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それぞれの結末
エリーゼ
私は生まれた時から特別だと思っていた。ニコニコと微笑むだけで、男性が私の為に動いてくれる。
だからただ笑っているだけでいい。平民の中でも特別だと母から聞かされていた。だって、父は伯爵家の人間で裕福な家だと聞かされている。
いつか私を迎えに来てくれると信じていた。
私が4才の時に母が言うとおり私を迎えに来てくれて、一緒に住もうと言われたが、正妻にダメだと言われたとがっかりしていた。
その代わり別邸を好きに使ってもいいと言いわれて有頂天になっていたあの頃。
平民からいきなり貴族の令嬢として、父が教育を施してくれたけれど、結局は愛人の子供でしかない。貴族の男と結婚しないと私は平民のままだ。
父の戸籍にも入れない単なる母の私生児。何も力のない私は、自分の容姿で男を引っ掛けるしかなかった。
そんなある日、父の正妻が亡くなって、公爵家に住めることになる。
初めて公爵家に来たときは、地味な同い年の女の子がいた。
私の方が綺麗だし、公爵令嬢に相応しいと思っている。
なのに皆が父と母を公爵家から追い出して、公爵家の出入りを禁じたのだ。
もうこれで、私も公爵令嬢だと母に言われて、嬉しかった。父がお金を積んで貴族学院に編入させてくれた事も。
何もかも私が思い描いた通りの生活になったのに、他の令嬢が私を貶める事を言っている。
だからケロイド様にその事を話すと、私を守る様にいつも一緒にいてくれた。彼は異母姉の婚約者なのに、私を選んでくれた。
彼が自然と一緒にいてくれるので、周りは勝手に誤解して、私が本物の公爵令嬢で、アリスティアは愛人の子供だと誤解された。
態とそう仕向けた訳ではないけれど、他の人が勝手に勘違いしただけ。私は何も悪くないわ。だって誰も聞かなかったから。
ただ私の容姿の方が優れているから皆が勝手に勘違いするのよ。地味なアリスティアが悪いだけ。
彼女を守ってくれる人は誰もいないと思っていたのに、高位貴族のクラスメイト達や薬草学の教授まで彼女を大切に守っている。
あんな女よりも私の方が公爵令嬢に相応しいわ。だって私は誰からも愛される存在。彼女は誰からも愛されない存在。
なのにどうして、あんなつまらない子を皆で庇うの。おかしいわ。
私がケロイド様について特別クラスに行くと、公爵令嬢と公爵令息がこぞって責め立てる。只の愛人の子供だと馬鹿にされた。しかも特別クラスに来たことを責め立てる。
同じ父の子供なのにどうしてこんなに扱いが違うの?アリスティアと私の何が違うの?
私の方が何倍も綺麗なのに、高位貴族たちは誰も私を好きになってくれなかった。
だから、ケロイド様だけは私のものでいて欲しかった。それが愛なのかただの対抗心からなのかは分からなかったが、兎に角、アリスティアから全てのものを奪いたい。そんな事を考える様になっていた。
「このままではケロイド様と一緒にいられない。私達は別れさせられる」
そんな風に泣いて縋ってみせると、彼はあっさりアリスティアを貶める算段を考えてくれた。
私は真実を告げただけ、そうして欲しいとはいっていない。彼らが勝手にやった事。
アリスティアを酷い目に遭わせ損なった彼らは貴族の法に基づいて、罰を受けた。多くの者は廃嫡とされたのにケロイド様は謹慎程度で済んだのは、アリスティアの口添えがあったからだと思っていたのは間違いだった。
彼女の誕生日に父は最後のけじめとしてアリスティアをエスコートしに公爵家に行った。
帰ってから父の様子がおかしい事は薄々気づいていたが、まさか自殺未遂をしようとは思いもしない出来事。
運ばれた病院でアリスティアを見ると彼女は変わっていた。
もう地味で目立たない彼女ではなくて、堂々とした公爵令嬢になっていた。何より驚いたのは彼女は王弟殿下の婚約者になっている。
既にあの日、ケロイド様と婚約を破棄していて、侯爵家とも絶縁したらしい。そのことでケロイド様は学院を卒業後、平民となる予定だ。
