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交渉
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殿下と離宮に戻った私は、目覚めた時に運ばれていた部屋へ案内された。
ローズマリアのしたことを公にできない理由は二つある。
一つは、王太子たる者が女性に欺かれ謀れたとあっては、王家の威信に関わるからだ。公にして国中に不祥事を知らしめても良いことなどないし、下手をすれば王太子殿下は廃嫡になる。
もう一つは、やはり殿下が言ったように公爵家への配慮だろう。公にしてしまえば王家は威信と矜持を守る為、公爵家を罰せなければならない。その中に私も含まれている。仮に私を違う貴族の養子にしても既に私は体に傷を負っている。王太子妃にはなれないのだ。
殿下が部屋にあるソファーに座るよう促された。
「ここは君の為に用意した部屋だ。君はここで生まれ変わるんだ。新しい君の名はクロア・ティエリティーだ。亡くなられた王女の名前だ。つい先日、こちらに向かわれている時に発作で亡くなったようだ。彼女はアレルギーがあって、口にしてはいけない物を食べた。王宮に緊急の使者が知らせに来た時、私には行幸に思えた。まるで君に生きる道を与える為に用意されたものだと」
「殿下、仮に私が別人になって生きるとすれば、公爵家にはお咎めはいかないのでしょうか?」
「無論、無傷とはいかない。その話を国王と今、されているはずだ。公爵は夫人と共に領地に引き籠ってもらう。爵位は継ぐ予定の者が新公爵となる」
「では、領地はそのままなのですか?」
「ああ、領地までは奪いはしない。それも全て君の返答次第だがな」
あくまでも私の返答を迫る殿下に
「今すぐにはお答え出来ません」
「分かっている。三日の猶予を与える。その間によく考えればいい。五日後に隣国から使者が到着する」
「では、私は下がらせて頂きます」
帰ろうと立ち上がった瞬間、腕を引っ張られ殿下の方へ引っ張られたと思ったら、体が宙を舞った。何が起こったのか分からないまま、次には私は寝台に寝かされている。
殿下が覆いかぶさり、私の額に口付ける。
「殿下、お止め下さい。私を放して…」
言い終わらないうちに、殿下は私の腰をグッと引き寄せ、今度は唇を重ねた。初めての口付けに私の頭の中は混乱していた。
何故、今になってこんなことをするのだろう。婚約者だった時も手袋の上に口付ける程度だった。抱きしめられた事もなければ、こんなに激しく求められた事もない。
まるで別人の様に豹変した殿下に私は困惑している。
殿下は私の唇を何度も角度を変えて貪り、少し息が上がってきた私の口内も下で犯し始めたのだ。
「あ…も…ほ…で…んか……や……め…」
言葉にならない単語を合間で発している私を愛しげに見つめながら
「サフィ、君を公爵家に帰さないと言ったはずだ。今日からここが君の棲家になるんだ。大人しく従いなさい」
「何故、こんなことをされるのです。今まででもこんな…」
私の髪を指で弄びながら、
「ああ、あの頃の私は愚かだった。君に嫌われたくなくて何れ、手に入ると確信していたから、敢えて君に手を出さなかった。しかし、その考えは間違いだったと思い知らされたよ」
殿下が明かす心中を私は何故か素直に受け止められないでいた。
ローズマリアのしたことを公にできない理由は二つある。
一つは、王太子たる者が女性に欺かれ謀れたとあっては、王家の威信に関わるからだ。公にして国中に不祥事を知らしめても良いことなどないし、下手をすれば王太子殿下は廃嫡になる。
もう一つは、やはり殿下が言ったように公爵家への配慮だろう。公にしてしまえば王家は威信と矜持を守る為、公爵家を罰せなければならない。その中に私も含まれている。仮に私を違う貴族の養子にしても既に私は体に傷を負っている。王太子妃にはなれないのだ。
殿下が部屋にあるソファーに座るよう促された。
「ここは君の為に用意した部屋だ。君はここで生まれ変わるんだ。新しい君の名はクロア・ティエリティーだ。亡くなられた王女の名前だ。つい先日、こちらに向かわれている時に発作で亡くなったようだ。彼女はアレルギーがあって、口にしてはいけない物を食べた。王宮に緊急の使者が知らせに来た時、私には行幸に思えた。まるで君に生きる道を与える為に用意されたものだと」
「殿下、仮に私が別人になって生きるとすれば、公爵家にはお咎めはいかないのでしょうか?」
「無論、無傷とはいかない。その話を国王と今、されているはずだ。公爵は夫人と共に領地に引き籠ってもらう。爵位は継ぐ予定の者が新公爵となる」
「では、領地はそのままなのですか?」
「ああ、領地までは奪いはしない。それも全て君の返答次第だがな」
あくまでも私の返答を迫る殿下に
「今すぐにはお答え出来ません」
「分かっている。三日の猶予を与える。その間によく考えればいい。五日後に隣国から使者が到着する」
「では、私は下がらせて頂きます」
帰ろうと立ち上がった瞬間、腕を引っ張られ殿下の方へ引っ張られたと思ったら、体が宙を舞った。何が起こったのか分からないまま、次には私は寝台に寝かされている。
殿下が覆いかぶさり、私の額に口付ける。
「殿下、お止め下さい。私を放して…」
言い終わらないうちに、殿下は私の腰をグッと引き寄せ、今度は唇を重ねた。初めての口付けに私の頭の中は混乱していた。
何故、今になってこんなことをするのだろう。婚約者だった時も手袋の上に口付ける程度だった。抱きしめられた事もなければ、こんなに激しく求められた事もない。
まるで別人の様に豹変した殿下に私は困惑している。
殿下は私の唇を何度も角度を変えて貪り、少し息が上がってきた私の口内も下で犯し始めたのだ。
「あ…も…ほ…で…んか……や……め…」
言葉にならない単語を合間で発している私を愛しげに見つめながら
「サフィ、君を公爵家に帰さないと言ったはずだ。今日からここが君の棲家になるんだ。大人しく従いなさい」
「何故、こんなことをされるのです。今まででもこんな…」
私の髪を指で弄びながら、
「ああ、あの頃の私は愚かだった。君に嫌われたくなくて何れ、手に入ると確信していたから、敢えて君に手を出さなかった。しかし、その考えは間違いだったと思い知らされたよ」
殿下が明かす心中を私は何故か素直に受け止められないでいた。
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