【完結】この愛に囚われて

春野オカリナ

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アマンダ視点

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 私が伯爵令嬢だった頃、ある夜会でミシェルウィー公爵令息と出会った。男性からお誘いを受ける事は多かったが、彼は違う。私の心が叫んでいる。彼こそが私の運命だと。

 彼と出会ってから私は努力した。彼に相応しい女性になろうと。

 エイドリアン・ミシェルウィーは端正な顔立ちでこの国には珍しい亜麻色の髪と青い瞳、象牙色の肌を持っていた。

 彼の祖母は、異国の王女。彼自身もこの国の王族の血を引いている尊い身分の人。一介の伯爵令嬢の私とは身分が違っている。でも彼は数ある令嬢の中から私を選んでくれた。

 今までのどんな贈り物より、そのことが嬉しい。

 彼と並んで歩くと皆の視線が突き刺さる。その訳も分かっている。彼との間には政略的なものは一切なく純粋な愛情だけなのに、周りはそういう風には見てくれなかった。

 私が体を使って彼を籠絡したのだと悪い噂が流れた。

 そんな事情もあり、私は妬み嫉みの対象となっていた。

 彼の両親は私に優しかったし、温かく迎えてくれた。持参金も必要ないと言われる。結婚してからも義母から丁寧に公爵家の仕来たりや屋敷の管理・使用人らの統括等を教えてもらった。

 そして、私達の待望の子供が2年後に誕生する。それがサフィニアだった。

 サフィニアは愛する夫エイドリアンに顔の造りから髪や瞳の色まで同じだった。私達はサフィニアを可愛がるようになる。

 だが、同時に私が社交界で受けた屈辱をサフィニアに味わせたくなくて、サフィニアの教育に力を入れ始めた。

 王太子殿下と年回りが丁度いい。もしかしたらサフィニアが選ばれるかもしれない。そうなった時に完璧な淑女でないと夫に恥を掻かせることになる。

 私はその日からサフィニアに厳しく接する様になった。私とは違ってサフィニアは優秀な夫の血を色濃く受け継いだ子供だ。このくらい難なくこなすはず。段々サフィニアの授業内容が秒刻みになり、夫エイドリアンから注意を受けた。

 「アマンダ。サフィニアのレッスン内容は子供には過酷ではないのか?もう少し余裕を持たせてやった方が良いのではないか。君が初めての子供に夢中になるのは私としても嬉しいが、あれでは息もつけないだろう」

 「ですが、旦那様。将来サフィニアは王太子妃になるかもしれないのです。その事を踏まえてもこの位の教育は当たり前です。それに昔の私の様な辛い思いをさせたくないのです。誰からも羨望の眼差しを受ける程、あの子は素晴らしい素質を持っているのです」

 昔の私の事を持ち出すと夫は

 「分かった。君の好きなようにしなさい。だが、ローズマリアにもきちんと教育させるのだよ。私は君なら二人を淑女に育てられると信じている」

 そう言って任せてくれた。だが、サフィニアと比べて2才しか違わないはずのローズマリアの教育は随分遅れていた。

 少し厳しい教師を付けると直ぐに泣いて、訴えてくるのだ。そして、サフィニアが熱を出した時もローズマリアは泣きじゃくって甘えてくる。

 彼女の顔立ちは私にそっくりだが、中身は夫やサフィニア、私とも違うどうすればいいのか分からなくなった時、あるお茶会で友人から

 「子供はそれぞれ違っていいのよ。同じ必要はないわ」

 そう言われ、何だか悩んでいたのが嘘の様に晴れ晴れとした気分になったのだ。

 なら、ローズマリアのいいところを引き出そう。それにサフィニアにはしてあげられなかったことをローズマリアにしたらいい。

 私はサフィニアに出来なかった事をローズマリアにすることで、自分の気持ちを誤魔化す様になっていく。それが大きな間違いだと気付いた時には、取り返しのつかない所までいっていた。

 
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