【完結】私は、愛しい貴方に毒を盛る

春野オカリナ

文字の大きさ
7 / 8

真実は…

しおりを挟む
 それからアンドリュ様は今までの事を話して下さいました。

 アンドリュ様は双子として産まれました。

 兄の名をダニエルと

 そうお茶会に来ていたのは彼なのです。

 ダニエル様はずっと日陰の身でした。

 この国では双子は不吉なので、産まれた時に最初の子供は殺されるのです。

 それは昔、王家で双子が産まれ骨肉の争いとなり、国が大いに乱れたからです。

 だから、アンドリュ様達も同じ運命を辿るはずだったのですが、侯爵夫人が隠すように指示を出して、密かに育てたのでした。

 あの日、アンドリュ様を呼び出し、崖から突き落とした後、入れ替わったのですが、同僚から以前と違うアンドリュ様を不信に思い、事故のあった近辺を隈無く探した所、近くの村人がアンドリュ様を助けて下さったのです。

 そして、何とか生きて私の元に帰る事が出来たのです。

 「エスメラルダ、ダニエルは死んだよ。君があの日使った毒を飲んでね」

 「えっ、あの毒薬をですか」

 「うん、あの薬の残りを隠し持っていたらしい」

 「そうですか…」

 アンドリュ様は、何処か寂しそうに呟きました。

 そして

 「こんな事になって申し訳ないのだが、結婚を取り止めたいんだ。侯爵家は犯罪者を出した家だから君の側にはいられない」

 「嫌です。私はアンドリュ様が良いのです。侯爵家とは関係ないのです。どうかこのまま私と結婚して下さい」

 「しかし、君に迷惑が…」

 そう言うアンドリュ様の唇に私は強引に口付けをしました。

 驚いたアンドリュ様は、泣き笑いをしていました。

 「ふはは、君には敵わないなあ」

 「ええ、一生私は貴方を手放しませんから覚悟してください」

 「うん、分かった。絶対手放さないで、僕も君を手放さない」

 二人は泣きながら抱き合いました。

 

 

 それから、私達は予定通り結婚しました。

 侯爵家は国の法に背いた罪で降格処分となり、今は伯爵となりました。

 あのミーシャ・ガストン男爵令嬢は事件に関与したと判明し、戒律の厳しい修道院に送られました。

 そこは、二度と生きて出られない牢獄と同じ所なのです。



 

 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

もう何も信じられない

ミカン♬
恋愛
ウェンディは同じ学年の恋人がいる。彼は伯爵令息のエドアルト。1年生の時に学園の図書室で出会って二人は友達になり、仲を育んで恋人に発展し今は卒業後の婚約を待っていた。 ウェンディは平民なのでエドアルトの家からは反対されていたが、卒業して互いに気持ちが変わらなければ婚約を認めると約束されたのだ。 その彼が他の令嬢に恋をしてしまったようだ。彼女はソーニア様。ウェンディよりも遥かに可憐で天使のような男爵令嬢。 「すまないけど、今だけ自由にさせてくれないか」 あんなに愛を囁いてくれたのに、もう彼の全てが信じられなくなった。

最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる

椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。 その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。 ──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。 全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。 だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。 「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」 その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。 裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。

【完結】私は、幸せ者ね

蛇姫
ファンタジー
奇病を患った少女は笑う。誰よりも幸せそうに。

貴方の幸せの為ならば

缶詰め精霊王
恋愛
主人公たちは幸せだった……あんなことが起きるまでは。 いつも通りに待ち合わせ場所にしていた所に行かなければ……彼を迎えに行ってれば。 後悔しても遅い。だって、もう過ぎたこと……

セラフィーネの選択

棗らみ
恋愛
「彼女を壊してくれてありがとう」 王太子は願った、彼女との安寧を。男は願った己の半身である彼女を。そして彼女は選択したー

お姫様は死に、魔女様は目覚めた

悠十
恋愛
 とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。  しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。  そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして…… 「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」  姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。 「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」  魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……

行き場を失った恋の終わらせ方

当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」  自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。  避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。    しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……  恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。 ※他のサイトにも重複投稿しています。

【本編,番外編完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る

金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。 ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの? お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。 ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。 少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。 どうしてくれるのよ。 ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ! 腹立つわ〜。 舞台は独自の世界です。 ご都合主義です。 緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。

処理中です...