目が覚めた父に駆け寄り、
「大丈夫、私はエリーゼよ」
そう言ったのに、父から出た言葉は
「お前たち等知らない。私の娘はアリスティアだけだ。愛する妻アデライトが残した唯一の宝物」
そう言って今まで見たこともない冷たい視線と侮蔑の籠った目で見られた。
逆にアリスティアを見つめる眼差しは、見たこともないような愛情が溢れるものだった。
あんな目で父に接してもらったことはない。どうしてなの?私が本当の娘ではないからなの。
私の中のドロドロとした感情が溢れだし、アリスティアに向かって吐き出した。
「あんたなんかいなければいいんだ。私が幸せなるためにはあんたは邪魔なのよ。お父様は私のものよ」
私や母が怒鳴るので、気分が悪くなったと父から追い出された。
その日から父はもう私の知っている父では無くなった。家族ごっこは終わったのだ。いや、そもそも父と私に血の繋がりなどない。
公爵令嬢に暴言を吐き、偽りの出自を虚偽した罪と長年公爵家のお金で豪遊していた罪とで、母は咽喉を潰され鉱山送りに、私は戒律の厳しい修道院に送られることになった。
でも私は諦めない。もう一度這い上がって、アリスティアになり代わって見せる。そう決心して、修道院では反省したふりをして、我慢していた。
そしてケロイド様に会いに再び、王都にある公爵家の『ガーランド商会』を訪ねたのだ。
しかし、ケロイド様はいなくて代わりに彼の同僚と名乗る人が隣国のある男爵邸に使いに行って、気に入られたから、そこのお抱え商人になったと教えてくれた。
私は教えられた男爵邸に向かった。路銀は彼の退職金を渡されたから、そこから拝借することにした。同僚には私はケロイド様の婚約者だと言ったから、素直に信じていた。
男爵家に着くと、なぜか使用人たちが私を見て囁き合っている。その上、侍女が私を湯あみさせ、何処かの部屋に連れて行った。
そこに待っていたのはガマガエルのような太った大男。髪は禿げ上がって醜い吹き出物がある顔に分厚い唇が下品な笑みを私に見せている。
「ヒィッ」
思わず私が小さな悲鳴を上げると、にたりと笑った厭らしい表情を浮かべながら、私を弄った。
男爵は嗜虐趣味のある性癖を持っていて、自国ではもう女を調達できないから、他国から調達していた。
私は罠に嵌められたのだ。
鎖で繋がれ、鉄格子のはめ込まれた牢屋の様な隠し部屋からは逃れらない。
誰が私をこんな目に遭わせたのか分からないが、あの幼い頃に扉の向こうで聞こえてきた。あのアデライトの声が耳に木霊する。
『分不相応な要求をしたら公爵家は黙っていない』
父に言ったあの言葉を公爵家の誰かが実行したのだ。アリスティアと成り代わり、私が公爵家に入り込もうとしている事を。
これは罰。身の丈に合った幸せを求めず、他人の物を欲しがった私への罰なのだ。
逃れられない私はこれから一生この男爵の玩具として生きていくしかないのだから……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「レイラン様、全ては指示通り、あの女は例の男爵の元に行かせました。きっと今頃は……」
「しっ」
私が商会の下男と話をしているところにアリスティアがやってきた。
「あら、レイラン様。お仕事中だったのですか。それは失礼しました」
「いや、終わったところだよ。それよりどうしたんだい」
私の執務室に訪れたアリスティアが困った顔を見せながら
「実は父が領地に帰ってしまって、ミュゼリーナがご機嫌斜めで困っていますの。ですからレイラン様と一緒にお茶でもと思ったのですが、お忙しいのならまた後で…」
そういうと少し悲しげな幼子の手を引いて、部屋を出て行こうとした。
「いや、大丈夫だ。もう厄介事は終わったから、一緒にお茶ができるよ。テラスはどうかな」
そういって私は幼い娘を抱き上げた。途端にさっきまで沈んでいた娘の顔は晴れた空の様に明るい笑みを零している。
