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罪状
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殿下の言っている意味が分からない私にユリウス様が説明した。
「サフィニア嬢。残念ながら貴女の妹は、大罪を犯しました。それは『王族への虚偽罪』です」
「それはどういう事なのですか?一体妹が何をしたのでしょうか?」
「私の子供だと偽って、王太子妃に治まったことだ。私に睡眠薬を盛った上に腹の子の出生を偽った。これは重い罪だ。この事を公にはしない。だが君の返答次第では、一族を処罰する。この件に関しては既に陛下の許可を取っていて、私に一任するとの事だ」
「そ…、そんな。なんてことを…。ああ…ローズ…」
私は聞かされた内容が内容だけに驚きを隠せず、そのまま床に崩れ落ちてしまった。
床にしゃがみ込んでいる私を覗き込みながら、殿下が髪を撫でている。
「殿下、私は何をすればいいのですか?」
「君は私の妻でいればいい」
「既に妹が輿入れしました。同じ家から二人も輿入れしては貴族内での偏りができます。そんな事は殿下が何よりご存じではないですか」
そんな事を他の貴族が許す筈がない。下手をすれば国が割れてしまう。
「分かっている。だから、君は隣国の王女として私に輿入れするのだ。既に隣国からは返答を貰っている。隣国の王女が一人亡くなられている。君のその髪と瞳を持った女性だ。君の曾祖母の故郷だよ。随分前から打診があったのだが、王女が亡くなったから立ち消えている。しかし、君を養女にし、この国との結びつきを強化したいそうだ。この話は全ての人にとって都合がいいのだ」
「だとしても、私の顔は社交界に知られています。直ぐに別人だと分かるでしょう」
「心配はいらない。王女は君に良く似ている。血は争えないな。元々ローズマリアと婚約したのは一時的なものだった。君が目覚めたら解消し、君と結び直す予定だったのだ。愚かな真似をしなければこんな事になりはしなかったのに」
その先の言葉を殿下は飲み込んだ。何故、殿下はこんな態度を取るのだろう。妹を愛していたのではないのか?だからあんなに親密に接していたのでは……
殿下の心が分からない。でも、振り回されるのはもう御免だ。
「殿下は妹を愛していらっしゃったのではないのですか?」
「はは、私があんな女を愛しているだと、毒婦の様な女を。実の姉を貶める為なら手段を選ばない女だぞ。あの女に好意を抱いたこともなければ、側に近付くことも許さない。私が愛しているのは君だけだよ。サフィ」
私は、その言葉に反応する。私を愛称で呼んでいる殿下をじっと見つめていた。そして殿下の瞳に映る仄暗い執着心を見付けてしまった。
殿下に執着を持たれる程、私は殿下に愛されていない。公務やお茶会等でも私が一方的に喋っていて、殿下は頷いているだけ。蔑ろにされた事はないが、私と殿下の想いには温度差があったはず。でも今殿下は私を愛称で呼び、『愛している』と言っている。
混乱する私に殿下とユリウス様は更なる追い打ちをかけて来た。
「サフィニア嬢。残念ながら貴女の妹は、大罪を犯しました。それは『王族への虚偽罪』です」
「それはどういう事なのですか?一体妹が何をしたのでしょうか?」
「私の子供だと偽って、王太子妃に治まったことだ。私に睡眠薬を盛った上に腹の子の出生を偽った。これは重い罪だ。この事を公にはしない。だが君の返答次第では、一族を処罰する。この件に関しては既に陛下の許可を取っていて、私に一任するとの事だ」
「そ…、そんな。なんてことを…。ああ…ローズ…」
私は聞かされた内容が内容だけに驚きを隠せず、そのまま床に崩れ落ちてしまった。
床にしゃがみ込んでいる私を覗き込みながら、殿下が髪を撫でている。
「殿下、私は何をすればいいのですか?」
「君は私の妻でいればいい」
「既に妹が輿入れしました。同じ家から二人も輿入れしては貴族内での偏りができます。そんな事は殿下が何よりご存じではないですか」
そんな事を他の貴族が許す筈がない。下手をすれば国が割れてしまう。
「分かっている。だから、君は隣国の王女として私に輿入れするのだ。既に隣国からは返答を貰っている。隣国の王女が一人亡くなられている。君のその髪と瞳を持った女性だ。君の曾祖母の故郷だよ。随分前から打診があったのだが、王女が亡くなったから立ち消えている。しかし、君を養女にし、この国との結びつきを強化したいそうだ。この話は全ての人にとって都合がいいのだ」
「だとしても、私の顔は社交界に知られています。直ぐに別人だと分かるでしょう」
「心配はいらない。王女は君に良く似ている。血は争えないな。元々ローズマリアと婚約したのは一時的なものだった。君が目覚めたら解消し、君と結び直す予定だったのだ。愚かな真似をしなければこんな事になりはしなかったのに」
その先の言葉を殿下は飲み込んだ。何故、殿下はこんな態度を取るのだろう。妹を愛していたのではないのか?だからあんなに親密に接していたのでは……
殿下の心が分からない。でも、振り回されるのはもう御免だ。
「殿下は妹を愛していらっしゃったのではないのですか?」
「はは、私があんな女を愛しているだと、毒婦の様な女を。実の姉を貶める為なら手段を選ばない女だぞ。あの女に好意を抱いたこともなければ、側に近付くことも許さない。私が愛しているのは君だけだよ。サフィ」
私は、その言葉に反応する。私を愛称で呼んでいる殿下をじっと見つめていた。そして殿下の瞳に映る仄暗い執着心を見付けてしまった。
殿下に執着を持たれる程、私は殿下に愛されていない。公務やお茶会等でも私が一方的に喋っていて、殿下は頷いているだけ。蔑ろにされた事はないが、私と殿下の想いには温度差があったはず。でも今殿下は私を愛称で呼び、『愛している』と言っている。
混乱する私に殿下とユリウス様は更なる追い打ちをかけて来た。
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