【完結】旦那様、溺愛するのは程々にお願いします♥️仮面の令嬢が辺境伯に嫁いで、幸せになるまで

春野オカリナ

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エルリックの秘密

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 ジョゼフィーネとウィストンを残して、俺はクリーク公爵と執務室に入った。

 「まずは、掛けて下さい」

 ソファーにクリーク公爵が座ったのと同時に手紙を見せた。

 「こ…これは…」

 クリーク公爵は、手紙の内容と差出人の名前に驚愕した。

 「あり得ない。なぜ知っているんだ」

 「まあ、この手紙が来たのは、半年前です。こちらでも調べて、本人にも確認しましたから、本人が書いた物に間違いありません」

 「そんな前から知っていたのか?」

 「どうもそのようです。ジョゼフィーネに知られない様に注意して、準備していたようです」

 「それでは、陛下はとったご存知なのか?」

 「ええ、俺の所に王家の影が婚約の話とこの事を伝えに来ましたから」

 「どうするつもりなんだ。君は、いやレッドブラックリー一族はといった方がいいか?」

 「先程、話した通り。罪は罪ある者に還すべきです。黙認すべきではありません。俺は、彼女の為に真実を公表すべきだと思っています」

 「だが、此方も相当な痛手を負わされることになるのだよ。それでも君はやるのかい」

 「覚悟ならジョゼフィーネを妻に望んだあの18年前から出来ている。俺をいつまでも子供扱いしていると痛い目に合うのは王家の方だ。そんな事は、公爵が一番良く知っているでしょう」

 クリーク公爵は、エルリックの覇気に蹴落とされていた。こんなエルリックと対峙したのは、初めてだった。

 (恐ろしい程の威圧感だ。いつの間にこんな男になったんだ)

 冷や汗が流れるのを感じながら、クリーク公爵は、一息入れた。

 「で、私達にどうしろと」

 「簡単な事です。近々建国記念の王家主催の夜会があるでしょう。そこで罪を購わせるの予定です。でもその前に、ある方と会っていただきます」

 「それは、決定事項なのだな。拒否権はないように思えるのだが」

 「ええ、拒否権はありませんよ」

 「誰に会うか教えてもらえるのか」

 クリーク公爵の問いにエルリックは、無言で身分証明書を提示した。

 クリーク公爵の目が大きく開かれ、エルリックの方を見た。

 「君は、まさか、そんなじゃあ、君達一族は…」

 「これが我が一族の本当の姿です。そして何故、辺境地に封じらたのかは、これでお分かりでしょう」

 「わかった。協力しよう」

 クリーク公爵は、逃げ道を塞がれて頷いた。

ーーーこれが辺境伯爵家の秘密かーーー

 クリーク公爵は、エルリックの秘密を知ってしまったのだ。

 後は、その日を待つのみとなった。

 (私達も覚悟を決める時が来たようだ!)

 クリーク公爵の目には一切の迷いが無くなっていた。
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