アリスティアは大きくなったお腹を重そうに侍女に支えられながら、歩いて行った。私の片手を握りしめながら。
私は幼い娘ミュゼリーナを見つめながら、
本当にこの子は義母上に似ている。だからなのか、義父上に懐くのは。
ミュゼリーナは、義父ローフェルがいるときは彼の傍を離れない。まるで恋人同士の様に。公爵家に泊まるときは義父と一緒に眠る程だ。
それにアリスティアもこの子を特別に思っている。母との思い出が少ない彼女は、きっと母親としたかった事をミュゼリーナにしてやっている。
義父上の次に私を好きだという娘に、手を焼かされている可愛い妻の額にキスをして、テラスに向かったのだ。
それにしても義母上には驚かされる。
彼女は生前、私を枕元に呼びつけこう遺言して、手紙を渡された。
『殿下、私が死んだ後、アリスティアを守って下さい。そして、あのマリエルの娘がアリスティアを害するようなら、この紙に書いてある通りの罰を与えて下さい。そうすれば二度とアリスティアの前には現れないでしょう』
その手紙には、隣国の男爵の性癖が書かれていてもし、エリーゼがアリスティアに危害を与える様なら男爵家に引き渡す様に書いてあった。
男爵家とは商会でかなり付き合いが古いらしい。その跡取りを利用してエリーゼに罰を与えた。
「何とも恐ろしい女の執念だ。死しても娘を守りたい一心でこんな報復を考えるとは」
「何か仰いましたか?」
「いや、なんでもない。行こうか。早くしないとミュゼリーナのご機嫌が更に悪くなりそうだ」
もう眠くなっている娘を見つめながら、アデライトの遺志を果たした自分もまた赤い髪の魔女に囚われている。
そんな風に考えていた。
だからただ笑っているだけでいい。平民の中でも特別だと母から聞かされていた。だって、父は伯爵家の人間で裕福な家だと聞かされている。
いつか私を迎えに来てくれると信じていた。
私が4才の時に母が言うとおり私を迎えに来てくれて、一緒に住もうと言われたが、正妻にダメだと言われたとがっかりしていた。
その代わり別邸を好きに使ってもいいと言いわれて有頂天になっていたあの頃。
平民からいきなり貴族の令嬢として、父が教育を施してくれたけれど、結局は愛人の子供でしかない。貴族の男と結婚しないと私は平民のままだ。
父の戸籍にも入れない単なる母の私生児。何も力のない私は、自分の容姿で男を引っ掛けるしかなかった。
そんなある日、父の正妻が亡くなって、公爵家に住めることになる。
初めて公爵家に来たときは、地味な同い年の女の子がいた。
私の方が綺麗だし、公爵令嬢に相応しいと思っている。
なのに皆が父と母を公爵家から追い出して、公爵家の出入りを禁じたのだ。
もうこれで、私も公爵令嬢だと母に言われて、嬉しかった。父がお金を積んで貴族学院に編入させてくれた事も。
何もかも私が思い描いた通りの生活になったのに、他の令嬢が私を貶める事を言っている。
だからケロイド様にその事を話すと、私を守る様にいつも一緒にいてくれた。彼は異母姉の婚約者なのに、私を選んでくれた。
彼が自然と一緒にいてくれるので、周りは勝手に誤解して、私が本物の公爵令嬢で、アリスティアは愛人の子供だと誤解された。
態とそう仕向けた訳ではないけれど、他の人が勝手に勘違いしただけ。私は何も悪くないわ。だって誰も聞かなかったから。
ただ私の容姿の方が優れているから皆が勝手に勘違いするのよ。地味なアリスティアが悪いだけ。
彼女を守ってくれる人は誰もいないと思っていたのに、高位貴族のクラスメイト達や薬草学の教授まで彼女を大切に守っている。
あんな女よりも私の方が公爵令嬢に相応しいわ。だって私は誰からも愛される存在。彼女は誰からも愛されない存在。
なのにどうして、あんなつまらない子を皆で庇うの。おかしいわ。
私がケロイド様について特別クラスに行くと、公爵令嬢と公爵令息がこぞって責め立てる。只の愛人の子供だと馬鹿にされた。しかも特別クラスに来たことを責め立てる。
同じ父の子供なのにどうしてこんなに扱いが違うの?アリスティアと私の何が違うの?
