生日に贈ることにした。翌日は彼女の誕生日、隣をこれからも一緒に歩いて行けるのだと信じて疑っていなかったあの日は、もう戻らない。
建国記念式典での事故で私は全てを失った。パレードの先頭でバルコニーに立って私に向かって微笑んだサフィニアを最後に見た姿が脳裏に焼き付いた。
出発しようとした瞬間、彼女の声が聞こえた気がして振り返ると、あちこちから悲鳴が聞こえる。誰かが落ちたのだと叫んでいる。嫌な予感がして、騎士達を掻き分けながら、その中心に向かう。誰かが私を制止しようとするが、それを跳ね除け、広げられた国旗の上には彼女が倒れていた。
目がくらむような暑さの中
「殿下、いけません。頭を打っているかもしれないので、そのままで」
傍にいた騎士達の声が遠くに聞こえる。私は、罰を受けたのか?あんな女を近づけてしまった罰を…
そんなに嫌なら、私に言ってくれれば良かったのに。私が君以外の女を愛することはない。
だらんとした彼女の体を抱きしめながら、私は泣いた。人前でないた事のない私は生まれて初めて隙をみせたのだ。
ああ、まだ温かい。息もしている。どうか彼女が助かりますように。
神に祈りながら、私は意識のない彼女へ謝罪していた。
「すまない。苦しめてしまって、この償いは必ずする。お願いだ。生きてくれ。頼む」
私の祈りが届いたのか、彼女は一命を取り留めた。だが、意識は数日たっても戻らない。これが私への罰なのだ。
暫く彼女の容態が安定するまで、彼女の身柄は王宮に止めおくことになった。
次の日、ある調査官から彼女の飲んでいたグラスから睡眠薬が発見され、ある人物の名が浮上した。
その名は、ローズマリア・ミシェルウィー公爵令嬢。
彼女の実の妹。まさか本当に殺すつまりだったのか?実の姉を。一体何のために?
側近らは口を揃えて言う。
----決まっているでしょう。殿下の妃の地位を狙っているのでしょう。
そんな事の為に、実の姉を殺すのか?
こんな女にサフィニアの事を相談していた自分が許せない!
私の想いとは裏腹に父王から次の婚約者はローズマリアだと告げられ、絶望した。だから、頼んだのだ。
もし、サフィニアが目を覚ました時には、もう一度婚約を結び直してもらえるように、今まで一度も我を通したことのない私が譲れないと言ったことで、父王も許してくれた。
早く、サフィニアに会いたい、いつもの様に静かな微笑みで、見つめて欲しい。
そんな願いは、二か月後に見事打ち砕かれるのだった。
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