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告げられた真実
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「ねえ、お姉様。知っているかしら?ふふ、知っていたら今より驚いているわよね。お姉様に薬を持っていたのは私だけではないのよ。お姉様がいつも寝る前に飲んでいたハーブティーに薬を混ぜている人がいたの。ねえ、誰か知りたい?」
ローズマリアは髪を振り乱して、狂っている様な仕草で私に話しかけてきた。
「一体誰なの?」
「そ・れ・は・ね。お母様よ。私、聞いてしまったの。お姉様が事故に合って昏睡状態になった時に半狂乱になったお母様がお父様に問い詰められて打ち明けていたのをね。だから証拠隠滅の為にお母様付きの侍女を解雇したのよ。ふふ、その理由も教えてあげましょうか。お姉様?お母様はね、お姉様を手放したくなかったの。ずっと傍に置きたかったのよ。お姉様を、だから薬を持って体調を悪くしていたの。だって王太子妃には薬物中毒者ではなれないものね。お母様はお姉様が生きがいなの。生まれた時からお姉様だけを愛していたのよ。良かったでしょう。嬉しいでしょう。いつも部屋から羨ましそうに私達を見つめていたんですもの。どう、お姉様。これでも私が羨ましい?誰にもまともに愛してもらえなかった私が」
ローズマリアは狂気を孕んだ瞳で私を見つめながら、楽しそうに話した。その様子は言葉とは裏腹に愛して欲しいと強請っている子供の様にも思える。
「ローズ…今、言った事は殿下に言ってはいけないわ。言えば貴女は…」
「ふふ、お姉様は何もわかっていないのね。殿下は全てご存知よ。だから私をお姉様に会わせたのよ。きっとお母様のことも知っていらっしゃるわ。私同様の罪を犯している事を。もう終わているのよ。一族郎党死罪確定だわ」
ローズマリアは笑いながら涙を流していた。その芝居がかった仕種が憐れみを更に誘っている。
「ローズ、また来るわ。今度はもっときちんと話しましょう」
そう告げて塔の階段を騎士達に守られながら降りていくと、殿下は入り口で待っていた。
「妹への別れは済んだのか?」
その言葉は妹に残された時間は後わずかだということなのだろう。しかし、それでも私は殿下に縋るしかなかった。妹の命だけは取り留めたかったのだ。
「殿下、お話があります」
殿下は来た道を辿って元の離宮に帰って来た。
「サフィ、ここがどこだか分かるかい。ここは君達ミシェルウィー家の始まりの人物、君の曾祖父が生まれた場所だよ。知っているのだろう」
そう、私の曾祖父は当時の国王の公妾だった。伯爵家の未亡人を国王が妾としてこの離宮に閉じ込めた。この国は一夫一妻制なので、国王といえど妾は持たないのが決まりだった。但し何事においても例外はあるもの。国王夫妻には子供が出来なかったことから、彼女が選ばれここに囲われたのだ。この離宮なら王妃の目に付かないという理由で。
国王は王妃を愛していた。だから妾を置くことを躊躇っていたのだが、結局周りの諫言を聞き入れて伯爵夫人を傍に置いた。一年程で男子が誕生したが、次の年に王妃が懐妊し、後継ぎにも恵まれた。伯爵夫人の産んだ王子は、成人する際に新しく公爵家を興した。それがミシェルウィー公爵家なのである。
王太子殿下は、その離宮に再び、彼女の子孫を閉じ込めようとしているのだった。
ローズマリアは髪を振り乱して、狂っている様な仕草で私に話しかけてきた。
「一体誰なの?」
「そ・れ・は・ね。お母様よ。私、聞いてしまったの。お姉様が事故に合って昏睡状態になった時に半狂乱になったお母様がお父様に問い詰められて打ち明けていたのをね。だから証拠隠滅の為にお母様付きの侍女を解雇したのよ。ふふ、その理由も教えてあげましょうか。お姉様?お母様はね、お姉様を手放したくなかったの。ずっと傍に置きたかったのよ。お姉様を、だから薬を持って体調を悪くしていたの。だって王太子妃には薬物中毒者ではなれないものね。お母様はお姉様が生きがいなの。生まれた時からお姉様だけを愛していたのよ。良かったでしょう。嬉しいでしょう。いつも部屋から羨ましそうに私達を見つめていたんですもの。どう、お姉様。これでも私が羨ましい?誰にもまともに愛してもらえなかった私が」
ローズマリアは狂気を孕んだ瞳で私を見つめながら、楽しそうに話した。その様子は言葉とは裏腹に愛して欲しいと強請っている子供の様にも思える。
「ローズ…今、言った事は殿下に言ってはいけないわ。言えば貴女は…」
「ふふ、お姉様は何もわかっていないのね。殿下は全てご存知よ。だから私をお姉様に会わせたのよ。きっとお母様のことも知っていらっしゃるわ。私同様の罪を犯している事を。もう終わているのよ。一族郎党死罪確定だわ」
ローズマリアは笑いながら涙を流していた。その芝居がかった仕種が憐れみを更に誘っている。
「ローズ、また来るわ。今度はもっときちんと話しましょう」
そう告げて塔の階段を騎士達に守られながら降りていくと、殿下は入り口で待っていた。
「妹への別れは済んだのか?」
その言葉は妹に残された時間は後わずかだということなのだろう。しかし、それでも私は殿下に縋るしかなかった。妹の命だけは取り留めたかったのだ。
「殿下、お話があります」
殿下は来た道を辿って元の離宮に帰って来た。
「サフィ、ここがどこだか分かるかい。ここは君達ミシェルウィー家の始まりの人物、君の曾祖父が生まれた場所だよ。知っているのだろう」
そう、私の曾祖父は当時の国王の公妾だった。伯爵家の未亡人を国王が妾としてこの離宮に閉じ込めた。この国は一夫一妻制なので、国王といえど妾は持たないのが決まりだった。但し何事においても例外はあるもの。国王夫妻には子供が出来なかったことから、彼女が選ばれここに囲われたのだ。この離宮なら王妃の目に付かないという理由で。
国王は王妃を愛していた。だから妾を置くことを躊躇っていたのだが、結局周りの諫言を聞き入れて伯爵夫人を傍に置いた。一年程で男子が誕生したが、次の年に王妃が懐妊し、後継ぎにも恵まれた。伯爵夫人の産んだ王子は、成人する際に新しく公爵家を興した。それがミシェルウィー公爵家なのである。
王太子殿下は、その離宮に再び、彼女の子孫を閉じ込めようとしているのだった。
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