私の方が何倍も綺麗なのに、高位貴族たちは誰も私を好きになってくれなかった。
だから、ケロイド様だけは私のものでいて欲しかった。それが愛なのかただの対抗心からなのかは分からなかったが、兎に角、アリスティアから全てのものを奪いたい。そんな事を考える様になっていた。
「このままではケロイド様と一緒にいられない。私達は別れさせられる」
そんな風に泣いて縋ってみせると、彼はあっさりアリスティアを貶める算段を考えてくれた。
私は真実を告げただけ、そうして欲しいとはいっていない。彼らが勝手にやった事。
アリスティアを酷い目に遭わせ損なった彼らは貴族の法に基づいて、罰を受けた。多くの者は廃嫡とされたのにケロイド様は謹慎程度で済んだのは、アリスティアの口添えがあったからだと思っていたのは間違いだった。
彼女の誕生日に父は最後のけじめとしてアリスティアをエスコートしに公爵家に行った。
帰ってから父の様子がおかしい事は薄々気づいていたが、まさか自殺未遂をしようとは思いもしない出来事。
運ばれた病院でアリスティアを見ると彼女は変わっていた。
もう地味で目立たない彼女ではなくて、堂々とした公爵令嬢になっていた。何より驚いたのは彼女は王弟殿下の婚約者になっている。
既にあの日、ケロイド様と婚約を破棄していて、侯爵家とも絶縁したらしい。そのことでケロイド様は学院を卒業後、平民となる予定だ。
目が覚めた父に駆け寄り、
「大丈夫、私はエリーゼよ」
そう言ったのに、父から出た言葉は
「お前たち等知らない。私の娘はアリスティアだけだ。愛する妻アデライトが残した唯一の宝物」
そう言って今まで見たこともない冷たい視線と侮蔑の籠った目で見られた。
逆にアリスティアを見つめる眼差しは、見たこともないような愛情が溢れるものだった。
あんな目で父に接してもらったことはない。どうしてなの?私が本当の娘ではないからなの。
私の中のドロドロとした感情が溢れだし、アリスティアに向かって吐き出した。
「あんたなんかいなければいいんだ。私が幸せなるためにはあんたは邪魔なのよ。お父様は私のものよ」
私や母が怒鳴るので、気分が悪くなったと父から追い出された。
その日から父はもう私の知っている父では無くなった。家族ごっこは終わったのだ。いや、そもそも父と私に血の繋がりなどない。
公爵令嬢に暴言を吐き、偽りの出自を虚偽した罪と長年公爵家のお金で豪遊していた罪とで、母は咽喉を潰され鉱山送りに、私は戒律の厳しい修道院に送られることになった。
でも私は諦めない。もう一度這い上がって、アリスティアになり代わって見せる。そう決心して、修道院では反省したふりをして、我慢していた。
そしてケロイド様に会いに再び、王都にある公爵家の『ガーランド商会』を訪ねたのだ。
しかし、ケロイド様はいなくて代わりに彼の同僚と名乗る人が隣国のある男爵邸に使いに行って、気に入られたから、そこのお抱え商人になったと教えてくれた。
私は教えられた男爵邸に向かった。路銀は彼の退職金を渡されたから、そこから拝借することにした。同僚には私はケロイド様の婚約者だと言ったから、素直に信じていた。
男爵家に着くと、なぜか使用人たちが私を見て囁き合っている。その上、侍女が私を湯あみさせ、何処かの部屋に連れて行った。
そこに待っていたのはガマガエルのような太った大男。髪は禿げ上がって醜い吹き出物がある顔に分厚い唇が下品な笑みを私に見せている。
「ヒィッ」
思わず私が小さな悲鳴を上げると、にたりと笑った厭らしい表情を浮かべながら、私を弄った。
男爵は嗜虐趣味のある性癖を持っていて、自国ではもう女を調達できないから、他国から調達していた。
私は罠に嵌められたのだ。
鎖で繋がれ、鉄格子のはめ込まれた牢屋の様な隠し部屋からは逃れらない。
誰が私をこんな目に遭わせたのか分からないが、あの幼い頃に扉の向こうで聞こえてきた。あのアデライトの声が耳に木霊する。
『分不相応な要求をしたら公爵家は黙っていない』
父に言ったあの言葉を公爵家の誰かが実行したのだ。アリスティアと成り代わり、私が公爵家に入り込もうとしている事を。
これは罰。身の丈に合った幸せを求めず、他人の物を欲しがった私への罰なのだ。
逃れられない私はこれから一生この男爵の玩具として生きていくしかないのだから……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「レイラン様、全ては指示通り、あの女は例の男爵の元に行かせました。きっと今頃は……」
「しっ」
私が商会の下男と話をしているところにアリスティアがやってきた。
「あら、レイラン様。お仕事中だったのですか。それは失礼しました」
「いや、終わったところだよ。それよりどうしたんだい」
私の執務室に訪れたアリスティアが困った顔を見せながら
「実は父が領地に帰ってしまって、ミュゼリーナがご機嫌斜めで困っていますの。ですからレイラン様と一緒にお茶でもと思ったのですが、お忙しいのならまた後で…」
そういうと少し悲しげな幼子の手を引いて、部屋を出て行こうとした。
「いや、大丈夫だ。もう厄介事は終わったから、一緒にお茶ができるよ。テラスはどうかな」
そういって私は幼い娘を抱き上げた。途端にさっきまで沈んでいた娘の顔は晴れた空の様に明るい笑みを零している。
アリスティアは大きくなったお腹を重そうに侍女に支えられながら、歩いて行った。私の片手を握りしめながら。
私は幼い娘ミュゼリーナを見つめながら、
本当にこの子は義母上に似ている。だからなのか、義父上に懐くのは。
ミュゼリーナは、義父ローフェルがいるときは彼の傍を離れない。まるで恋人同士の様に。公爵家に泊まるときは義父と一緒に眠る程だ。
それにアリスティアもこの子を特別に思っている。母との思い出が少ない彼女は、きっと母親としたかった事をミュゼリーナにしてやっている。
義父上の次に私を好きだという娘に、手を焼かされている可愛い妻の額にキスをして、テラスに向かったのだ。
それにしても義母上には驚かされる。
彼女は生前、私を枕元に呼びつけこう遺言して、手紙を渡された。
『殿下、私が死んだ後、アリスティアを守って下さい。そして、あのマリエルの娘がアリスティアを害するようなら、この紙に書いてある通りの罰を与えて下さい。そうすれば二度とアリスティアの前には現れないでしょう』
その手紙には、隣国の男爵の性癖が書かれていてもし、エリーゼがアリスティアに危害を与える様なら男爵家に引き渡す様に書いてあった。
男爵家とは商会でかなり付き合いが古いらしい。その跡取りを利用してエリーゼに罰を与えた。
「何とも恐ろしい女の執念だ。死しても娘を守りたい一心でこんな報復を考えるとは」
「何か仰いましたか?」
「いや、なんでもない。行こうか。早くしないとミュゼリーナのご機嫌が更に悪くなりそうだ」
もう眠くなっている娘を見つめながら、アデライトの遺志を果たした自分もまた赤い髪の魔女に囚われている。
そんな風に考えていた。
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